こんばんわ、せっかくなので、質問をさせていただきます。
長智さんへの回答で
>「こういうジャンルは受けないのでちょっと控えてほしい」等の要請がない場合、
とありましたが、このジャンルはNGという場合もあるということ
でしょうか?
NGの場合、内容が優れていても一次選考で落とされるということですか?
後、NGであることが多いジャンルや、商業的に厳しい、これはまず通らないというジャンルがあれば教えて下さい。
(スポーツモノ、時代モノは無理なのかなという気がします)
年度や賞の傾向によって、このジャンルは売れないのであんまり押さないでほしいですねー的なことを臭わされたりすることがあります。
NGではないですが、同じ出来映えの作品で相対評価する際、選択肢がおのずと限られてくることがあります(絶対評価でおもしろいと言い切れる作品はそれでも上げます)。
> 後、NGであることが多いジャンルや、商業的に厳しい、これはまず通らないというジャンルがあれば教えて下さい。
> (スポーツモノ、時代モノは無理なのかなという気がします)
その判断は作家としての才覚に直結するものですから、応募者の方が自らリサーチし、判断しなければなりません。
ただ、少し前に大ヒットし、その後ブームが続かなかった、来なかったようなジャンルは難しいですね。
どうなんでしょうか?
コメディとホラーと叙情ものに応用できれば、そう狭くもない気もしますが。
思うに、幽霊だろうとドコモショップの職員だろうと、ヒロインとして登場すれば読者は主人公との恋の成就を期待するということなのでは?
しかし恋の成就をはばむ要因が幽霊の場合は基本的に限定されているので(だって死人だから)、障害をクリアするアイデアも限定されるということではないでしょうか?
叙情性と仰ったのは、実際に書かれている作品に、ちょっと泣かせる感じのものが多いということなんだろうなと思いました。幽霊ヒロインが出てきただけで、そういう展開になりそうなフラグが立っているみたいな。
ジジ様は多くの作品を読まれているので、実例として「幽霊ものは、こういう展開が大部分だな」ということが有るのだろうと思います。
私の考えでは、幽霊と人間の恋を成就させるためには、
① 最後に幽霊を人間として生きかえらせる。
② 主人公の価値観に大変革が起こり、人間と幽霊のままで共に生きていく道を選ぶ。
この二つのどちらかになるのかなと。
②は読者に納得させることに多少の力技を要するだろうし、主人公とヒロインがチームを組むバトルもののシリーズみたいな感じになりそうなイメージです。単体の作品としては難しい気がするので、多いのは①パターン。そして、手法としてはホロリとさせる路線が相性がよさそうなので、結局そんなパターンばかりになってしまう。
そういう状況になっているのかな? と思ったのですが、当たっているでしょうか?
> コメディとホラーと叙情ものに応用できれば、そう狭くもない気もしますが。
その3パターンがすでに開拓されきっているため、難しいというのが私の意見になります。
> 思うに、幽霊だろうとドコモショップの職員だろうと、ヒロインとして登場すれば読者は主人公との恋の成就を期待するということなのでは?
> しかし恋の成就をはばむ要因が幽霊の場合は基本的に限定されているので(だって死人だから)、障害をクリアするアイデアも限定されるということではないでしょうか?
このあたりは前のレスで述べたとおりです。
不明点等あれば、お手数ですがそれがなにかをお知らせください。
> 叙情性と仰ったのは、実際に書かれている作品に、ちょっと泣かせる感じのものが多いということなんだろうなと思いました。幽霊ヒロインが出てきただけで、そういう展開になりそうなフラグが立っているみたいな。
古いカンフー映画に「少林寺もの」がありますが、どの作品でも主人公とヒロインは絶対に結ばれません。なにせ主人公がお坊さんだからです。
もちろん観客は「あー」とがっかりするわけですが、幽霊ものも同様で、相手が死んでいるだけに恋愛を描こうとすれば悲恋にならざるをえません。パターンが決まっているので、読む側の期待値も当然下がります。
逆に成就するパターンで考えれば、まさに「生き返る」、「実は死んでいなかった」しかないわけで、それ以外でやろうとすれば電子妖精やら精神生命体やらのとんでも設定にせざるをえません。やはり読む側の期待値が下がるわけです。
さらに、
> 私の考えでは、幽霊と人間の恋を成就させるためには、
> ① 最後に幽霊を人間として生きかえらせる。
> ② 主人公の価値観に大変革が起こり、人間と幽霊のままで共に生きていく道を選ぶ。
>
> この二つのどちらかになるのかなと。
というあまくささんのご意見にお返事するなら、
マイナスからのスタートを切らざるをえない幽霊もので恋愛を描こうとすれば、悲恋にたどりつくまでの過程を見せるしかなく、霊感という要素をからめづらい(この設定が入ると物語が恋愛からずれてしまうことが多い)ため、他のキャラの助けも得にくい。話をさまざまな方向に膨らませづらいので結局はワンパターンに陥ってしまう……ということが原因になるかと思います。
相性がいいというより、そうせざるをえないからそうなる。という感じで。
実にわかりにくい、長ったらしいお返事になってしまいました。
不明点等はまた再質問をお願いいたします。
一つ気になった事について質問させていただければと思います。
どこで読んだのか曖昧なのですが、「一次選考に落ちる作品は根本的な欠陥がある。だから改稿して別の賞に送るのは無意味。そもそも、何か光るものがあるなら拾い上げされるから、使いまわすくらいなら新作を書け」
……と、確かこのような内容だったかと思います。
前の二つは理解できるのですが、「拾い上げされる」の件に疑問を持ちました。
電撃大賞で拾い上げがある事は承知していますが、実際、それは他の賞でも行われている事なんでしょうか?(その応募作、もしくは作者に興味を持って連絡するような事があるのか、と解釈していただければ結構です)
また、それはどのくらいの頻度、何次選考を超えてから可能性があるものなのでしょうか?
一次に落ちた作品はおいておくべきなのか、それとも自信があれば改稿して使いまわすべきなのか……。
下読みさんの仕事の範疇ではないかもしれませんが、分かる範囲で回答していただければ幸いです。
おつかれさまです。
> どこで読んだのか曖昧なのですが、「一次選考に落ちる作品は根本的な欠陥がある。だから改稿して別の賞に送るのは無意味。そもそも、何か光るものがあるなら拾い上げされるから、使いまわすくらいなら新作を書け」
このあたりのことに関する私の見解は、『一次落ち小説の使い回しの注意点』で示していますので、お手数ですがそちらをご参照ください。
> 前の二つは理解できるのですが、「拾い上げされる」の件に疑問を持ちました。
> 電撃大賞で拾い上げがある事は承知していますが、実際、それは他の賞でも行われている事なんでしょうか?
これは普通に行われています。
通常の場合、拾い上げは編集部審査の段階で行われます(時々もっと早い段階で行われることもありますが、少なくとも二次以降になります)。
最終審査には上げられないけれども、手放してしまうのは惜しい。と編集部や編集者が判断した作品が拾い上げという形でレーベルに吸収されることになります。
もちろん、最終に上がらない作品なわけですから弱点が多く、ものによっては鬼の編集者に1ページ単位でダメな点をあげつらわれる地獄の改稿を強いられることになります。
> 一次に落ちた作品はおいておくべきなのか、それとも自信があれば改稿して使いまわすべきなのか……。
前記した記事の中で述べていますが、私個人としてはその都度新作を書くことをおすすめします。
デビューと読書の関係についての質問です。
人それぞれ、何とも言えないという一般的な答えなのかも知れませんが、たぶん、私だけでなく多くの人が迷っていることではないかと思いますので、ジジさんの個人的な思い、あるいは客観的にいえること、なんでもヒントになることがあれば教えてください。
執筆は執筆で頑張っている、という前提でご回答をお願いします。
①新人賞デビューと読書量は関係ありますか?
②月に3冊小説を読むというのは十分ですか少ないですか?
③たくさん読むべき? 繰り返し読むべき? たくさんだとしたら何冊くらい? 繰り返すとしたら何回くらい? あるいは、冊数や回数ではない読み方の近道がありますか?
④人気の動向を知るためにいろんなシリーズを1巻だけ読めばいい? ひとつのシリーズを読みとおすべき?
⑤ライトノベルだけ読めばいい? むしろ一般のエンタメを読むべき? それとも映画やゲームなど他ジャンルまで詳しいのが有利? あるいはフィクションよりノンフィクションに詳しいのが強い?
⑥上手ではない小説の欠点を見つける読み方をするのがいい? 上手な小説だけから学ぶ読み方をするのがいい?
⑦読書の量や質はデビュー後に続けていけるかどうかに影響しますか?
よろしくお願いいたします。
おつかれさまです。
では、私見になりますがひとつひとつお返事を。
> ①新人賞デビューと読書量は関係ありますか?
デビューというものだけを考えれば関係ありません。
奇跡の1本が応募時に書ければよいだけですので。
ただ、「読書=データの蓄積」です。
ラノベでなくとも、それぞれのメディアにはそれならではの文章表現や好まれる作品の傾向など、「常識」に相当するものが多々あります。
これを知るためにはまず読むしかありません。
> ②月に3冊小説を読むというのは十分ですか少ないですか?
上記の理由から、できればもう少し量を読んでいただきたいところです。
もちろん(主に経済的に)無理は禁物なのですが、自分が書こうとしているジャンルのもの、世間的に売れている人気作、ネットなどでレビューを見かけて興味を持った知らない作家の作品、この3タイプのものを3冊ずつくらいは読んでいけるとよいですね(あくまでも理想です)。
> ③たくさん読むべき? 繰り返し読むべき? たくさんだとしたら何冊くらい? 繰り返すとしたら何回くらい? あるいは、冊数や回数ではない読み方の近道がありますか?
量を読んで「これだ」と思ったものを何度となく繰り返し読む、というのがよいかと思っています。
基本的にデータを蓄積させる作業に近道はありません。
> ④人気の動向を知るためにいろんなシリーズを1巻だけ読めばいい? ひとつのシリーズを読みとおすべき?
私は前者を推奨しています。
特にラノベは打ち切られる可能性を考慮し、1巻を読み切りとして成立させているものが多いですので、データ収拾のためなら1巻だけで充分です。
読んでみて続きが気になったら、読者として続きの巻を買えばいいかと。
> ⑤ライトノベルだけ読めばいい? むしろ一般のエンタメを読むべき? それとも映画やゲームなど他ジャンルまで詳しいのが有利? あるいはフィクションよりノンフィクションに詳しいのが強い?
表現方法の妙や作品を光らせるための発想は、どこからやってくるかわかりません。
その不確かなものを確実に受信するためにはより多くのアンテナが必要ですので、できうる限りいろいろなメディアに親しむのがよいですね。
> ⑥上手ではない小説の欠点を見つける読み方をするのがいい? 上手な小説だけから学ぶ読み方をするのがいい?
実行できるならどちらも同時にするべきです。
特に作品の軸となっている設定の構造とそれをからめた展開、キャラクターの作りかたと立て方、この部分に注目して読むようにしましょう。
> ⑦読書の量や質はデビュー後に続けていけるかどうかに影響しますか?
繰り言になりますが、読書量はデータ量です。手持ちデータの少ない人間は使えるデータが少ないため、すぐワンパターンに陥り書けなくなります。
おはようございます。いつも丁寧な回答をしてくださるご姿勢に感謝しております。
>このあたりは前のレスで述べたとおりです。
>不明点等あれば、お手数ですがそれがなにかをお知らせください。
とのことですので、以下、いくぶん失礼かと迷いましたが、よくわからなかった点を書きます。
>また、なにが「ありがち」かと言えば、「幽霊ものは大概が恋愛もの」であるという点ですね。
>言い換えれば、恋愛要素がスパイスではなく、恋愛の成就こそが物語の軸――メイン素材になっているものが多い。
>人間と幽霊の恋愛という困難な問題を取り上げるからこそ起こってしまうありがちさなのですが、だからといって恋愛以外のものにはし難い理由があるのです。
>それは幽霊もので叙情性以外のものを追求しようとすれば、コメディかホラーにしか成り得ないからです。ネタそのものの発展性が狭く、幽霊という存在のもつ個性が固まりすぎていて動かしづらいとも言えますね。
ここなのですが、「幽霊ものは大概が恋愛もの」→「恋愛以外のものにはしがたい理由がある」→「幽霊もので叙情性以外のものを追求すると、コメディかホラーにしかなりえない」という論旨ですね?
これですと、コメディかホラーではなく恋愛ものを選択することが大前提になっているので、論旨が循環している気がします。
・それなら、なぜコメディかホラーを選択しないのか?
・恋愛ものイコール叙情性なのか?
この2点に疑問をもったため、再質問しました。以下です。
>コメディとホラーと叙情ものに応用できれば、そう狭くもない気もしますが。
>思うに、幽霊だろうとドコモショップの職員だろうと、ヒロインとして登場すれば読者は主人公との恋の成就を期待するということなのでは?
2行目は私の方が勝手に話を先に飛躍させてしまっているので、判りにくかったことをお詫びします。
つまりジジ様の上の説明では、なぜ恋愛ものになってしまうのか判らず、もっと単純にラノベだから恋愛重視なのだと考えた方がいいのではないか? と質問したわけです。
そして、私見では、幽霊ヒロインがありがちな展開に陥るのは、
① 幽霊というモチーフには死がからむため、叙情性(感傷)と相性がよい。
② 主人公との恋愛展開を、安易に叙情性(感傷)で処理しようとするから、ありがちになってしまう。
こういうことではないかと思ったので、ジジ様が多くの(幽霊ヒロイン)作品を読んでこられた中で、ホロリとさせる方向性のものが多いということがありますか? という質問でした。
長くなるので、とりあえずここまで。
後ほど、続きを書きます。
おはようございます。
この流れで納得していただけるか不安ですが……
幽霊ものが恋愛もの一択になった理由についてですが、ホラー(恐怖)とコメディ(恐怖を逆手にとったおかしみ)が幽霊もののすべてだったところに、映画などの影響で新しい型である「幽霊恋愛」が提示されたことがあるかと思います。
そのことでホラーやコメディはある意味で古いネタとなり、選択されなくなってしまったと。
そもそも幽霊は万能すぎる存在なので使いにくいものです。ですので、ホラー映画などではほぼもれなく「その幽霊が現われる/祟るためには儀式や条件づけという制約を乗り越える必要がある」ことになっています。
その制約の新たなスタイルこそが「絶対に生者と結ばれ得ない悲しみ」かと考えているわけです。
ただ、この論には、応募作における幽霊ものの傾向という私個人が感じているだけのデータが介在していますので、そもそも論自体に偏りがあることは確かです。
ただ、
> もっと単純にラノベだから恋愛重視なのだと考えた方がいいのではないか? と質問したわけです。
この部分に関しては、ラノベだからということではないかと。
ラノベで恋愛をメインのネタに据えるのは、大きなアクションやキャラ萌えを入れにくいだけに非常に難しいものです。
まあ、だからこそ、その中で少しでも大きな感動や達成感を演出するため、悲恋の叙情というワンパターンを踏んでしまいがちなジャンルとも言えるのですが。
このあたりは
> ① 幽霊というモチーフには死がからむため、叙情性(感傷)と相性がよい。
> ② 主人公との恋愛展開を、安易に叙情性(感傷)で処理しようとするから、ありがちになってしまう。
というご意見に当てはまるものかと思います。
ただ、こうなってしまう理由はあくまでも結果論であり、特に1に関しては作者が意図してそうしているわけではないのだろうな、と感じています。
> ジジ様が多くの(幽霊ヒロイン)作品を読んでこられた中で、ホロリとさせる方向性のものが多いということがありますか? という質問でした。
むしろそれ以外のものは読んだ記憶がありません。
「幽霊=悲恋」のパターンは非常に強固で揺るぎないです。