> 以前にも何度か述べていることではあるのですが、「○○(キャラ名)は実は●●(職業名/種族名/能力者名)だったのだ!」というパターンは非常に多いです。意外性を狙うなら、このパターンは踏まないほうが無難です。
確かに、有名な作品でも多い……というよりも、私の好きな作品ではこの手法が全てに使われているように感じます。
というわけで、この点について再質問を失礼いたします(こんなにレスを重ねてしまっていいのでしょうか、お手数をおかけします)。
私の見識が狭いせいもあるかと思いますが、私は、「読者を物語に引き込むためには、読者にとって価値のある情報を開示する」ことが必要だと感じております(このサイトのあちこちに同じようなことが書かれていたと記憶しております)。
そして、読者にとって価値のある情報とはすなわち「謎」であり、これは、キャラクターや世界観、ストーリー展開についての疑問に他ならないと思うのです。
意味深な行動を繰り返すキャラクターに対しての疑問は、「○○(キャラ名)は実は●●(職業名/種族名/能力者名)だったのだ!」で解決されたり、魔法少女は良いことばかりではなく実は魔女と成り果てる運命なのだ! という具合にです。
要するに、上記のテンプレートを使用していない作品を私は知りません。
しかしどの作品も、一度だけではなく複数回の使用によって、物語に深みを与えたり引き込む要素を作ったりしていると感じております。
さて、やっとこさ質問です。
ジジ様のおっしゃる「○○は実は●●だったのだ!」というテンプレートは、厳密にキャラがなにがし、という構造なのでしょうか?
それとも、キャラではなく物質や世界観のことについても「実は!」というものを使用していれば同一のものなのでしょうか?
また、複数回にわたってひっくり返したり、階層を掘り下げていく使い方をすれば、このテンプレートは使っても問題ないのでしょうか?
(もしそうであれば、つまり、安直に上記のテンプレート一回のみ使用で構成されている作品がほとんどということでしょうか?)
> バッドエンドフラグを主人公が立てていく過程(主人公の心情が変化していく様子)を飛ばすことなくエピソード化し、作品の要所要所に配置するのがよいかと思います。そこに妹との関係性の変化を盛り込めるとなおよいですね。読者の目を主人公と妹の行く末に注目させられます。
なるほど、全て読者に開示することで、時間とキャラクターの変化と共に読者も変化していけば(没入させる)問題ないということでしょうか。
何度も本当にありがとうございます。
お手すきのときで構いませんので、どうぞよろしくお願いいたします。
> ジジ様のおっしゃる「○○は実は●●だったのだ!」というテンプレートは、厳密にキャラがなにがし、という構造なのでしょうか?
このパターンが非常に多いです。ですので、
> また、複数回にわたってひっくり返したり、階層を掘り下げていく使い方をすれば、このテンプレートは使っても問題ないのでしょうか?
「実は~」と強く押し出すのではなく、キャラの関係性や物語を転じるためのしかけをした上で工夫をしていただければ問題ないかと。
> なるほど、全て読者に開示することで、時間とキャラクターの変化と共に読者も変化していけば(没入させる)問題ないということでしょうか。
すべてを開示する必要はありません。それこそ「謎」をどこかで演出するため、いくらか隠す要素を作るのもよいかと思います。
ただ、主人公と妹の関係性の変化は物語の軸になるものですよね?
であれば、その関係性が変化する(心情的な)理由と過程を描くことはドラマシーを高めるためには有効な手です。さらに、主人公と妹は互いの心情が変化していっていることを知らない……という演出を加えたりすれば、さらに見せ場を盛り上げることもできそうですね。
どのような手を使うにせよ、クライマックスをいかにドラマチックに見せられるかを考えてみてください。
はじめましてジジ様。ころんといいます。
今年電撃大賞に送ったのですが、どうにも不安なことがあります。
・読みづらい文章。
・最後にストーリーとは関係ないのですが、よくわからない矛盾(描写ミス)。
・キャラが女性ばかりで主人公も女性。
上記の三つではどれが一番マイナスになりますか?
いや実はですね、この三つすべて応募作に……ゲフン
あともう一つよろしいでしょうか。
ジジ様が最近下読みされたもので「これはすごい!」と感じられた作品は何作ありますか。
設定(ネタ)や実際の内容がわからないので、それを考慮しないでの順位づけになりますが、
1位:読みづらい文章
読みづらさの質によりますが、やはり小説というメディアである以上、文章の質は目に付きやすいものです。うまくない、というものならそれほどのマイナスにはならないかと思いますが、読者対象層にそぐわない文章(やけに難解、スマホ小説系の文法運び等)、オリジナリティが迸りすぎてわけがわからない文章などはかなりのマイナスになりますね。
2位:最後にストーリーとは関係ないのですが、よくわからない矛盾(描写ミス)
この構成でなぜこのエピソードがこんなことに? となり、構成のチェック欄でマイナスがつくことになります。
3位:キャラが女性ばかりで主人公も女性
物語において重要キャラが女性のみでなければならない必然性があるなら、この項目は気にしなくても大丈夫かと思います。
> いや実はですね、この三つすべて応募作に……ゲフン
ネタとキャラに光が宿っていれば一次は大丈夫! まずはご自身が向き合い、完成させた作品を信じましょう。
> あともう一つよろしいでしょうか。
> ジジ様が最近下読みされたもので「これはすごい!」と感じられた作品は何作ありますか?
今年はこれまでに500本ほど読んでいますが、今のところ0本です。
「設定を使い切る」について
ファンタジーです。
主人公とヒロイン、その他取り巻きたちは殺し屋という設定です。しかし戦闘は一切ありません。仕事している……という描写はありますが、直接は書きません。
物語は、主人公とヒロインが結婚式(のようなもの)をあげる話です。
でも、殺し屋は当然本名ではやらないし、主人公もヒロインも殺し屋になる前だった本名を捨てているので籍を入れることはできません。
殺し屋故に籍は入れられないし、まともな結婚式もあげられないけれど、主人公と取り巻きが、愛に飢えているヒロインに幸せになってもらおうと努力する。
これは殺し屋という設定を使い切ったことにはなりませんか。
素直に物語をかえて殺し屋の設定らしく、殺伐とした物語をつくったほうがいいですか。
・主人公とヒロインがくっつく前(戦闘あり)
・主人公とヒロインがくっついた直後(戦闘あり)
・主人公とヒロインがくっついてしばらくたったあと(戦闘なし、上記に書いた結婚式の話)
と切り取る時代を変えれば、設定をそのままにして、物語を変えることはできるのですが。
> これは殺し屋という設定を使い切ったことにはなりませんか。
ストーリーがわからないのではっきりと言い切れないのですが、物語を構成する主要なエピソードすべてに殺し屋要素が入っているならばよいのではないかと思います。
また、
> と切り取る時代を変えれば、設定をそのままにして、物語を変えることはできるのですが。
ですが、切り取るよりも、主人公とヒロインの想いの変化を見せるため、時系列で並べていくほうが自然かと。
大ざっぱにですが、このように思います。
こんばんは、また顔を出してくださって嬉しいです。
ジジさんのアドバイスはとてもわかりやすく、勉強になります。
謎に満ちた新人賞、こうして関係者に質問をさせてくれる機会を与えてくれるなんて、とても嬉しいです。
さて、前置きはさておき、質問に移りたいと思います。
80枚以上、150枚が規定枚数の新人賞があったとします。
例
・150枚にびっしりと文字が書かれた作品
・150枚にゆるゆると書かれた作品
・100枚にゆるゆると書かれた作品
・120枚に何も意識しないで書かれた作品
・80枚にびっしりと書かれた作品
などなど。
文章力と作品の面白さは同じとして、どのような作品が下読みをしている中で頭に入りやすいでしょうか?
読んでくれる下読みさんの読みやすいように作品を書きたいと考えています。
どんな風に書かれたら読みやすいか、ぜひ教えていただきたいです。
お気づかいには感謝いたしますが、下読みよりもその向こうで待っている読者のみなさんのことを考えてあげてください。
下読みとは履歴書の趣味・特技欄に「読書」と書かねばならぬ宿命を負わされた呪われし民なので、よほどおかしなものでなければ愉快に読んでしまうものです。
よって、「80~150枚の範囲でゆるめに書かれた作品」が読者にやさしいと判断されるかと思われます。
ジジさんお久しぶりです。
今回も面倒な質問をするかとは思いますが、どうぞ宜しくお願いします。
●質問1
私は今、日常が崩壊し、非日常に展開していくストーリーを新人賞向けに考えているところで、全体の六分の一程度(第一章に相当する部分)を使い、日常と、それが崩壊する引き金となる場面を書こうと思っています。
ですが、序盤から現代の高校生活の描写をするだけでは掴みとしては弱いですよね?
やはり、プロローグとして衝撃的、インパクトのある、もしくは興味をそそるような展開を入れるべきでしょうか? それともまだ足りないでしょうか?
●質問2
ジジさんの個人的な結構を頂きたいのですが、応募作品を分類するとなった場合、以下のような作品はそれぞれどの程度の割合を占めているものなんでしょうか?
可能でしたら、具体的な本数までお答えいただければと思います。
「応募規定違反」
「小説としての体をなしていない」
「ギリギリ読める」
「率直に面白い」
「受賞を確信できる」
> 質問1
> やはり、プロローグとして衝撃的、インパクトのある、もしくは興味をそそるような展開を入れるべきでしょうか? それともまだ足りないでしょうか?
それで大丈夫かと思いますが、一応今簡単に考えつく展開パターンを挙げてみます。
1.冒頭にまさに日常が破壊されるその瞬間のシーンを入れる
2.1章で綴られる日常描写、その1パートごとに崩壊の予兆(伏線)となる短エピソードを挟み込んでいき、1章の最後で一気に伏線を起爆させ、崩壊させる
1は王道の手法ですので、2のほうがおもしろくできそうな気がしますね。1と2を合わせるのもわかりやすいでしょうか。
どのような手法を使うにしても、「章や項で描かれる事件とは、その長さに比例するだけの大きさがなければならない」ことは意識してください。
応募作には、物語の始まりを語る章が事件の大きさに比べて長すぎ、冒頭から冗長になってしまっているものが多いです。
> 「応募規定違反」
毎年1、2本程度ですね。短い物語を規定に合っているように見せかけるため、こっそりページ設定をいじったりしたものがあります。
> 「小説としての体をなしていない」
少なくとも紙原稿での応募が義務づけられている賞では思い当たりません。
> 「ギリギリ読める」
惜しい! と思うものは、全体の9割8分ほどかと思います。
> 「率直に面白い」
年に10本あれば豊作という感じです(基本的にはこの枠の中に収まる作品に受賞を期待することになります)。
> 「受賞を確信できる」
年に1本あるかないか、です。