ジジさんのQ&A 2014年03月26日
〈ジジについて〉
小説ではありませんが専業の文筆業です。
その業務のひとつとして「下読み」を請け負っています。
読んでいるジャンルは、男女それぞれ向きのライトノベルと一般(ヤングアダルト)になります。
〈このスレの目的〉
小説と日々向き合っている賞への投稿者の方、創作者の方には疑問や不安が多々あるかと思います。それを下読みの立場で少しでも解消できればというのが第一です。
ですので、質問の大小も既出かどうかも気にせずどうぞ。職域からはみ出さない範疇でお返事いたします。
そして第二は、みなさんとのやり取りの中で、私の中にある物語論を明確化していきたいというものになります。
●答え●
高校生主人公というのはそこまで強いのですか?
私は内容が面白ければ主人公の年齢なんてどうでもいいと思ってるラノベ愛好家です。むしろ高校生主人公だと分かると「またかよー」と食傷するぐらいです。過去スレでも書きましたが、重要なのはかわいい(魅力的)ヒロインの有無であって、主人公の年齢を無理やりティーンネージャーにしなくて良いと思っています。
中学生主人公も含めて強いと言うしかありません。
レーベルとしてはラノベの主力読者層である中高生を意識せざるをえませんし、中高生男子が主人公に自分の目線を預け、「主人公=自分」というカタルシスを得るにはできるかぎり立場(社会的身分)の近い存在であるほうがハマるからです。
そして極端な例えですが、魅力的なヒロインと愉快に過ごす41歳初老男子(=読者)という主人公を中高生が喜ぶか? という問題でもありますね。
ちなみに私は結構歳上主人公の応募作も上げているのですが、今のところ一作として受賞していません。
ですので、賞において少しでも受賞確率を引き上げたいなら、主人公くらいは「無難な年齢設定」にしておいて、設定を尖らせるほうがよいかと思います。
回答ありがとうございます。
高校生が主人公ではない受賞作品についてはどう思いますか?例えば第20回電撃小説大賞の「博多豚骨ラーメンズ」(2014/2/25刊行・メディアワークス文庫)「ゼロから始める魔法の書」(2014/2/8刊行・電撃文庫)などです。
追記:梗概がつまらなかったから本文を読まずにポーイというのは、ぶっちゃけあるのでしょうか。
おつかれさまです。
メディアワークス文庫は「ラノベを読んでいた20歳~」をターゲットにしたヤングアダルトなのでさておきますが、
私自身は主人公の年齢を気にしたことがありません。
ただ、それは私がすでに中高生ではないから、という要素が大きい気はします。
主人公は、読者が「自分にもこの主人公と同じ要素がある!」と感じられることこそ重要です。
この「同じ要素」の中でもっともハードルの低いものは年齢や性別になります。
だからこそ中高生向けの主人公は中高生が無難であり、オトナ向けの主人公は社会人が無難となるわけです。
>追記:梗概がつまらなかったから本文を読まずにポーイというのは、ぶっちゃけあるのでしょうか。
ないです。最初のページから最後のページまですべて、評価メモを作りながらすべて読みます。
最近のラノベ応募作で減少、増加傾向にあるジャンルは何ですか?
忍者ものはさっぱり見かけなくなりました。
ファンタジーは盛り返しているなと、複数の賞で感じています。
そのファンタジーの盛り上がりは何年くらい継続しそうか、また、あとどれくらいでピークに達するか、もし予測ができましたら聞かせて頂けないでしょうか?
また、ジャンルによって流行の期間に差はあるのでしょうか?
私には、あと数年もしくは十数年したら描いてみたいハイ・ファンタジーの構想があるのですが、果たしてそれを書く頃にはファンタジーがまだ求められているのかどうか、大変不安です。
ラノベの流行は本当に読めないものです。
だからこ『2014年3月ラノベ新人賞の傾向』のような状況が生まれ、大賞作が売れずにみんなが困る。という状況が生まれてしまっているのです。
ですので、流行のピークは常に「今このとき!」であると考えるべきでしょう。
> 私には、あと数年もしくは十数年したら描いてみたいハイ・ファンタジーの構想があるのですが、果たしてそれを書く頃にはファンタジーがまだ求められているのかどうか、大変不安です。
ハイファンタジーということは、中世ヨーロッパ的な世界観に妖精や神魔を加えた剣と魔法の物語。という解釈で合っていますでしょうか?
このようなある程度以上の考証と設定が必要なジャンルはそれほど強い需要はないかと感じていますが、キャラクターをラノベ向きに立てられれば威力を発揮する可能性があります。
ただ、前述した理由から、ファンタジーが復権している今こそ書くべきかとは思います。
始めまして45といいます。
早速質問なのですが、下読みの方の読む速度というのはどの程度なのでしょうか?
私自身の話をすると、買ってきた本は一、二時間もあれば読み終えられるのですが、自分の作品となると数時間、へたをすれば十時間前後かかってしまいます。
もちろんこれは推敲(する気がなくとも気になると修正してしまうので)しているからでしょうが、実際に下読みの方はどのくらい文章を細かく、時間をかけて読むのでしょうか?
(大まかなストーリーだけを追うのでしたら、推敲の時間も短縮できてありがたいのですが……)
人それぞれで変わるでしょうし、作品の長さや読みやすさにも影響させると思いますが、ご返事を頂ければと思います。
他の下読みさんの速度は聞いたことがないのでわからないのですが、私の場合は1日あたり、評価メモを作りつつ5~6本です(読む時間は6~7時間です)。
読む速度は自分にとっての「普通」。
普通に読んで「この設定はどこに説明があった?」、「このキャラとこのキャラの関係性を見せるエピソードは?」などの疑問点・不明点があるなら、それは作品の構成や構造に問題があると判断できるからです。
細かく読み過ぎれば余計なあら探しをしてしまいますし、流し読みしてしまえばプラス要素も見落としてしまいます。
ですのでフラットな気持ちで「普通に」を心がけています。
どうも、お疲れ様です。
小説執筆とは少し違う質問かと思いますが質問を。
日本で大ヒットしたものは海外にもウケますが、日本人には日本人の、海外の人は海外の人の、娯楽作品に関する好みの特徴があると思うのです。ハリウッド映画と日本の映画くらべたりするとだいぶ雰囲気違うなぁ、と。
それでグローバル化グローバル化といわれているこの世の中ですが、新人賞の選考のさい、そういった「海外の人にもウケる」というなことは考えられて選考なされるのでしょうか。それとも日本人から見て、なのでしょうか。
わかりにくかったらすいません。
完全に日本人のみをターゲットにして、さらに言えば中高生を中心に据えて選考しています。
海外マーケットというものの中で「日本語だからこそ通じるネタや言葉(セリフ)遊び」がどこまで通じるのかは非常に正解が読みづらい問題です。
また、欧米ではオトナが主人公の作品でなければオトナ向けとは認めない傾向が強いです(中高生を含む子供が主人公の作品は子供向け)。ある意味、日本以上に好まれる主人公像が狭いのです。
だからこそ桜坂洋氏の『ALL YOU NEED IS KILL』は若手俳優ではなくトムさんが演じなければならないわけですし。
お返事がズレていましたら再質問をお願いいたします。