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AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~
ウェルカム、妄想戦士!? その日。宿題を忘れた俺は、夜半に忍び込んだ学校で彼女と出会った。 教室に向かう階段の踊り場。冷たい月の光のスポットライトを浴び、闇を見据えている少女。美しい――。 そこには、人を惹き付けるオーラを放つ青の魔女がいた。 ……いや待て、冗談じゃない。妄想はやめた。 俺は高校デビューに成功したんだ! そのはずだったのに、この妄想女はッ! 「情報体の干渉は、プロテクトを持たない現象界人には防ぐことはできない」 「何いってんだかわかんねーよ」実はだいたい理解できていた。 田中ロミオ、学園ラブコメに挑む――!?
だがラノベ主人公よろしく異界の魔女とこれまたラノベチックな邂逅を果たしてしまい、 それは容易に打ち砕かれた―― 折悪く彼のクラスは血気盛んなドリームソルジャーたちの伏魔殿。敵は容赦無く彼らに襲いかかる! そして二人の絆が崩れそうになったとき、封印されたはずの魔竜院光牙が復活し、 最後の闘いに臨むッ――(一部某サイトより引用) ゲーム業界の電波ゆんゆん…… もといストーリーテラーとして著名な田中ロミオ氏初の学園ラヴコメディー。 学園ラブコメと銘打ってあるが、 その実コメディー、ファンタジー、恋愛、青春物語など多様な要素を含蓄してます。 そしてそのすべてが、洗練されてて、高水準にまとまっていることに感心。 文体もコミカルで読みやすく、もともと実力のある作家であるから軽薄にもなっていません。 序盤は多少冗漫であるものの、中盤まで読み進めれば、 もはや流転する展開の虜になっているのではないでしょうか。 終盤は非常に爽快に締め括られており、痛くてきめぇのカッコよくて爽やか、 というアンビバレントで不思議な読了感を与えてくれます(笑) 一冊の密度が他の作品と違うな、と思わずにはいられない出来でした。 そうそれと、この作品に出てくる登場人物たちの名前がいい。 といっても佐藤とか鈴木とか木下とか少々イモい(スミマセン)んですが、 妄想戦士たちの自己設定の非現実さと対比してて滑稽で面白いし、 「ユミナ」や「小鳩」みたいな周りとは違う存在が浮彫になってて、そこは巧いなと思いました。 世界観に似合ったキャラ名の運用がよくできてるなぁと…… お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? アノ子もいいんだけど、やっぱり佐藤良子さんでしょうか。 この人ほんとに異世界の方ですかってくらい怒涛のディティールで描かれていて、 始終その素生に一切触れられなかったせいか、本を閉じた今でも神秘的な存在です。 その癖うっかり漏れる人間っぽさとか、弱さがあって。そのギャップがすごく魅力的でしたね。 イラストもめちゃくちゃ可愛いですし。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? ちょこちょこまろび出るメタフィクショナルな部分が気になって仕方ない(笑)
HAHAHA、そんなことがあるわけないじゃないかアンソニー。 ほら、ページ検索でちょちょいのちょいっと……あれ!? ないよ!? だったら俺がやったらあ! という脳内小芝居やっちゃうくらいに面白いです。 よくわからん? ですよね! 物語の始まりはよくあるボーイミーツガールです。 教科書を忘れた主人公が夜中の学校でヒロインに出くわします。 その次の日に学校で再会するんですが、その辺りから日常が崩れだし、 あるページを境にクラスメートは本性をむき出しに。 そうなったクラスメート群は……それは読んでからですね。 あと、文章。これが凄くいいです。 主人公の一人称形式で話は進むんですが、 その言い回しが読ませる文章になっていてするすると読むことができます。 軽めなのに、安っぽいような感じがあまりしません。 特に、胸に手を差し入れ、心の湖をすくってみる。錆びついたものが出てくるはずだった。 てのひらが包み持つものは、しかし透明な輝きを放っていた。 という文章が上手いと思いました。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 絶対安藤たつお。 ここから先は若干のネタバレです。 だってその正体は<闘装騎震イグナイト>だから。 イグナイトってのは実はただの人間じゃなくてですね……おっと! うかつに話してしまうところだったぜ。いかんいかん。 ……真面目に。 主人公の佐藤一郎。 ここから先はネタバレです。 彼がヒロインの佐藤良子を救うために、かつての自分を味方につけ、 魔竜院光牙に変身するシーンは最高に燃えます。 その時にタイトルが持つ意味を理解し、 これにはこのタイトルしかない! と思うことになるでしょう。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? ない! と言いたいんですが、どうしてもこの作品を語る上で避けられない欠点があります。 容赦なくトラウマ抉ってきます。 読んでて過去の自分を思い出し、「あああああ……」って感じに恥ずかしくなります。 現在いわゆる中二病ってのにかかっている方には少々きついかも(笑) 特に主人公の過去。
この作品は「ファンタジー」という世界が色濃く映し出されています。 主にヒロイン・クラスメイトの一部の「脳内」で。 「電波ちゃん・電波くん達」と言い換えると一般化されて解りやすいでしょうか。 <邪聖剣士ツヴァイ・バンダー>であったり<闘装騎震イグナイト>であったり <織田流第六天魔剣の継承者>であったり様々な「脳内設定」を持ち合わせています。 そしてそれがクラスの大半であるという衝撃事実。 そんな中でもヒロインは、薄手のインナー、その上に足元まで隠す青いローブ、背の高い杖、 という魔女の風貌を引っ提げて堂々とやって来ます。 学校に。 極めてハイレベルな電波をひしひしと感じずにはいられない様相。 その色濃い方々(ヒロイン含む)に妙に絡まれてしまう主人公。 「クラスで遜色のない位置に就く」ことを目指し高校デビューを図っている主人公にとって、 その絡みは弊害でしかない。 果たして主人公の行く末は!? ……というコメディ的なノリだけでは進行しません。 当然現実ではそのような突飛な風姿は異端と見做され、 それ相応の「対処」が「現実」の手によって執行されてゆきます。 それは極めてリアルです。 この作品は妄想側の馬鹿さ加減に笑い、現実側の当然に頷く、 という感覚を味わうものではないかと思います。 また、後半の「現実」には当然に発生するであろう「痛み」が存在します。それも一つの見所です。 唐突ですが、電波表現が秀逸です(笑) この作品の作者はとある業界では有名な方で、その筆力も確かとされているためか、 電波文面も非常にレベルの高い水準にまとまっています。 一般人では到底届かない妄想レベルを次々と展開しています。 ちなみに作品中ではこのような妄想世界(設定)を強く好む人物達を総称で 「妄想戦士(ドリームソルジャー)」と呼んでいます。 これがどう「ラブコメ」になるか、その辺も意識しながら読み進めてみるのもいいかもしれません。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? ヒロインの佐藤良子です。 妄想レベルが他の「妄想戦士」等とは一線を画していて、そこに惹かれました。 ちょっと行き過ぎるぐらいがこのノベルにあっていて良かったですね。 ただし美少女に(ry この作品の欠点、残念なところはどこですか? 取り立てて述べる程の部分はありません。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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