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カウンセラー
一家四人惨殺――。突然の惨劇が小学校の女性教諭を襲う。 その凶悪な犯行は十三歳の少年の手によるものだった。 法の壁で守られているとはいえ、家族を殺害した重犯罪少年への憤りと憎悪は抑えきれない。 彼女を復讐へと向かわせる何かが心の中に宿った。 不登校の児童を立ち直らせるため独自の音楽療法を用いる彼女に、 かねてから注目していた臨床心理士・嵯峨敏也は、少年犯罪の果てに墜ち、 一線を越えた彼女の“もうひとつの顔”を目撃することに。 精神医学と臨床心理学を背景に徹底したリアリズムで描いた、 新機軸サイコ・サスペンス「催眠」シリーズ最新作。
そのため、過去の作品についての話が新作に舞い込んできたりする事も非常に多いです。 おすすめするのは、作品タイトルにあるように『カウンセラー』 (何作目かはわかりません。すみません)ですが、その前の作品も読んで頂けたら、 より楽しんでこの作品を読み進めていく事ができると思います。 『カウンセラー』に限らず、松岡さんの作品は人間の心理に関した内容がほとんどです。 主人公は、臨床心理士です。 大規模なテロ発生の可能性を描いたものや、日中開戦の危機感を描いたものがあり、 そのどれもが結末は読者の予想しえないものとなっています。 きめ細やかな文章は、真面目な中にも笑いを誘ってくれます。 現実の中に繰り広げられた話なのに、非現実的な空間を持つ松岡さんの作品は、 私の中では天下一品です。 おもしろいところは、上にあげたように意外な展開と結末、 真面目な中にものぞく笑いを誘うシーンです。 ちなみに、人間の心理に重点を置いているだけあって、 登場人物の心の動きも非常に丁寧に描かれています。もう、素晴らしいです。 長くなりましたが、とにかく素晴らしいんですよ! ほんっと、松岡さんには申し訳ありませんが……紹介するにはあまりに内容の無い文章で……。 こんな拙い文章でしたが、興味のあるお方はぜひ読んでみて下さい。
美由紀さんは、強さと弱さ、厳しさと優しさなどを併せ持った不思議な女性です。元航空自衛官。 ヘリを操縦します。バイクも乗れます。ピアノも弾けます。バイオリンも演奏できます。 臨床心理士の資格も持っています。元国家公務員でもあります。歌も上手です。 スタイルも良く、美人です(童顔でもありますが)。もうほんっと、素晴らしい! 嵯峨さんは、少し神経質で弱気なところのある男性です。でも臨床心理士としてはとても優秀。 体は華奢ですが、実は強かったりします(笑)。ちなみにヘリは駄目です。 とても優しくて、美形です。細いし背は高いし。設定では稲垣吾郎に似ているとか。 ……正直、最近読んでいるのが美由紀さん中心の作品なので、嵯峨さん印象薄いです。 あ、でも大丈夫ですよ! 読んで頂ければわかると思いますが、 本当に嵯峨さんも素晴らしい人なんです! 今は、あまり嵯峨さんの事が頭に浮かびませんので紹介も詳しくできませんが……(泣)。 好きなところですか? そうですねえ……細かいところまで曖昧にしない文章とか、 登場人物の個性とか、物語の構成とかですね。何といったら良いのやら。 まあ、とにかく素晴らしいの一言です(汗)。
読者がどこか一歩引いてしまうような、専門的な事も描かれます。 欠点と言われても、それ以外には思い浮かばないのですが…… 個人的な事を言えば、嵯峨さんがあまりにも気が多いので、読者は迷いますね。 女子大生に恋してみたり、かと思えば精神病の女子高生だったり、相談者の女性だったり。
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クイックセーブ&ロード
頭の中で強く「現状をセーブしたい」と思うだけでいい。 脳に針を突き刺したような感覚が走れば「セーブ」は成功。 あとは死ねば人生が「リセット」され、「セーブ」した過去まで巻き戻される。 そしてまた僕は屋上から飛び降りた―― 覚悟もなく、遺書も書かずに。 「さようなら、サカキキヨト」……その時、向かいのビルに動くものが見えた。 闇の中を、自分と同じく落下してゆく少女の姿。 地面との衝突寸前、彼女がふと、こちらに視線を向けた―― その顔を見て僕は驚く。なぜならそれは、まぎれもなく""あいつ""の顔だったからだ。 クールな筆致の推理ロマン傑作!
主人公の榊潔人は、自殺することで指定した過去に戻ることのできる、 『人生のセーブ機能』を持った少年です。 彼は、その機能を使い、悪戦苦闘しながら幼馴染を悲劇から救い出そうとします。 さて、なんといってもこの作品の魅力は、しっかりと「練られて」つくられていることです。 作品の根幹ともいえる、「セーブ機能」の設定がきちんと考えられている上に、 作品の中にぴったりと組み込まれており、ミステリとしての要素とからめて非常に巧く見せてくれます。 ミステリとしての出来もそれなりのもので、前述の「セーブ機能」ありきではありますが、 真相にたどり着くまでの展開にも引き込まれるものがあります。 最初から最後まで悩み続ける主人公を初めとして、 登場人物の心情表現をかなり生々しく描いているのも特徴です。 登場人物は皆、何かしら心に影や、傷を持っています。 それをやはり、「セーブ機能」を中心に据えることでしっかりと描写している一貫性には脱帽です。
自分の弱さや、無力さに苦悩しながらも、大事なところでは迷わない『強さ』が魅力的です。 普段は、自己嫌悪をするような言動や、 「セーブ機能」を使いすぎたが故の人生への諦観などマイナスな思考が多い彼ですが、 大事な局面では、しっかりと「主人公っぽさ」を発揮してくれます。
某同人ゲームのパクリのような印象を受けてしまうところでしょうか。 実際、発想はそこから得ているかもしれませんが、 独自の設定や物語への関わらせ方に作り上げられています。 内容については、あまり際立った欠点のない作品ではありますが、 強いてあげるとするならば、物語全体の暗さでしょうか。 先ほども書きましたが、潔人の一人称にマイナスな言葉が多い上、 物語の展開も重いものではありますので……。 以下は若干ネタバレになってしまいますが―― 潔人は幼馴染を悲劇から救い出すために奮闘します。 「セーブ機能」を使って悲劇が彼女を襲う前に何度も戻ることで、事件を解決しようとします。 しかし、毎回、毎回何らかの原因によって失敗してしまいます。 そのたびに登場人物が死んでしまい、主人公が苦悩する姿を見せられるのは、 少しつらいものがあるかもしれません。 ただ、その雰囲気やテーマの深い掘り下げが魅力でもあるので…… 一概に欠点とするのは難しいところです。
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あれ!? その小説、もしかして105円で売られていない? |
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