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三辺は祝祭的色彩
「―“3”は境界の数。つまり、我々は境界上に立つ三人ということだね」 「彼女」の勅命を受けた三賢者は静かに行動を開始する―。 学園で起こった殺人事件を解決して以来、奇妙な関係を続けている朝倉渚と日阪道理の二人は、 クラスリーダーの勧めで情報学によるVRショウ「ファンタズム・タッチャブル」に参加することに……。 高度な技術を使った音と光の演出に魅入られる参加者。 仮想と現実の境界が希薄になったその時、二人を巻き込んだ殺戮のゲームが再び幕を開ける! 朝倉渚と日阪道理が繰り広げる、サイバーミステリー「φシリーズ」第2弾。
恋愛系的要素が混ざっていそうで混ざって無いミステリー小説です。 キャラクターも個性的で、はまりますね。 第一巻の『飾られた記号』を読まないと多少分からない所がありますが、 一巻より二巻の方が面白いです。
会話が少なく、残念な所もありますが、 キャラとしてはクールで格好良いです。
あと、一巻を読まないと多少分からないところがあり、 事件のトリックも、専門用語が使われている。
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SHINO ―シノ―
「…おじゃまします」僕のアパートのドアをノックも無しに開け、 当然のように無言で部屋に上がり込む彼女―支倉志乃ちゃん。 彼女は小学五年生。僕は大学一年だけど、志乃ちゃんがまだ小さなころから知っている。 いわゆる幼なじみというやつなのだ。 彼女はグリンピースが嫌いなこと以外、おとなしくて全く手のかからない良い子だ。 だけど、僕には一つだけ心配な事がある。 志乃ちゃんは猟奇的な事件や怪事件にだけ異常に興味を示すのだ。 僕は、志乃ちゃんにはワガママでもいいから普通の小学生でいて欲しいのに。 けれど、そんな僕の気持ちなんかおかまいなしに、 彼女は一人で危ない事件の謎に近づいていたんだ。 大学生の僕とクールな小学生の志乃ちゃんが贈る純愛系ミステリー、登場。
この作品、純愛ミステリーと銘打っていますが、中身はとにかく凄惨なダークミステリーです。 なので、以下作品風に語ってみます。 推理小説ではあるけれど、考えるべきは事件ではなく人の心理。 人が死ぬけれど、本当に重視すべきは死んだ事実ではなく意味。 全ての人が正常に見えて、その実全てが狂っている。 そんな、倫理や道徳、あるいは常識すら無視した、ある種の怪物的な狂気を、 支倉志乃という、より黒い闇が破滅させる。これはそういう物語です。 以上、作品風紹介。 誤解を招かないように付け加えておきますが、 別に鬱展開の連続やらシリアスばかりというわけではありません。 主人公と志乃の微笑ましい日常とか、ちょっとクスッとなってしまう場面も多々見受けられます。 特に二人がイチャイチャしている場面などは、 微笑ましいを通り越して殺意さえ芽生えます(主に最終巻)。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 支倉志乃です。 あの、全てに無関心でいるようで、主人公に惹かれている描写がとても微笑ましく感じられます。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 読むに当たって、二つ注意点。 一つ。 まず挿絵から作品を判断する人は、一巻の絵をあまり気にしないように。 雰囲気を重視しすぎて、他に比べて明らかな異彩を放っています。 まあ、それが良いと言う人は別ですが(ちなみに私はその一人)。 二つ。 この作品、人の異常さを際立たせるためか、時に難解かつ歪曲的な比喩表現を使ってきます。 そのため、中高生辺りの読者層にはちょっときついかもしれません。 きちんと常識に沿って解釈でき、 かつある程度読解力に優れていないと完全に理解するのは難しいでしょう。
富士見ミステリー文庫作品の中で自分が興味を持てた数少ない作品の一つです。 一巻の、かなり特異かつ異彩を放っている挿絵さえ受け止めれば、 これほど第一印象とマッチした作品は珍しいんじゃないかと思います。 主観で見ると一巻、三巻、四巻が第一部。 二巻と五巻が閑話休題。 六巻から第二部といった構成で、全体的に読みやすい感じがします。 心理描写は人が抱くであろう感情の暴走や無関心さが、 狂気のレベルにまで食込んでいる感じで書かれており、 しかし決してシリアス一筋でないおもしろ要素も含まれています。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? シノシノですね(笑)。 頭の中を覗くと抽象的な考え方の塊であるにも関わらず、 思考そのものは一貫して揺るがないところがとても魅力的です。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 一部、全くメインと関係のない事件が出てくることと、 三巻からいきなり話が突飛になることくらいでしょうか。 設定にやや難ありです。突き詰めてしまえば直感とか本能の類ですね。 あと欠点なのかワザとなのか皆目見当がつかないのですが、 六巻に入ってから志乃の口調が微妙に変化してます。 一巻から読んでいると違和感が滲み出ています。 これも性格の変化と捉えればどうということもないんですが、五巻までは普通だったので気になりました。 ちなみに二巻で漢字の読みが間違っている箇所があります。 興味のある方は読書ついでに探してみてください。
恋愛かミステリーのどちらに分類するか悩みましたが、 ミステリーです。純愛系ミステリーです。 ゴシック以来久々に嵌まりました。 自分的にはゴシック以上に好きです。 志乃の隠された嗜好、本性が露わになるにつれて変化してく僕と志乃。 徐々に変化していく志乃の心境と僕に惹かれました。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 挙げるなら支倉志乃です。 その純粋で一途故の愛が良いです。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 一人称で進みますが、章ごとで視点がよく切り替わります。 扱っているテーマが「命の軽さ」なので、それを不快に感じる人は注意した方が良いと思います。
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あれ!? その小説、もしかして105円で売られていない? |
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