ライトノベル作法研究所
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  4. 電撃文庫作家になるための10のメソッド公開日:2014/05/14

城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド

ジャンル:ラノベハウツー
著者:五十嵐雄策
出版社: スキー・メディアワークス
サイズ: 文庫
ページ数: 312p
発行年月:2014年01月10日
ラノベの王女様さんのオススメ!

■ 解説

「ライトノベル作家になりたいの…っ」
 それが、明るく前向きで何事にも一生懸命な女子高生・城ヶ崎奈央の夢だった。一ノ瀬渉が奈央の秘密を知った時、電撃文庫作家を目指す闘いの日々が始まる。渉が同居している従姉の編集者(通称・トメ姉)から執筆上の注意事項や書き方を学んだり、短編や長編を書く上で大事なポイントを知っていく奈央たち。
 さらには執筆に必要な知識を求め、時にはデート、時には体験、ついには電撃文庫編集部へとたどり着くのだった。編集者二人による打ち合わせで凹まされるものの持ち前の明るさでさらに闘志を燃やす奈央。そしていよいよ電撃小説大賞に応募する原稿が上がったのだが!?

■ ラノベの王女様さんの書評2014/05/06

 五四文字という驚異的な文字数を誇示し、それまでの最長タイトルであった『恋人にしようと生徒会長そっくりの女の子を錬成してみたら、オレが下僕になっていました(四一文字)を抜き去ったことで一躍話題となった、時雨沢恵一先生の『男子高校生で売れっ子ライトノベル作家をしているけれど、年下のクラスメイトで声優の女の子に首を絞められている。I ―TimetoPlay―〈上〉』が発売されたけど、それと同時に電撃文庫から刊行されたのが、五十嵐雄策先生の『城ヶ崎奈央と電撃文庫作家になるための10のメソッド』よ。

 分かりやすく紹介すると、「ラノベライズ(こんな用語があるのか知らないけど)したハウツー本」ね。

 進学校である桐谷高校に通う、ラノベに典型的なやれやれ系主人公、一ノ瀬渉。
 渉と同じクラスの、才色兼備で性格もフレンドリー(で、おまけにホルスタイン並の巨乳)な本作のヒロイン、城ヶ崎奈央。
 実は彼女はラ研民同様、作家デビューを夢見るワナビの一人なのよ!

 夢の実現のために奈央に協力する渉。
 読者は奮闘する彼らと共に、ラノベ作り――とりわけ電撃文庫――のイロハを(第2章以降から)学ぶことができるのよ。

・第2章
【ライトノベル作家を目指して! (1)まずは書式や基本的なルールを調べよう!】
(1)文章は縦書きが基本。
(2)段落の最初は一文字下げる。ただし「」の場合はこれに限らず。
(3)行の最初、最後に入れてはいけない文字がある。
(4)「」の最後には、句点や読点原則として入れない。
(5)三点リーダーは「・・・」ではなく「……」
(6)「!」や「?」などのあとは一文字分開ける。ただし「」の終わりの場合はその限りではない。

【ライトノベル作家を目指して! (2)掌編(ショートショート)を書いてみよう!】
(1)短い物語で読者に印象を残すためにも、オチを意識する。
(2)なるべく余計な描写を省いて、簡潔に表現する。
(3)詰め込みすぎない。
(4)テーマを明確にする。
・第3章
【ライトノベル作家を目指して! (3)短編を書いてみよう!】
(1)まずはプロットを作ろう。
(2)書きたいクライマックスシーンとラストシーンを決めよう。
(3)メインキャラクターの人数は三人以内に絞ろう。
(4)描写は抑え気味に。まず必要な描写(ストーリーを進める上で骨組みとなる描写)を入れて、それで余裕があるようだったら他の細かい
描写を入れよう。
・第5章
【ライトノベル作家を目指して! (4)長編を書いてみよう!】
(a)大まかなフローチャート
(1)大まかなストーリーラインを作る。同時にメインキャラクターも決める。
(2)出だしとラストをどう着地させるかを考える。また一番書きたいシーン(クライマックスポイント)、テーマとなるものを設定する。
(3)間に挟むエピソードを考える。
(4)書き始める。この時必ずしも頭から書いていく必要はない。書きやすいところから書いていって後で繋げるのもあり。また細かい設定や
作品全体の空気感を忘れやすいので、二日に一回は執筆前にストーリーを最初から読み直して再確認する。
(5)キャラクターの動きに合わせてストーリーラインをその都度修正する。
(6)第一稿完成。推敲。
(7)推敲内容を吸収する。
(8)繰り返し。完成稿としては第五稿くらいが目安。

(b)執筆のポイント
(1)アイデアの出し方
(2)ストーリーを書く上で役立つこと。
(3)キャラクターを書く上で気を付けること。

 「あれ? 第4章は?」と思ったなら鋭いわね。
 なんと、渉と奈央が第3章で作った短編を、特別に電撃文庫の編集者に講評してもらってるのが第4章なのよ! 飯田橋の角川第三本社ビル内で! 究極の体験だわ!

 それもただの編集じゃないわよ! 『ロウきゅーぶ!』『デュラララ!!』を担当している和田敦と、『禁書』『SAO』を担当している三木一馬の二人! 電撃のツートップが実名よ! 実名!
 想像を絶するまでの、編集の作品に対する熱意が随所に見て取れるわ。
 あとがきによると、実際に五十嵐先生が打ち合わせで言われたコメントみたいね。
 「編集でも何でもない自称王女なんて信用できない! 編集を出せ!」なんて権威主義なラ研民のために、いくつか気に入った発言をピックアップしてレビューを締めくくることにするわ。

「作家はみんな、ガチなんだよ。ガチで本気で、そしていい意味で一つのことに対するこだわりが強い。だけど作家としてデビューするってことは、そういう第一線で書いてるガチ作家たちと渡り合っていかないといけないってことだから。そのためには……それらの作家たちに負けないくらいの強い意志と情熱が必要になってくる。ラブコメに特に熱意のない作家が、ラブコメ一筋の作家に敵うわけがないからね」
「自分の書きたいものを書くか、読者が求めているだろうものを想定して書くか……それは難しい問題なんだけどね。自分が書きたいものだけ書いて成功すればいい。一部の天才には確かにそれが可能だと思う。だけど大部分の人間は自分の書きたいものだけじゃやっていけない。作家になる事自体が目的ならばそれでいいけれど、作家を続けていくことが目的ならば読者のニーズを受け入れることは絶対に必要だね。だからその両方を折衷して、読者の求めているものからは外れずに、だけどその中に自分のこだわりやこれだけは外せないというテーマを入れていく。それは作家の腕の見せ所であると同時にものすごく大変なことなんだけど……でもそれができないと、プロ作家として生きていくのは難しいと思う。……実際にそれで書くことをやめてしまう作家さんも、少なからずいるわけだしね」

■ この本の欠点、残念なところはどこですか?

 レーベルの都合で仕方ないんだろうけど、電撃文庫以外にも言及して欲しかったわね。
 ま、そんな批判を躱すための第4章なんだろうけど。

 あとは宣伝臭すぎるとこかしら。
 「あ、あれは『男子高校生(ry』の時雨沢恵一先生!」とか寒いだけだから。

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