街巻さん一押し!(男性・16歳)
目覚めればそこに義妹アカリの美しい顔があった。
「兄様。おはよう」彼女は四つん這いで、俺―トール・アキュラの上に跨っていた。枕には、アカリ愛用の鉄槌が深々と突き刺さっている。戦乱の後フェルビスト大陸を兄妹で放浪し、その日暮らしをしてきたが、とうとう食い詰めてアカリは俺に業を煮やしたのだ。
「働いたら負けだ」とひとりごちながら、食料を探しに山林へ入ると、何かが草むらに潜んで動いている。凶暴な棄獣かと構えたが、現れたのは小柄な少女だった。「お…襲う?」黒い衣装をまとい、棺を背負った不思議な少女は、大きな紫の瞳で俺を見つめる。
彼女―チャイカと俺はこうして出会い、世界は再び動き出した。
ストレイトジャケットでお馴染みの榊さんの作品です。
自分は榊さんの作品を手に取るのはこれが初めてですが、設定がとてもしっかりしていて、その上文章がゴタゴタしておらず読みやすかったです。
また、物語以外の会話のやり取りなど面白く、更に面白いがゆえに破城しやすいところを上手く纏めているところが素晴らしいと感じました。
物語も集め物という設定を活かせています。
自分的に一番よかったのは魔法の設定ですね。
湿度や温度の調整も必要とし万能でないところがよく、魔法使い以外もちゃんと動いている感じがよかったです。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
トールの妹、アカリ・アキュラ。
言動や行動が笑えます。トールが二巻辺りからちょっと可愛そうになってくる程です(笑)
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
登場人物が多いことでしょうか。
自分は敵陣営の登場人物が完全に把握するのに苦労しました。