あみん・ばらっどさん一押し!
「応えて! ゼストマーグ! あたしの想いを力に変え、勝利へ導いて! ! 」
突如として現れた謎の生命体・XENOに支配された世界。人類は感情を失った生物、ゼノイドへと進化を遂げ、生き残っていた。落ちこぼれの少年、アルツはゼノイドとして生き残るための選別試験の途中、コールドスリープしていた旧人類のナユキと救世兵器『ゼストマーグ』と出会い、自分と世界を変える戦いに巻き込まれていく……。《――時は来た。『白銀新生』の扉を開け――》
新人賞最優秀賞受賞作家が贈る、絆で闘うヘヴィバトルアクション、堂々スタート!
いわゆるロボットもの。一口に言えば「マクロス」や「エヴァ」、「アクエリオン」見たいな感じです。「ガンダムUC」の小説が面白かった人には楽しめると思います。
現在刊行されている全三冊で「第一部完」として、うまくまとまっているのも、ダラダラ引っ張られるより良かったです。
本作で秀逸なのは「描写力」と「ストーリー構成」の上手さ。
ゆえにSFスリラーやサスペンスとしても悪くない出来(ロボットの戦闘も目玉ですけど)。作り込まれた独特の世界観が物語の設定として活用され、テーマ性が追求されている点も○でした。
ややくどいところがあるかもしれませんが、その分、作品の内容密度は高くなっていると感じました。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
ゾット司令とクーラ。
最初は碇司令(エヴァ)とクルーゼ(ガンダムSeed)のコピーかと思いましたが、最後(三巻)まで読むと、もっと上質(?)な別物です。古い作品を総合して先人の成果を踏まえている分、「より先へ進んでいる」印象がありました。
ぱっと見は表面的な冷酷さばかりが目に付きますが、「役目や使命を果たそうとする大人」は、現実社会でも非常に貴重です。
ゼノイド(次世代人類)と要塞都市が生き延びられたのは、ひとえに彼らの貢献の結果だったりします。
特にゾット司令には「助演男優賞」を差し上げたい。有能さや優秀さ、部下たちの信頼を得ている点がさりげなく描写されていることも、作者の芸の細かさを窺わせます。また第一部の最後(最新第三巻)で明かされますが、この作品で最大の萌えキャラかと。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
テンプレ要素の使いすぎで、かえって「独自の持ち味が霞んでいる」ところがあります。ただし部分部分の要素こそテンプレでも、それを話に組み立てて活用できるのは、筆者の手腕によるところが大きいでしょう。
他にも「白銀新生」(特殊能力)が強力すぎる難点がありますが、そこは作者の「演出の上手さ」でずいぶんカバーされています(お決まりでありながら、読者の意表を突くような展開が多い。ゆえにSFスリラー)。