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タザリア王国物語
優れた知性を秘めた少年。彼は皇子と同じ顔をしていた── 小国ひしめきあうバルダ大陸。そのひとつ、タザリア王国の王宮にて。 王の御前に、いま一人の少年が召されていた。その名をジグリットという。 彼はこの国の皇子に瓜二つだったのだ。 出自の悪さから周囲に蔑まれる彼だったが、明晰な頭脳ゆえ、皇子の影武者として育てられる。 そして転機が──。影が光と入れ替わる好機、その時ジグリットは!?
世界観・設定・ストーリー、いずれも素晴らしいのですが、 そのすべてがキャラクターから起因しているのがこの作品の特長です。 主人公を始め様々な性格を持つキャラクターは、いずれも一癖も二癖もある曲者ばかり。 悪役に至っては味方キャラの倍の数が存在しています。 この作品の大きな魅力は、そんな悪役たちを主人公が持ち前の頭脳で鮮やかにいなしていくところです。 命を狙われることは日常茶飯事、おまけに三巻の時点で致命的な損失を負う主人公ですが、 屈することなく這い上がろうとする姿は感動ものです。 彼を助ける騎士やその他の脇役たちも、一筋縄ではいかない人物ばかりで、 どのキャラクターにスポットを当てても楽しく読み進めることができます。 また、主人公は今の時点では祖国を救うために奮闘していますが、作中に出てくる予言を見ると、 この世界全体に関わる運命を背負っているようにも見えます。 その点はまだ明らかにされていないのですが、今後それがどのように主人公に左右してくるのか、 非常に興味をかき立てられます。
今作品一番の悪役かも知れません。 主人公に長いことご執心で、彼に歪んだ愛情を持つあまり、 信じられないほど残虐なことを笑顔でやってしまう正真正銘の悪女です。 しかも自分は手を下さずひとにやらせるという女王様な性格。 八つ当たりとしか思えないことを平気でするあたり、彼女を嫌う読者は多いとか。 主人公がいかに彼女を克服するのか、今後の展開に期待です。
また作中のイラストが少ないことですね。中にはイラストがない巻もあります。
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戦う司書と恋する爆弾
「ハミュッツ=メセタを、殺せ」―死者の全てが『本』になり、図書館に収められる世界の話。 記憶を奪われ、胸に爆弾を埋め込まれた少年コリオ=トニス。 彼の生きる目的は、世界最強の武装司書、ハミュッツ=メセタを殺すこと。 だが、ある日手に入れた美しい姫の『本』に、彼は一目で恋をする。 その恋が、コリオを更に壮大な争いに巻き込んでいく…。 第4回スーパーダッシュ小説新人賞・大賞受賞、衝撃のデビュー作。
「読んでみたいなあ」と思っていたところ、学校の書庫にて発見、無理を言って借りました。 最初はそこまで本腰をすえて読むつもりではなかったのですが、三分の一も読んでからは、 時間が経つのを忘れて没頭していました。 今まで読んだ同じくらいの厚さの文庫本より、何だかすごく長いきがしました。 そのくらい、中身が濃いです。 微妙にネタバレ……かな?↓ 最初の方は、出てくる人間の精神状態があまり良好とは言えない為か、 それとも作者の文が稚拙なのかわからないような文で、 「新人だからかなあ」なんて思っていました(ごめんなさいっ…… ですが、半分も読むまでにだんだんと話は坂を転がるように急展開。 というか、この人の伏線の張り方は半端ないです。 全ての文に大切な意味があって、とある人との出会いが、 もう一つの何かとの出会いにつながり、そしてそれが最後のパズルのピースになる……。 さらにその複線の回収に余念が無い。 読み終わった後には、感嘆せずにはいられません。 こりゃあ大賞もとるわ、と本を閉じた時思うことでしょう。 「ぐるぐる回る恋の円環。 逆説的な二人の純情。 その中で、先に恋をしたのは、はたしてどちらの側だったんだろう。」 この文章が、頭から離れません。 最後の姫の記憶を知った時、この文はコリオと姫、二人の関係のくくりとなります。 衝撃としかいいようのないラストを、どうぞその目で確かめてください。
よくも悪くも、この人が一番人間めいていると思います。 可愛くて強くて凄い力の持ち主、という時点ですでに私のツボだったのですが(笑
また、多少グロテスクな表現があるかも……です。 私は逆にそのくらいが良いのですが、苦手な方は読まないほうが良いかもしれません。
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漂う書庫のヴェルテ・テラ
『真昼の星空を刻み込め。そうすれば、お前は―』 かつて言われた言葉が蘇る。 そう、あれはまだ外法星導師となる前のこと。 祈りではなく手繰ることで、星を。そうすれば…。 「手繰りて星は―大地を穿つ!」 不敵な笑みを浮かべたジグウォルの足元で星導術が完成し瞬間、空に閃光が走り大気が震えた―! 聖堂による焚書で多くの書物が失われつつある世界。 聖堂が追う『万巻の書』と呼ばれる少女レジィナと 旅を続ける目つきと口の悪い外法星導師ジグウォルは、 究極の星導術が記された伝説の書の噂を耳にする。 だが書物を求めるジグウォルの前に、 かつての幼なじみで今は敵対する勢力・聖堂の騎士となった少女リシェルが現れ。
かつて存在した帝国は星導士を治安を乱す存在として迫害していたのですが、 帝国が崩壊した後、聖堂とよばれる星導士が作った組織が大国を支配するようになった、 という設定になっています。 この聖堂というのは実は自分たちにとって不都合な内容などを含む本の検閲や焚書を行っており、 本好きの主人公のジグウォルは本を燃やすことに強く反発しています。 また、聖堂の星導士は神官などをやっているのですが、 それ以外のフリーの星導士などは俗に「外法星導士」などとよばれ、 人々から恐れられたり疎まれたりしがちな存在として扱われています。 テラという力は星の力に依存するのですが、星は時間帯や季節によって変わるので、 使える技の種類や威力が時間帯によって異なります。 星導士はどんなときでも力を使いやすいよう、できるだけ多くの術を覚えようとするそうです。 主人公のジグウォルは読書家でもあるのですが、同時に実はかなりの女好きで、 2巻では久しぶりに会った幼馴染の女の子にいきなりセクハラしたりしています。
自分の読んだ本の内容を取り込んでゆくという伝説の本(の精霊)で、 まあ正直設定が、禁書目録のインデックスとかぶるのが玉にキズです。 いつもはあまりしゃべらずボードに字を書いて対話してます。 まあ、膨大な知識量があるので星導士としての力量はすごいらしいのですが。
もう少し細かく作りこんだほうがよいのではないかと思います。 あと呪文ももう少し長くしてもいいかも。
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