うっぴーさんからの質問 2012年08月03日
こんにちは。ラノベの歴史について調べている所長です。
アニメの初のノベライズは1975年に小説化された『宇宙戦艦ヤマト』であることが、『ライトノベル「超」入門』 などの書籍で語られています。では、初のゲームノベライズ作品はどれでしょうか?
家庭用ゲーム機(ファミコン)のノベライズは、1989年にエニックスより小説化された『ドラゴンクエスト』。
PCゲームのノベライズは、1988年に日本ファルコムのアクションRPG『イース』を小説化した『イース 失われた王国』(角川文庫。スニーカー文庫創刊前に刊行)。
TRPGのノベライズは、1988年に水野良がスニーカー文庫より出した大ヒット作『ロードス島戦記』。
以上が先駆者であると考えています。
この三作品で最も早く刊行されたのは、『イース 失われた王国』 (1988/03)です。『ロードス島戦記』は(1988/04)です。
(スニーカー文庫の創刊は1989年8月。ロードス島戦記は続編が次々に刊行されたため、スニーカー文庫刊行の扱いとなった模様)
ちなみに、イースのノベライズは原作を無視した内容だったため、評判が悪かったらしいです。
もし、『イース』より先に小説化されたゲームを知っている方、いましたら教えて下さい。
ゲームノベライズについて詳しい方、当時の状況や、現況についていろいろ教えていただけるとありがたいです。
●答え●
私の知っている最古の物はファミコンのマザーですね。
挿絵がないのでライトノベルと位置づけられるかわかりませんが。
【新潮文庫】(久美沙織)『MOTHERThe Original Story(マザー)』 --1989
>ゲームノベライズについて詳しい方、当時の状況や、現況についていろいろ教えていただけるとありがたいです。
その年代だと和製のゲームブックが結構ありましたね。
流行りがゲームブックからゲームノベルへの転換期だったのかもしれませんね。
あと、当時は表紙イラストと挿絵の担当が違うことがありました。
>ちなみに、イースのノベライズは原作を無視した内容だったため、評判が悪かったらしいです。
日本ファルコムのゲームなのに鬼門でした。
同じ著者でも『エメラルドドラゴン』は良かったのに。
マクローンさん、こんにちは。
ゲームブックというのは1988年あたりから人気が落ちて、出版されなくなったようですね。ライトノベルとの関連で語られることがあります。
私も昔、ドラゴンクエストⅤのゲームブック(1993/8)を買って読んだ記憶があるのですが、それ以降、本屋でゲームブックを見なくなりました。
知る中では、AD&Dのノベライズ。
ドラゴンランスシリーズが、1984頃から初版が出ていたように思います(翻訳モノなので、うっぴーさんのご要望とは違う路線なのかもしれませんが)。
お役に立てず申し訳ないです
むとうななこさん、こんにちは。
ドラゴンランスシリーズ、Amazonで調べてみたところ、1987年5月に日本で翻訳版が刊行されているようです。
海外での初版は1984年ですね。
テーブルトークRPG『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)を小説化した作品ということですが、ロードス島戦記より先に出ていますね。
ロードス島戦記は、この成功があって出て来たものなのかも知れません。
とすると、ドラゴンランスシリーズがライトノベルの源流という説も成り立ちますね。
初出、という点でいうならば、ウィザードリィ「隣り合わせの灰と青春」がイースよりはやいか、同時期だったと思います。
書籍になったのは1988/11ですが、それまでファミコン必勝本にて連載されていましたから、おそらく当時の子供達にとって「最初に触れたノベライズ」としてもっとも知られていたのではないでしょうか。
さらにいえば、この作品を切欠に同誌にて小説を公募するようになるなど、短いながらも一種のムーブメントも作り上げるほどの影響力を持っていました。
1998年にはイラストを緒方剛志(ブギーポップのイラストレーター)に変えて再版され、今でもなおウィザードリィ小説の代名詞として口の端にあがるなど、名作として評価を受けている作品です。
時期的なこともさることながら、知名度や影響力ではロードスと双璧を成し、ロードスがTRPGノベライズの柱であるとするならば、こちらは家庭用ゲームノベライズの柱である、と言えるかも知れません。
あとはもう、ここより古くなると、ゲームブックになってしまうかな、と思います。
飛車丸さん、こんにちは。
ウィザードリィは、そういえばプレイしたことがありませんでした。
イースはリメイク版をプレイしたことがあり、当時の状況を知っている人に聞いたところ、それまで難易度の高いゲームが流行っていた状況の中で、初心者向けの難易度の低いゲームとしてリリースしてヒットしたようですね。だからキャッチコピーが「優しさから感動へ」だったとか。
それでも現代の基準から考えれば、難しい域にありますが。
ゲームの黎明とライトノベルの黎明が重なっているのは、なかなかおもしろい現象だと思います。ゲームがヒットしたから、知名度を利用して小説も売ってしまおう、という戦略だったのでしょうかね。
ノベライズから話は逸れますが、むしろ、家庭用ゲーム機器は各メディアを繋げ補強する、プラットフォーム的な要素が強いかも知れません。
それまで、小説・漫画→アニメという「縦のメディアミックス」が主流だったところに、ゲームという「横のメディアミックス」が生まれたことで、全体的な活性化があったのではないか、とも思えます。
その走りとして、
>ゲームがヒットしたから、知名度を利用して小説も売ってしまおう、という戦略
が生まれ、またその逆に、小説・漫画・アニメをゲーム化して売る、という戦略も生まれました。
そうしてメディアミックスを続けていった結果、子供娯楽の最上位であったはずのアニメ・特撮が、オタク産業の一つへと落としこまれてしまい、さらにネットの興隆によって全体の序列がより均等化され、結果として現代ではアニメ・漫画・小説・ゲーム、全てが横並びと言える状況になっているのではないでしょうか。
そうした観点で見てみると、ゲーム・ラノベの黎明というのは、現代オタク産業のメイン商法である、メディアミックスの黎明なのかも知れませんね。
飛車丸さん、こんにちは。
>そうしてメディアミックスを続けていった結果、子供娯楽の最上位であったはずのアニメ・特撮が、オタク産業の一つへと落としこまれてしまい、
アニメ、ゲームは現代では制作コストがかかりすぎる上に、デジタルデータとして簡単にコピーできてニコニコ動画などにアップされてしまうため、採算が取れなくなり、現場が疲弊しているようです。
ライトノベルは、基本的に作者が一人(担当編集との二人三脚)で作るので、制作コストが安く、もし作品がヒットしたら、それに乗っかってアニメやゲームを作れば失敗せずにお金が回収できる、というメリットがあるので、オタク産業に重宝がられているようです。
いわば、大量に市場に放って市場調査をするような役割を担っているのかも……と最近、思います。
ヒットしたラノベ、はがない、オレ妹、SAOなどはゲームになっていますしね。
ライトノベルはリプレイが源流である(笑)
少し、気になってしまい、ちょっと検索を掛けてみたのですが、
こののような与太話も飛車丸さんの仰っておられるノベルと、横の繋がりを持っていた家庭用ゲーム機の立ち位置として、TRPGを見てみると、そんなに馬鹿げた理論でないかもしれません。
お時間おありでしたら、上記を参照してみてください。
もちろん、ウィキなのでただの一見解に過ぎませんが、私の拙い説明より、信ぴょう性はあろうか、と思います。
わたしも、TRPGのリプレイ集が、一番最初のライトノベルでした。あの頃は、ガープスとか、クトゥルフの呼び声とか、シャドウランが凄く流行っていて、冒険企画局や、グループSNEに注目していました。特にTRPG好きならば誰もが知っている「ファンタジーRPGクイズ」は、小説とゲーム、というよりリプレイとのメディアミックスをとても不思議な融合率で果たしている異色作で、シェアードワールドのはしり、とも言えるかもしれません。
もう既出の情報であったり、また、論理的にへんてこりんであると、お感じになられたら、非常に申し訳ありませんが、どうかご容赦くださいますように。
以上、駄文的追記でした。
むとうななこさん、こんにちは。
参考になる情報、ありがとうございます。
既出の情報ではありませんでしたが、既出の情報でも再度、吟味することで新たな発見がある場合もあるので、なにか思いついたことがあったら、気軽に書き込みいただけるとありがたいです。
記事からかなりの時間が経っていますが、最近私も似たような事案に興味を持ったので、知ったかぶりさせて下さい。
私の知る限り、角川文庫「ドラゴンバスター」(著・井沢元彦)が最初期のゲームノベライズかと思います(87年1月)。
それ以前にゼビウスの小説があったとは思いますが、その頃は本になっていなかったような気がします。
MSX関連のノベライズをブログでまとめてみましたので、良かったら覗いてやって下さい。(人生とはゲームなり)
たぶん「MSX」「ノベライズ」で検索に引っ掛かるはずです。