はじめまして。
あるサイトに小説(何とは言えませんが)を投稿したところ、文章がひどいだの、何を言っているのか分からないだの、散々な事を言われてしまったので、どういう勉強をすれば文章が上手くなるのかを教えて欲しく思いました。
岩淵悦太郎著「悪文」は読んだのですが、何か他に読むべきでしょうか? それとも何か本を写経なりするべきでしょうか?
当方一週間に三冊ほど読書をしますが、読書を続けていれば自然と上手くなるという考えには疑問があります(読んでいる本ほど分かりやすい文章を書けたことがないため)。
↓文章をしたためましたので、参考にしてくださればと思います。(この際内容はあまり言及しないで頂けると助かりますが…)
https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n1793kt/
はじめまして風月様
風月様の執筆歴にもよりますが気にされないほうがいいと思います。
確かに執筆を始めてすぐに小説を書けてしまう初心者の方はいます。
しかし、大多数は読みにくい小説やよくわからない文章を書いてしまいます。
風月様のこのスレッドでの文章を読む限り、丁寧でわかりやすくて相手に配慮した文章を書かれています。
時間が経過すれば読みやすい小説を書くことができるようになるはずです。
ここでは風月様の学習に少しでもお役に立てるように私が思うところを書いてみたいと思います。
まずは人間の脳の思い込みについてです。
私たちの脳はバイアスと呼ばれる認識の偏りがあり、バイアスに影響を受けることがあります。
例えば、子供に絵を描かせると顔の面積を大きく描く傾向があり、できあがった絵は不格好なものになります。
これは人間の脳が顔の部分を重要視しているためだと考えられています。
同じように小説の文章も、人間の脳が特別な書き方をしていると認識してしまうことがあります。
小説はこう書くという思い込みがあり、格好つけた書き方や特別な書き方をしようとしたり、うまく書こうとしてしまいます。
人によってはこのバイアスが強く働き、複雑にこねくりまわしてしまうことがあります。
この場合、文章のあちこちに不整合が出ます。
仮に修正をしたとしても、次々に新しい問題が生まれ、どれだけ修正しても終わらない状態に陥ります。
意外と小説は思っているよりも普通の文章で平易に書かれていたりするものです。
これは小説を読んでいるだけでは気がつかないことがあります。
脳が人間の顔を重要パーツだと認識し、顔を肥大化させた絵を描いてしまうのと似ています。
例えばミステリー小説はその内容から難しい文章で書かれていると認識してしまうことがあります。
しかし、実際にはわかりやすい表現で書かれていたりします。
小説を読むだけではバイアスが外せないことが多いです。
この場合のおすすめは模写です。
ただし、風月様の場合は難しい内容の小説ではなく一人称のライトノベルをおすすめします。
これは風月様が提示された短編を読んでみた結果、小説に対する認識を易しい方向へとシフトさせたほうがいいと考えたからです。
風月様の冒頭ではこのように書かれています。
(原文)
――しくじった。
菅谷がそう思う間もなく、オークの次なる刺突が繰り出された。ろくな訓練も受けていないような形無しの槍は、だが野生的な本能で確実に菅谷の心臓を狙う。
この文章ですが、作者はすぐに読めると思いますが、読者の脳を疲れさせてしまっています。
読者というのは小さな負荷の積み上げで読めなくなっていきます。
この文章の場合は《次なる》で負荷がかかり《刺突》で負荷がかかり《繰り出され》で負荷がかかり、次に来る冗長な表現で負荷がかかりと、一つ一つは小さな負荷ですが積み上がっていきます。負荷が少なければ問題になりませんが、これがずっと続いていきます。
風月様の短編がわかりにくいものになっている原因の一つでもあります。
この文章から負荷を取り除いて修正してみたいと思います。
(修正)
――しくじった。
菅谷がそう思った直後、オークの槍が襲ってきた。オークが訓練など受けているはずもない。それなのに野生的な本能だけで正確に心臓を狙ってきた。
修正版は自然にすらすらと読めると思います。
何が違うかというと、読者の脳の疲労度です。
さらには一人称で書き直してみます。
(例)
しくじった。
俺がそう思ったと同時に、オークの槍が迫ってきた。正確に心臓を狙ってきやがる。訓練など受けているはずもないのに、急所を狙うことを知っているのだ。
誰かに語って聞かせるように書くことで難しい表現もなくなってくるかと思います。
自分で書いた文章というのはどんなに難解でも読み解けてしまいます。
風月様の短編の場合は全体的に理解の難しい内容になってしまっているのですが、ご自分では気がつけないかもしれません。
この認識を矯正するために、私は下記を提案します。
● 格好つけた書き方をやめる
● 小説は思っているより普通の書き方をしていると知る
● 模写をする
● 一人称で書く
例えばライトノベルの「この素晴らしい世界に祝福を!」1巻は読みやすい文章で書かれています。
BookWalkerで無料で読める分でいいので読んでみてください。
模写をする際はこの小説ではなく風月様自身が夢中になって最後まで読んでしまうような小説で、できれば一人称のライトノベルを探してみてください。
今は難解な小説から学ぼうとしているのはないでしょうか? 学ぶ教科書にするのは易しく読めるものがいいと思います。
1日1ページでもいいので模写をしてみてください。手書きでは大変なので、いつも小説を書いている方法でかまいません。読みやすい小説を書けるようになったら模写はやめてもいいと思います。
また、自分で小説を執筆する際は一人称で書くことをおすすめします。
これは私の経験則ですが、何年もわかりにくい小説を書き続けてしまって初心者から抜け出せない人は一人称を書こうとしない人が多いように感じています。
初心者から脱するまでは三人称はやめて、一人称縛りを自分に課したほうがいいと思います。
一人称は視点の制限もあり、難しい面もあります。それでも一人称が風月様を育ててくれると思います。
また、最初は文章がうまくなることを目指すのではなく、読みやすいものを書けるようになることを目指したほうがいいと思います。
技術的な問題点を指摘されなくなった段階で、次にうまい文章を目指されてはどうでしょうか。
出版歴のない者の意見ですので、参考になる部分だけ受け取っていただければ幸いです。
私からは以上になります。
がんばってください。
応援しております。