(はしがきより)
日本語の文法手段のうち、もっとも重要なのはテニヲハです。中でもハです。
本書は、問題をそのハ一つに絞って、日本語文法の土台を明らかにしようとしたものです。
代行(=兼務)というのが中心概念の一つになっています。ハはガノニヲを代行(=兼務)する、というのです。
日本語文法、その中でも助詞「ハ」について焦点を当てた特異な本。
「象は鼻が長い」
上の文について、主語はどれでしょうか?
どの文法に当てはめるかによって解釈は様々ですが、著者は主語の存在を否定する。
著者の説によると、題目『象は』・述部『鼻が長い』の、題述関係が成り立つと解釈する。
これは、日本語の場合、英語のような主語と述語(主述関係)が中心ではない。だから、輸入してきた文法知識をそのまま当てはめるのはおかしい。
そういう主張でもあります。
初版が1960年と、50年以上前の書籍になりますが、中身は色褪せていません。おすすめ。
どの文法にも言えますが、100%完全なものではないこと。
人工言語なら、ルール(文法あるいは構文)を初めに作り、それから言語を作る。
しかし自然言語は、言葉から始まり、使われていく内に文法「らしきもの」が出来上がっていく。
「らしきもの」ですから、完全な文法なんてものを作ること自体が非常に難しい。
そこが言葉の面白いところであり、「言葉は生きている」と評される点なんでしょうね。
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