一九七九年夏、熱く乾いた空気のなか、トルコでの遊牧生活は始まった。家畜の群れとともに秋営地から冬営地、夏営地へ、活気に満ちた一年がすぎてゆく―。遊牧という生活様式がユーラシア文明に及ぼした影響をめぐる考察を交えながら、「自由」な暮らしを求めるユルックたちの営みをヴィヴィッドに綴った民族誌。
ファンタジーなどで、「遊牧民を出そう」と思っても、イメージが全く湧かないことはありませんか。そこで役立つ1冊を紹介します。なお、この書評は現在入手が比較的容易な平凡社ライブラリー版ではなく、入手困難な中公文庫版によることをご了承ください。
この『遊牧の世界』は、1979年〜1980年の1年間トルコ系遊牧民ユルックの生活を詳細に記録しています。そのため、遊牧民の生活について具体的なイメージを持つことができるでしょう。
特筆すべき内容は以下の通りです。
食生活全般、特にミルクの利用法。
テント構造・素材。
家畜の毛の利用法。
家畜の管理、経済活動。
放牧地の確保。
季節ごとの放牧地間の移動(移動方法、1日の移動時間・距離、渡河)。
世帯・冠婚葬祭等の社会構造。
定住化の過程。
これは欠点ではありませんが、ユルックの人々は山岳地帯に住んでいるようです。「大草原の遊牧民」をイメージすると違っているかもしれません。
初出時に説明はありますが、やたらとトルコ語の専門用語が出てきて、それが覚えづらかったですね。また、平凡社ライブラリー版は未読なので判断できませんが、中公文庫版に限っては、カラー写真が表紙カバーの1枚きりです。本文中の写真もカラーにしてほしかったですね。
何が写っているのかよく分からないことも少なくありませんので。
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