シャーマニズムを基本として、老子哲学や儒教、仏教などの教義も取り入れて成立した中国特有の民間信仰、タオ(道教)。そこでは、『三国志』で活躍する関羽や、小説『水滸伝』に登場する時遷など、多種多様な神々が信仰の対象となっている。本書では、タオの中からユニークな神々を取り上げて紹介している。
タイトル通り、道教の神々を取り上げた本です。科学ではなく、「仙術」(魔法)が発達した中華風世界を描くとき、大いに参考になる1冊です。
神様・仙人をイラスト入りで、信仰目的やエピソードを解説していますので、名前だけ聞いて、姿形が想像しにくい場合に役立ちます。
第六章では「生活神」といって、生活に密着した神様を解説しています。特に、旅行者の守護神がいたことはうれしいところです。また、マイナーではありますが、泥棒の守護神もいます。
また、出てくる神様・仙人は、一部例外があるにせよ、基本的に“人形(ひとがた)”なので、登場人物の服装・髪型をイメージする一助になります。
【参考情報】
こちらのサイトで紹介されている「TruthinFantasy」シリーズの一部は文庫化されています。この『タオの神々』の巻末広告によると、同書を含めて文庫本で11冊刊行されています(2012年5月現在)。このシリーズは、タイトルだけ見ても魅力的なので
すが、単行本で2000円近くするので、手を出しにくいのも事実です。単行本の半値以下の文庫本なら、気軽に買うことができ、大歓迎です。これからも増えていく予定なので、今後も楽しみです。
欠点は特にありません。
ただ、強いて挙げればですが、道教の全体像がつかみにくいことは指摘しておかねばなりません。
神様・仙人の解説が主なので、教団、儀式、教義、戒律、修行の類は、全く書かれていないとは言い切れませんが、かなり簡単な記述にとどまっています。また、仙人は神様の中に入るとはいえ、神様と仙人の別や、神様・仙人同士の上下関係については、もう少し詳しい解説があればありがたかったです。
終章の「道教アイテム」「北京・白雲観(注、道教寺院)の暮らし」「不老不死薬“金丹”」は、各3ページにとどまっています。もう少しページを割いても良かったのではないでしょうか。
服装の参考という点では、イラストがすべて白黒なことは物足りません。カラーページもほしかったですね。
神様・仙人に退治される妖怪や怪物であれば、若干重複もありますが、同じ新紀元社文庫から出ている『幻想世界の住人たち3 〈中国編〉』をどうぞ。
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