電子書籍作家による電子書籍を対象にした初の本格的小説作法。
電子書籍の普及で個人出版の増加が見込まれる今日、余暇を使ってあなたも作家に転身!
プロ秘伝の手の内を余す所なく公開。一度読んだら本書を秘密にしたくなります。
完全読了済です。
他のハウツー本は水増しが多いのですが、これはプロの秘密を明かしたような本物です。
1章セオリーは、小説のおもしろさを3つの要素に分析、それをベースに映画、漫画、ゲームにも通じるおもしろさの3原則を導きだしています。それを物語を構成する天地人の原則にあてはめ、「鳥の目、虫の目、鯨の目」理論として創作の大原則にしています。これがプロのみぞ知る秘密として、以降はこの理論を中心に解説が進んでいきます。
2章ストーリーは、ハリウッドの基本シド・フィールドの型を紹介しながら、それらは昔からある起承転結にすぎず、要は波が3回あるだけだとしてより普遍的な型を抽出しています。それからストーリーを味付けするための各種テクニックを紹介しています。
3章キャラクターは、キャラクターの構成要素を大きく縦軸要素、横軸要素、内的要素、外的要素に分類。ことこまかにキャラを設定し、血の通ったキャラをつくるようすすめています。大塚英志、新城カズマ、榎本秋、ぴこ山ぴこ蔵のようなキャラやストーリーの類型化についてはまっこうから批判、従来なかったキャラを生みだすこと、生きた人間を手本にすることなどを説いています。それからキャラを引き立てるためのテクニックを紹介し、最後に8つのチェック事項としてまとめています。
4章セリフ(アクション)と5章バックはシーンを構成する表裏の関係とし、それぞれセリフのテクニックと情景描写のテクニックが書いてあります。
6章テーマは、テーマ→モチーフ→マテリアルの順に肉付けと説明。テーマとはコンセプトでありメッセージであるとし、しっかりとしたテーマを描くには問題意識を持つことが大切で、他人の経験を見てけして他人事にしてはならないと指摘します。自分が有名になることしか興味がない作家志望者への嘆きとおしかりが胸にいたいです。
7章ノウハウは、知ってるとためになる小説を書くための最低限の知識について説明。不思議と文章力にかんしては一切不問なのが特徴でしょうか。
8章アイデアは、アイデアをしぼりだすための著者の方法が列挙してあります。おしゃれなカフェにいくとか、スーパー銭湯、TSUTAYA、図書館にいくとか、私個人としては読んでいていちばん楽しめる部分でした。もちろん場所をかえるだけでなく、実用的なアイデアもいっぱい書いてあります。最後の秘策が「恋愛すること」とは、著者の人柄にふれたようでおもわずクスッと笑ってしまいました。
9章タイトルは、コピーライターから学ぶタイトルを考えるテクニックについてふれています。
10章リライトでは、シーン→キャラクター→ストーリー→テーマの順につくったものを、推敲ではひっくりかえしてテーマ→ストーリー→キャラクター→シーンの順に練りなおすことを説いています。
どの章も、もうおなかいっぱいという感じです。
これをくりかえし読めばほかは必要ないんじゃないでしょうか。
高度な技術を要求しているわけでなく、それでいて誰でも使えそうな簡単なアイデアばかりで、これを真剣に読めば誰でも小説は書けると言うのは大袈裟ではないでしょう。
あまりに多くのノウハウを詰めすぎ、それらに優先順位がなく、とにかく長いです。文章は読みやすいのですが、全部読みきるにはかなりの覚悟がいるかもです。
創作に役立つ資料やハウツー本などは、個人の力ではなかなか探し出せないモノです(涙)。
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