古代ギリシアのポリスの中でスパルタと並んで最強の国力を誇ったアテナイは、徹底した男社会であった。本書は、史料に記されたさまざまな事件を照射、検討することによって、繁栄の陰に隠され、抑圧の生涯を強いられたとされるアテナイの女たちの実態とポリス社会の実情を描く。
古代ギリシアやギリシア神話をモチーフにしたファンタジーに参考になる1冊を紹介します。
この本は、タイトル通り古代ギリシアの女性、特に「妻」について取り上げています。そのため、母や嫁いだ姉といったキャラクター作りに役立つのではないでしょうか。
古代ギリシアの家制度やその運営、女の子と男の子の育てられ方の違いの項は、この時代の人の生活を具体的にイメージする一助になるでしょう。
都市国家アテナイ(現在のアテネ)の政治・経済・軍事・身分制、(特に女性の)駐留外国人や奴隷の生活、女性がかかわった宗教儀式や女性神官についても、一通りの記述があります。
古代ギリシア史に無知な私でも、巻末に「事項小事典」という用語集があることもあり、特に読みにくいとは感じませんでした。史料が限られるなかで、公平に論じろとする著者の姿勢に好感が持てました。
アテナイの女性は14歳という、若さ、いや幼さで成人し、そのぐらいの年で結婚しています。ちなみに、男性の成人年齢は18歳、結婚年齢は30歳ぐらいです。
ですので、ライトノベルのヒロインの典型を、「十代半ばの未婚の少女」とすると、「少々使いにくいかな?」と感じることもあります。
また、若干の記述はあるのですが、アテナイとの対比の意味で、別の都市国家スパルタ(あのスパルタ教育の語源になった)の少年・少女たちの育てられ方は、もう少し詳しく書いてほしかったですね。
それから、写真はカラーも載せることはできなかったのでしょうか。遺跡や出土品の写真が載っているのですが、表紙の1枚を除き、白黒ばかりです。食生活や、女性の髪型・服装といった外見の記述は薄いですから。
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