数千年の長い歴史を持つ中国は、幻想世界の住人たちにとって絶好の住処である。
本書では、膨大な量の怪奇小説、奇怪な事件の記録から、代表的な神、神獣、妖怪、怪物、精、鬼、不死者などを紹介している。日本の妖怪などの架空の生き物が、いかに中国からの影響を受けているかを再認識できる。
日本や西洋のものに比べて調べにくい、中国の神獣、妖怪、怪物、幽霊を扱った本です。
また、中国の創世神話にも触れられています。
既にこちらのサイトでも紹介されていて、私も読んだ『山海経 中国古代の神話世界』(高場三良訳、平凡社ライブラリー)と内容が重なる部分もありますが、これと比べて読みやすく、お薦めできます。
『山海経』は漢代までですが、この本は隋・唐・元・明・清のころのものも取り上げています。
人間に害をもたらすものが多く、その対処法が記されていますので、敵役の参考になる1冊です。
また、キツネが「仙狐(キツネの仙人)」になる方法も解説されています。
キツネは、キツネ自身の性質と、人間の扱いによって、敵にも味方にもなります。この点はキャラクター作りの参考の一助になります。
冥界(死後の世界)についても、書かれています。中国人の死生観を知ることができるでしょう。
これは良い点の裏返しなのですが、人間にとって害になるものが多いです。
龍や麒麟など利益になるものや、利益にはならないものの、害にもならないものは、出てこないわけではありません。しかし、数は少なかったです。
イラストは豊富ですが、これがない解説もありました。
また、第三章「珍」では、珍獣の名前を見出しにしてくれれば、もっと読みやすかったです。それでも、『山海経』よりは読みやすいのですが。
『幻想世界の住人たち』とのタイトルですが、“人形(ひとがた)”の神様や仙人は基本的に取り上げていません。若干重複がありますが、神様・仙人は、同じ新紀元社文庫の『タオ(道教)の神々』(真野隆也)のほうをどうぞ。
・花魄とかは面白い。山海経とか読むと、「ナントカ山に住むナントカは、食べると癌に効く」とかが大変えらいことあるが、本書では「木の精が居たので喰った」位。史料としては妥当だと思う。この本で展開する「獏=実はパンダ(鉄とか食うけど)」説はいいと思う。
2016/04/08
『幻想世界の住人たち 3〈中国編〉』のご注文はコチラから >>>
創作に役立つ資料やハウツー本などは、個人の力ではなかなか探し出せないモノです(涙)。
そこで、あなたのオススメの創作お役立ち本を紹介してください!
ご協力いただける方は、こちらのメールフォーム
『創作お役立ち本募集係』 よりお願いします。