時は西暦755年。中国は唐の時代。北方辺境防衛軍の長の任にあった安禄山が反乱の兵をおこし、瞬く間に唐は第二の都市洛陽を陥落した。
これと前後して、首都長安に謎の光球が出現する。
妖怪が現れたのではと恐れおののく人々の依頼を受けて、その光球の正体を探ることとなった欧陽老師とその弟子履児。
方術といわれる不思議な術を使う彼らの前に姿を現したのは、50年前に崩じたはずの中国史上唯一の女皇帝則天武后であった!?
中国の史実をモチーフに、ユニークなキャラクター達が繰り広げるタイム・トリップ・アドベンチャー。
第8回電撃ゲーム小説大賞大賞受賞作。
玄宗皇帝の御世に戦乱で死んだ少女の体を借りて甦った、則天武后(女帝)が安禄山の反乱軍から人々を守る為に方士見習いの少年や、酒場の給仕娘を巻き込んで破天荒な方法を取る。
著者は50歳を過ぎて電撃大賞を受賞し、恐らくラノベ作家としては最年長である。
古代中国を舞台にした作品であり、これも珍しい。
文章は「ですます」調で物語風に書かれているのが特徴である。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
絶世の美女とされている楊貴妃がでっぷりと太ったおばさんだったり、大詩人とされている李白が単なるアル中だったり、多少なりとも歴史を知っている人が読むと、微苦笑を誘われる。
もちろん主人公の少年少女の活躍も見逃せない。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
作者はこの作品の後、1冊出しただけで事実上、消えてしまい、一発屋に限りなく近い感じである。
年齢的なもの(もう60歳を過ぎている)もあるかも知れないがこの作品自体、未完と思われる節もあり、是非カムバックして続きを書いて欲しいものである。
中高年(に限らないが)でラノベ作家を目指す人にとっては「希望の星」であり、その消息が知りたいところである。
●補足
管理人が調べたところ、著者の田村 登正さんは、2003年から4年間の沈黙を保った後、2007年に新作を発表しており、てがけた作品は2011年6月時点で大唐風雲記シリーズを含めて、3作品となります。