ラノベの王女様さん一押し!(女性・17歳)
日本の権力者で秘密裏に結成された組織「十三支会」。そこでは、暇を持て余した金持ち連中が愉しむための“デスゲーム”が行われていた―。選ばれ、集められたのは、それぞれに傷を持つ13人の高校生たち。彼らの、生き残りをかけたサバイバルが始まる!
冷たい床、ダークグレーの壁、金属製の扉、洗面台とバスタブ、装着された首輪、参加者を映し出すモニター、ゲームマスターを名乗るCGキャラ、閉鎖空間での生き残りをかけたバトル、翻弄される13人の高校生。
『SAW』や『ダンガンロンパ』を思わせるシチュエーションの中、彼らは一億三千万円の賞金目当てにデスゲームへと飛び込むわ。
ある者は父親の会社を倒産から救うために。ある者は三人の弟を養うために。ある者は叔父の性的虐待から姉妹一緒に逃れるために。
主人公の有馬恵一もまた、他の参加者同様に過酷な境遇を抱えてこのゲームへの参加を決意した一人なの。
母親の交通事故。妻の死に目に立ち会わなかった父親。商談で忙しかったという言い訳。
でもそれは真っ赤な嘘で、浮気相手とホテルでイチャイチャ。母親を裏切ってたわけ。
そんな父親との暮らしに嫌気が差して、恵一は荷物を詰め、翌日の早朝に十七年間住み慣れた家を飛び出すわ。
そこからの生活描写がリアルなの。
ネットカフェで過ごすぼんやりとした時間。いずれ生活費が底をつく不安。週に一度の派遣バイトでしのぐ生活。加算される料金を気にしながらの風邪との戦い。保証人がいないためにアパートを借りることのできない絶望感。
必死に一人で生き抜こうとする主人公に、次々と容赦の無い現実が突きつけられるわ。
「ひどい親の元から抜けだして大成功!」なんてご都合主義は『13ゲーム』に存在しないわ。
リアルなのはゲーム描写だって同じね。
三人称視点でありながら、終盤になって死者が大量発生するまでは、全てが主人公を中心に描写されるわ。
チームに引き入れなかった女の子は、外見と名前とあとは部活程度しか知り得ることができないの。
現実的に考えたら当たり前とはいえ、そこがゲームの緊張感を増大させるスパイスの役割を果たしてるわね。
『LIAR GAME』よろしく全員生存ルートを選ぼうにも、相手チームの居場所がわからないから交渉できないし、何よりゲームに乗り気でないメンバーが向こうにいるかどうかさえ怪しい。「皆殺しなんて考えてない……はずだよね? 本当に?」と常に疑い続けなければならない。
先の見えない不安との戦い。仲間を死なせるかもしれない恐怖。読者も有馬恵一の気分を味わえるわ。
お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか?
関西弁が特徴的な鳴海五十鈴。
感情表現が素直で、最後まで生き残って欲しいと願ってたわ。
この作品の欠点、残念なところはどこですか?
『ダンガンロンパ』以上に救いがないわ。キャラがバンバン死ぬ。
「この娘の背景掘り下げないの?! もったいない!」なんて感情が通用しない世界ね。
冷酷で無慈悲なゲームの現実を突きつけてくれるわよ。