才能を開花させるためには「実績」を作ることが重要です。
これは何も万人に拍手喝采されるような大きな実績でなく、小さな実績を積み上げることです。
小さな「実績」を積み上げていく過程で「成長」し、それが自信となって「欲求」を強化し、より高度の実績を生み出していくというサイクルが循環しはじめます。
いきなり最初から、世の中をアッと言わせるような実績を作れなければ、才能があるとは言えない! などと強弁する人は、ウォルト・ディズニーやアインシュタイン、トーマス・エジソンの伝記を読んでみれば良いでしょう。そんなものが幻想であることがわかります。
もし、努力や犠牲無しに才能を開花させることができるという甘言を弄する人がいたら、それはあなたの財布狙いの詐欺師です。
ここでいう「実績」とは具体的に何かというと、「長編小説を完結させること」です。
私は、ライトノベルのフリーの編集者さんに会って話を聞いたことがあるのですが、小説の腕を上げるために最も効果的なのが、
「長編小説を完結させること」
だそうです。
つまり、これができるか否かが、才能の有無を判断する一つの目安になります。
なにより、長編小説を作ることができて初めて、新人賞の審査に値する作品を作ったという「実績」になるのです。
長編小説を一つ作ることを最初の目標にしましょう。
いかにしておもしろい小説を作るかというのは、この段階をクリアした後の話です。
小説を書いている人には痛いほどわかるでしょうが、長編小説を完結させるというのは、大変苦しい作業です。
多くの人は、おもしろいと思うアイディアを思いつき、これは絶対に傑作になるぞ! と喜び勇んで執筆に挑むものの途中で書くのが嫌になって投げ出します。
なぜか?
途中で、自分の頭の中にある理想の完成形と、実際に出来上がってきているヒドイ内容とのギャップに耐え切れず、小説を書くのが苦痛になるからです。
また、その頃には、自分のアイディアそのものに自信がなくなり、おもしろいとは到底思えなくなっています。
こういった場合は、推敲無しに、とにかく最後まで一気に書き上げてしまうのがオススメです。
実力が十分に身についていない段階から、傑作を作ることなんかにこだわるから、先に進めなくなり、だんだん嫌になってくるのです。
デタラメな内容になっても良いので、とにかく最後まで仕上げて、一つ作品を完成させたという「実績」を作ってしまいましょう。
また、初心者がいきなり長編小説を作るのは難しいです。
水泳の訓練をする人が、まず浅瀬に足をつけるところから始めるように、最初は400文字原稿用紙10枚程度の掌編を作るところか始めてみるのもオススメです。
その後、30~50枚程度の短編、50~100枚くらいの中編とハードルを高くしていき、最後に250~350枚程度の長編にたどり着くという段階を踏んでいけば、無理なくスキルアップできるでしょう。
小さな「実績」を少しずつ、積み上げていくのです。
目に見える「実績」ができると、「おおっ、ついにやり通した!」と、自分に自信が持てます。
なにより、自分の作った長編小説が誕生することで、アマチュアであろうとも小説家になったという実感が湧きます。
また、その過程で明らかに「成長」をしており、それが次の作品作りへの「欲求」へと繋がります。
「欲求」「成長」「実績」の才能のサイクルに乗れるのです。
しかし、傑作を作ることにこだわりすぎて途中で投げ出すと、「成長」はほとんどせず、自信はなくなり、やがて、「オレに傑作を作る事なんて、無理じゃん。才能が無いってことが良くわかった……」となって、「欲求」そのものを失います。
三要素はお互いにリンクしており、どれか一つでも満たせば他も満たしやすくなりますが、逆に言えば、どれか一つでも潰れると、全滅しやすくなります。
第七回スーパーダッシュ小説新人賞佳作 弥生翔太さんのインタビューより
「これから春日部さんに続け!と頑張っている方達にアドバイスをいただけませんか?」の回答
恐縮ですが一点だけ。
大事なのは一冊書ききる事だと思います。それがどんな黒歴史になろうとも(笑)
僕は、書きまくって送りまくれば、いつかはどこかの賞にひっかかるだろう、という緩いスタンスでやってました。
●補足
ネット上を巡回して、クオリティーの高い小説を書いている人に出会いたいのであれば、サイト上に完結した長編小説をいっぱいアップしている人を探すと良いです。まず外れがありません。
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