守さんの質問 2014年03月21日
題名通りのことなのですが、ラノベのSF小説を読んでて思ったことは、解説不足な作品が多数あるように思えてきます。
自分もSF作品を書こうとプロットを立てていたら、追求しすぎて逆に不可能だろうと思ってしまいます。
wiki参照↓
ガンダムでよく見かけるビームサーベルで説明しますと、エネルギーCAPによって縮退寸前の高エネルギー状態で保持されたミノフスキー粒子をIフィールドによって収束し、ビーム状の刀身を形成させるものである。
ビームサーベルはどのように作られるのか、Iフィールドをどのように制御するか、ミノフスキー粒子を制御するためのシステムは必要なのか、なぜサーベル状になるのか、と考えすぎてしまいます。
SF作品を書くに当たって、とことん追求しないといけないのでしょうか?
理数系じゃないと書けないのでしょうか?
●答え●
ラノベにおけるSFの理想は、追求した上でひけらかさないこと。
といってもどこまで追求するかは自由です。
たとえ似非でも面白ければそれでいい、そういう面は確かにあります。
ただ、自然と考えてしまうのならば、それは作品と自分自身が求めているものだと思ってもいいんじゃないでしょうか。
作品内でそのSFガジェットに矛盾さえ感じる描写が無ければ詳しく説明する必要はありません。
例えば、どこでもドアと竹コプターがあって、あるシーンで急いで竹コプターで向かうシーンがあるとします。
ただこれだけの描写であれば何故どこでもドアで向かわないか?という疑問が出てきます。
しかしちゃんと制限や竹コプターが最善の手法である理由が矛盾なく設定や説明されていれば問題ありません。無理に竹コプターや何処でもドアの原理を説明する必要は無いのです。
これはSFに限らずファンタジーでも一緒です。魔法や超能力も安易に出して矛盾が出てしまえばストーリー展開が破綻します。
簡単に考えると”制限”を設けたり、じゃんけんの様に強弱の順位をあらかじめ設定しておきそれを守ってストーリーが展開すれば問題ありません。
ただし近未来ガジェットの場合、現代科学や物理学にある程度近似した制限や強弱を設けておかないと”リアリティが無い”と言われやすいので、考慮しておくと良いでしょう。
とはいえ”夢の技術”を現代科学で考察しすぎるとつまらないガジェットになりやすいですから程々で良いと思います。
要はストーリー内に違和感無く登場できて、無駄に原理まで解説する必要が無ければ良いだけです。
若い子たちに聞いてみてください。
どうしてビームサーベルがサーベル状の形になるのか気にならない?と。
おそらく9割の子はビームサーベルだからじゃないの?と割り切って見てます。
というか気にしてないです。
コアな層に向けて書くなら別ですが。
ミノフスキー粒子というのは架空の物質なので、詳しく説明しようと思えばいくらでもできますが、どこまで追求しても所詮嘘八百ですよ。
SFは科学ではなく、疑似科学です。ただし何でもありというわけでもなく、説得力を持たせる小説的なテクニックは必要です。
そのための手法はいろいろあるでしょうが、それ以前にまず、「ハードSF」と「SF的な小道具を演出として散りばめたエンタメ小説」とを分けて考える必要があると思います。
前者なら、作中に登場する物質や技術そのものは架空のものであっても、作品の中に一定のルールを決めて、そこについては矛盾しないという論理性や厳密性にはこだわるみたいですね。
後者の場合は、専門用語もどきをもっともらしく文章に織り込む筆力さえあればOKだと思います。
>理数系じゃないと書けないのでしょうか?
一概に言えないでしょうが、ハードSFは疑似科学ではあっても論理的な思考力は要求されるから、理数系の素養は多少あった方が有利だとは思います。
比較的緩いSFの場合も、ある程度理数系の本などを読みなれていないと、専門用語をもっともらしく使うコツがつかみにくいということはあるかもですね。ただ、その種の本を1~2冊斜め読みしただけで感覚をつかんでしまう器用な人もいますから、何とも言えません。
もっと緩い、宇宙船やナントカビームが出てくればSFという程度のものなら、なんでもいいですw そういう小説でもストーリーやキャラの魅力など他の要素が秀逸なら通用する場合もあると思います。
ガンダムを例に出すなら、あれは「サイエンス・フィクション」ではなく「スペース・ファンタジー」とかになるでしょう。
ビームサーベルの元ネタとなったスターウォーズのライトセイバーだって、原理不明です。
『逆襲のシャア』という映画のラストで、地球に小惑星が落ちそうになるのを食い止めようと、ガンダムが隕石の前に立ちはだかって押し返そうというシーンがあります。
現実の理論を考慮するなら、減速させたら余計落ちるだろ! という事になりますが、エンディング間際の感動的なシーンでそんな野暮なツッコミしませんよね。
ガンダムを例に出されたのでガンダムの話を出しましたが、観客(読者)を引き込めるほど面白ければ現実の理数系の法則をまるっきり無視しても許されるという例です。
SFは、その名のとおり、サイエンスフィクション(科学的ウソ)です。
ウソを楽しむための物語なので、バレバレのウソでも歓迎されます。
薬を飲んで透明人間になろうと、火星からタコ型宇宙人が攻めてこようと、机の引き出しから猫型ロボットと称する奇妙な生物が出てこようと、他愛のない科学的説明がついていればSFとして成り立ちます。