ヒア東さんの質問 2013年09月14日
最近、物語を考えていると、そのスタート地点が大抵「こんなヒロインを書きたい」「ヒロインにこんなことをさせたい」というものであることが多いです。
ゆえにヒロインを取り巻く設定やキャラ性、シナリオとも密接に関わるバックボーンなど様々な要素がとても豊かになっていく反面、対になる存在である主人公ポジションの少年はそのおまけに過ぎず、いつも空気化してしまいます。
ならば彼にも相応の設定を与えて、ストーリーとの整合性を調整していけばいいだけのことなのですが、どうにも『彼』にさせたいことというモノが無いのです。無理に何らかの設定を付与してみても、書いていて楽しくなく、さらにはお話そのものがつまらないものに見えてしまいます。
ヒロインの萌え要素を重視する向きの強いライトノベルだからといって主人公の少年を蔑ろにして良いということはないと思いますし、そもそも物語の中心に立つべき存在がそれでいいのかという思いはあります。
なのにヒロイン周りの設定やら彼女を中心とした書きたいシチュエーションやらはどんどん湧いてくるのに、主人公君に関してはさっぱり降りてこないのです。
男主人公にこだわっているのは単に自分もまた男だからなのですが、いっそのこと女性主人公についても勉強してみるべきなのか、思案のしどころといった具合です。
このような現状を、どう打破したものでしょうか。主人公から物語を作り始めるという方などもいらっしゃるでしょうし、何かアドバイスを頂ければ幸いです。
よろしくお願い致します。
●答え●
とりあえずキャラが立つ=設定を付け加える、ではないと思います。
特に主人公の場合は闇雲に設定や特徴を加えても視点である以上なかなか動かしづらさがありますので、主人公以外のキャラと同じようにすれば袋小路に入る恐れがあります。
男性の書き手が女主人公にするのもそれはそれでリスキーな部分もあるでしょう。
既存の人気作品ではしばしば主人公が空気だヤレヤレ系だと言われます(実際そんな作品もあります)が、ストーリーから主人公を取り除いても問題なく成立してしまうようなら、それは話作りとして大失敗で読者からも批判されるのは確かです。
ですが、ストーリーの中で主人公の果たす役割がしっかりとあるなら、必ずしも主人公自身が濃密な過去や強烈な個性を持っている必要はない、とも考えられます。
ひとまず、普通にストーリーを創っていけば、主人公はメイン/サブヒロインにとって物語上一番関係深い存在になるはずです。
また作中の人間関係は主人公を中心として形成され語られるはずです。
そこで、ヒロインの設定やエピソードが充実するなら、ヒロインの言動や振る舞いのきっかけや要因に主人公を噛ませていく方向で考えてみてはどうでしょう。
アクティブな他のサブキャラ同士をうまく結節したり、個性的な彼ら彼女らを受容するような存在に徹させるのもひとつのやり方です。
よくあるのが変人ヒロインの唯一の理解者とか、活動を共にする腐れ縁とか。主人公がそこにいたからこそ繋がりが生まれた、自分の居場所や役割が生まれた、そういう風にヒロインや仲間に“感じさせる”ことができれば、主人公の存在感も高まっていくと思います。
(当然主人公にも意思があるので折り合いをつけながらになりますが)
主人公にさせることがないなら、周りのキャラにどう影響を及ぼすかを考えてみると状況の打開にならないでしょうか。
いっそのこと、ご自身のその悩みを始点に主人公を作ってみてはどうでしょうか。
「させたいことがなにもない」悩みを主人公視点での「したいことがなにもない」苦悩に転換することから始まり、主人公にはしたいことが無い
→自分というものが無い
→主人公を「確固とした自意識や目的を持てない(持たない、ではない)キャラ」にしてはどうだろう?
→主人公がそうなった理由や設定を考える
→過去に自我が壊れるような酷い目にあい、全てを他人事のように捉える人間に育ってしまった。それでも心のどこかで「目的を持って生きる人間」を眩しく感じ、憧れを捨てきれないでいる
といった風に。
その主人公を「設定もバックボーンも豊か」なヒロインとかみ合わせ、
「今までに会ったことのない女性に出会った。どうやらその人物には色々と抱えている事情があるらしい」
「その人物に付き合っていれば、自分みたいな何も無い人間にもなにか変化が生まれるかもしれない」
などと、間接的に主人公に「したいこと」を与えてあげるわけです。
性格や人物設定としては、
「従順で優しいが、どこか壊れた感性を備えつつヒロインを支える“従者キャラ”」
「冷徹ともいえる合理的すぎる考えを持ち、時にヒロインと対立しつつ物語を紡ぐ“相棒キャラ”」
などがなんとなく浮かびました。ええ完全に個人的な好みです。
ぱっと思いついたままノリで書いてしまいましたが、一例として参考になれば幸いです。
女主人公は新人賞だと不利みたいですよ。
自分がヒロインにやりたいことをやる主人公にしてみたらどうですか? 活躍するのはヒロイン、それを実況中継するのが主人公、話を進めるのはヒロイン、定番エッチイベントを起こす主人公、設定がたくさんあるヒロイン、大してない主人公…バランスいいと思いますが。
無個性な主人公でも、なんかいい能力とかを持っていて、それでいざという時活躍してヒロインといい感じになるのも定番ですよね。
私としては、そのままで良いのでは? などと考えてしまいますが、それでは身も蓋もないですね。
私の場合は、年頃の主人公に何をさせたいのかが浮かばないので、いっそ幼くしてしまいました。
自由気儘に奔放に、したい事をさせ、やりたい事だけやらせてみる、といった具合ですね。
私自身は男でオヤジなのですが、それはソレ、これは面白いといった気持ちでやらせて貰っています。
まぁ、苦情が来たりもしますね。実験的だとか、気持ち悪いとか・・・
逆に可愛らしい、吹いたといったコメントも来るので、それは見なかった事に、これは嬉しいといった気持ちで作って見ています。
何より自分が楽しみたいから、こうなったなら、どうなるのだろうかと夢想して楽しんでいます。
本能的な子供を書く事が得意になってしまいましたね。
ライバルは少ないし、書かれているモノも少ないからいっそ自分で作ってしまえという気持ちで書いています。
能動的な少年・青年を書くと、何故か人気がありません。
ライバルが多い為でしょうね。それ以前に下手な所為もあるのかな?
参考になるかは判りませんが、女主人公で、男の私が面白いと思うモノを幾つか。
詐騎士
ある貴族の病弱な子弟の身代わりに、女性でありながら騎士となった少女。
彼女は特殊な魔術を用い、男顔負け、どころか、何者も敵わないほどの強さを発揮!
その後、性別がバレるも期間限定だからと王子王女から庇われる事に・・・
死神を食べた少女
少女は、飢えていた。やっとの思いで手に入れた食べ物を口にしようとした時、それを邪魔された。
今まさに殺され様とした少女の目に映ったモノは、自分を殺そうとする男の背後に居た死神・・・
彼女はそれを美味しそうだと感じ、何処にそんな力が残っていたのか、死神を口にした・・・
そして、彼女は食べ物の恨みを晴らすべく、最後の食べ物を駄目にしてくれた相手に復讐を誓う。
無理に湧かないモノを湧かせるよりは、書けるモノ、楽しめるモノを中心に書いて行くべきかと思います。
その内、男主人公で書きたいと思うモノが浮かぶのを待つべきかとも。
私はその様に考えるので、その様にお返しします。
思い浮かぶがままに、思い描けるがままに・・・
>彼にも相応の設定を与えて、ストーリーとの整合性を調整していけばいいだけのことなのですが
いや、ストーリー(おそらくヒロインの話)との整合性を調整したところで、それは結局「ヒロインの話」に付随する一要素に過ぎないので、根本的な解決にはならんでしょう。
問題なのは、主人公が空気化する、と言うより、ヒロインに比重を置きすぎてるため……
つまり、「ヒロインの話」を作っているからで、「主人公の話」を作ってないから。ではないでしょうか。
近年流行りの主人公が事件に巻き込まれるタイプの話を書いているのかな、と予想しますが、主人公が巻き込まれてる理由はなんでしょうか。
主人公には目標も目的もないのでしょうか。
主人公が目立たないのなら、その話でソイツは主役じゃなかったんだよ。と友人に言われたことがあります。
ヒロインの話ではなく、主人公の話を考えましょう。
同じネタ・展開であっても、中心に主人公を据えてやれば主人公は自然と目立ちます。
『とある魔術の禁書目録』とかがまさにそうじゃないかなと思います。
ストーリーライン的には主人公は完全に部外者なのに、ちゃんと主人公していますね。
ネタ的には「(ゲスト)ヒロインの話」なのに、主人公を中心に書くことで、それを「主人公の話」にしてると思います。
『とある魔術の禁書目録』って、あれ、主人公いなくても成立する話ばっかだよね。
その中で活躍しているから、主人公は主人公でいられるわけです。
なので、主人公を活躍させてあげましょう。
それが出来なさそうなら、単純に物語の山場や見せ場で活躍するキャラクターをヒロインから主人公に変更してみましょう。
設定的に無理だって? 無理を押し通して無理じゃなくすから、夢があって面白いんじゃないですか。
まあ、でもこれは強硬手段かなと思います。
また、同じようなことですが、アニメや漫画、もちろんラノベなんかを読んで見て、盛り上がる場面がどういう場面なのか、キャラクターが印象付けられるのはどういう場面なのか、よく研究してみると良いのではないかと思います。
物語の根幹は「欲求の充足、欠落の回復」であると聞きました。何かがしたい、何かが欲しい、そういった願望が原動力となり、キャラを突き動かすのだと。端的にいえば目的ですね。
じゃあ主人公に目的持たせれば解決じゃん? と言いたいところですが、それができたら苦労していないのでしょうし。
現状を見るに、どうやらヒロインの方はしっかりと作り込まれているようなので、主人公とヒロインを連動させて考えてみてはいかがでしょうか?
ヒロインが行動した時、主人公はどう反応するのか。あるいは主人公の行動に、ヒロインは何を感じるのか。
例えば、ヒロインの持っている願望を、主人公は否定する。何故か? これで設定一つ作れちゃいますよね。
要するに、もう立ってるキャラがいるなら、そいつをベースにすれば良いじゃん? という事です。
私も似たような状況に陥りましてね、主人公とヒロインの設定量に十倍以上もの差が付いた事がありました。今では主人公とヒロインの相関性を考えることで、なんとか五倍程度にまで抑えられています。
> ならば彼にも相応の設定を与えて、ストーリーとの整合性を調整していけばいいだけのことなのですが、どうにも『彼』にさせたいことというモノが無いのです。無理に何らかの設定を付与してみても、書いていて楽しくなく、さらにはお話そのものがつまらないものに見えてしまいます。
……そう感じるのは、ヒロインに合わせて主人公の設定を作ったのは良いですが、どこか納得していない部分があるのだと思います。そういう時は、徹底的に「何故?」を突き詰めてみると良いです。大きな動作から、些細な仕草まで「何故?」と問いかけてみましょう。
そもそも、書きたいモノ(ヒロイン)に合わせて設定しておいて、書いていて詰まらないというのはおかしいんですよ。ヒロインに合わせているなら、主人公の行動どころか過去話でさえ、ヒロインの描写と変わらないのですから。
ヒロインを主演にしたいというのなら、舞台を整えるのは必須事項です。それは背景であったり小道具であったり脇役であったり、ヒロインと共に歩むヒーローであったりするのです。
> ヒロインの萌え要素を重視する向きの強いライトノベルだからといって主人公の少年を蔑ろにして良いということはないと思いますし、そもそも物語の中心に立つべき存在がそれでいいのかという思いはあります。
なお、どんなハーレムモノで萌え押しでも、主人公に魅力がないと売れないそうです。やっぱ主人公って大事だね!
……世の中には「ヒロイン? 後でいいよね」という御方もいらっしゃいますが、それはまた別の話。
こんばんは、サイラスです。
ヒア東さんがいうような女主人公の話も悪くありませんが、ここは発想を変えて、ヒロインを男にして、それを主人公にしてしまう方法もあります。
ヒロインにさせたいことがいっぱいあるなら、その豊富なネタを男から見た(やった)ら、どうなの?というなのも充分できると思います。一から作ってもダメなら、転用するというの手段です。
こんな感じでしょうか。では。
こんばんわ、蛇の目です。
主人公に個性がなく、無色な存在でいいのか、というお話ですね。
確かに物語を転がすのには目的意識を持った主人公のほうがいいですね。行動原理を示すことで物語の説明ができる。
スーパーヒーロー型主人公に多いですね。
ただ私たちは日常に住んでいる存在です。いきなり異なる価値観の主人公に感情移入するのは少し難しいです。極端な性格も、多くの人に読んでもらうには不向きです。
主人公が現実的で個性のない性格になっているのは、読者が感情移入するのに最も適したキャラ付けであると私は考えています。
そのかわり、物語を引っ張りまわすアクの強いキャラや事件によって主人公が追いつめられることがすなわち物語の目的となるので、私は主人公は無個性にして、周囲に強制されるなかで主人公のキャラを徐々に浮き上がらせていく手法を取っています。
テーマをきちんと決めれば、させたいことがないという状況はあり得なくなります。
モテたいでも、付き合いたいでも、ヒロインがレズるのを眺めるでも、それは男主人公にさせたいことになります。
逆に、主人公にさせたくないことは何か、と考えてみてもいいんじゃないでしょうか?
日本のヤクザさんなら、堅気には手を出さないという掟を敷いていたりもします。生粋のイタリアンマフィアは、オルメタといって「麻薬・売春は高貴な男がする仕事ではない」などの御法度を設けているところがあったり。新撰組なら、「士道不覚悟である!」とかいうフレーズは有名ですし。
優柔不断で、回りに流されやすい主人公。けどこういうところはこだわりを持っていて云々~みたいな。それも立派に主人公の心情ですし、物語を転がす要素にもなると思います。そこから主人公像を作り上げていくのも、一つの手ではないかと。
それでは。