新人賞に送ってはいけない作品のパターンと理由を紹介をします。
以下はジジさんの意見です。
●「この謎は次の巻で明かされる」は未完結と見なされる。2013/10
応募作自体は完結しているし、問題はないだろうと思って送ってくる応募者の方が多いです。
しかし、伏線が応募作の中で完結していない以上、それは未完結と見なされ、必ず途中で落とされます。
●「既存の作家が編み出した独自の組み合わせ」「作家独自の表現」の流用はパクリと判断される。2013/10
例えば支倉凍砂氏の「狼と香辛料」(2006年2月刊行)があります。これは「ファンタジー+商売」という、ありそうでなかった隙間を埋めたすばらしい発想です。これが世に出て以後、この路線の応募作も増えましたが、ファンタジー+商売の図式である以上、どれだけよくできていたとしても「パクリ」としか判定されません。
また、最近(2013年後半)増えているのは、「西尾維新インスパイア」です。
西尾維新氏は、「彼にしかできない独自の表現がある」作家です。ネーミングセンスしかり、キャラ立てしかり。キャラの名前が動詞や物の名詞だったり、心情描写よりも突飛なセリフまわしや行動で見せる西尾表現を借りれば、それはパクリになってしまうわけです。西尾インスパイアは、基本的に「絶対避けるべきもの」であり、線引きに関しての私の基準は「西尾センスが感じられるものは基本的に地雷」となります。
●歴史物は受賞できない。2013/10
歴史物は要注意です。既存の人物史や作品を「自分独自の目線で」書いたという応募作はどの賞でも常に何作かあるのですが、それらの作品が賞を取ったことは、私が知る限りひとつもありません。
●特定の属性の人にしか理解できないメタ、パロの多用は危険!2013/10
メタネタやパロディは、新人賞では必ずチェックポイントとして設定されています。
ネット用語などもこのメタ、パロに引っかかるポイントです。応募者が考えついた独自の発想や世界観ではなく、ネット民同士でなければ理解できない言葉遊びだからです。ただ、味つけとしてなら問題になるものではないので、程度問題ですね。
また、このパロやメタは、プロにはゆるされることも応募者にはゆるされないことがある。という一種の信頼問題であることも重要です。
■質問2014/10/02
他の有名作家、作品にインスパイアされた応募作が多いといいますが、実際、どのようなところに、それが見られますが?
●ジジさんの回答
一時期の西尾維新氏に代表される単一作家インスパイアの場合、ネーミング含むキャラから設定、ストーリーまで、すべてが劣化インスパイアになるのが特徴ですね。
仮に元の作家と同等のクオリティが実現できたとしても、やはり同じように「劣化」と評するしかありません。完璧なピカソの模写に高い値段がつかないのと同じことです。
また、近年多くなってきたのは、複数の作家のネタをひとカケラずつ持ってくる複数作家インスパイアです。
設定のこの部分はこの作品、キャラのひとりはあの作品、ストーリーの大枠はその作品で、味つけにかの作品を振りかけてみました……というものですね。
元ネタが割れてしまうと、審査側はかなりげんなりします。
■質問2014/09/29
自分の作品に実存する有名な絵本のタイトルを入れるのはまずいでしょうか?
●ジジさんの回答
避けるべきです。著作権という問題もあるのですが、他人のネタを借りて自作を高めようとする行為が審査側に好印象を与えることは絶対にありえません。
ちなみに、有川浩氏の『図書館戦争(角川文庫 2006年2月10日刊行)』 と『レインツリーの国(新潮社 2006年9月29日刊行)』が参考になるかもしれません。図書館戦争に聴覚障害の女子が登場するのですが、その子が好きな人から勧められて読む本がレインツリーの国なのです。
『レインツリーの国』は、『図書館戦争』に劇中劇として登場する架空の小説ですが、書籍化もされています。
■質問2014/01/05
商業では、ほとんどの作品がストーリーを章ごとに分けています。
この章分けは、応募作の時点でもやるべきなんでしょうか?
●ジジさんの回答
章わけをしないに足る理由やしかけがないのであれば分けるべきです。
理由は簡単で、「物語の節目と転換ポイントがわかりにくい」からです。
■質問2013/10
書いた小説のテーマが自分が体験した「児童虐待」というくそ重たいものなのです。
主人公は悩み、最後は理解者のおかげで前進していくのですが、テーマが重いだけでやはり「ラノベレーベルには向かない」と思われるものでしょうか。
●ジジさんの回答
ラノベ読者が「児童虐待テーマ」を好むでしょうか?
普通に考えれば「否」です。これは一般向けレーベルでも同じ。読者が楽しめないものはエンタテイメントではありません。
また、経験者が自分の経験を元に物語を興す場合、なによりも「客観視」が重要です。
■質問2013/07
意外と知られていないアタリマエは?
●回答
あらすじは文字数で指定されている場合が多いが、その指定されている文字数を守るべき。
原稿用紙の枚数が最低限の枚数に達していない場合はそれだけで落とされることもあるが、指定枚数を超えていた場合には甘くみることも少なくない。
■質問2013/07
宗教批判について。
クリスチャンとプロテスタントがお互いに口論をして、言い争っているというシーン。現在ファンタジーでやるとこのような特定の宗教批判は選考上、不利になるか? また、時代劇で宗教批判をやっても大丈夫なのでしょうか。
●回答
宗教批判はしない方が無難。
しかし、「クリスチャンとプロテスタントがお互いに口論をする」くらいの軽い触りなら大丈夫。
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