茶の間さんの質問 2012年12月11日
いわゆる『中世ヨーロッパ』の雰囲気をベースにしたファンタジー小説の設定を考えています。どの年代とかどの国がモデルとか、そういうのはこの際置いておきますが……。
それで、考えることがあまりにも多すぎてさっぱり執筆が進まなくて困っています。
それは物語を構成する大きな出来事だとか、重要な設定だとかではありません。例えば『飲み水はどう調達しているのか? 井戸があるのか? その数は? 水を汲むためにどんな道具を使ってる? または水道設備があるのか? それはどういう仕組みか? どう整備してるのか?』『この世界では自ら握手を求める動作にどのような意味があるのか?
こっちの国はこうでも、あっちの国では違う意味かもしれない?』『会釈という行為は一般的か?』『特別な食事を摂る祭日は存在するのか? あるならどういうものか? それはいつか?』
例として何となく挙げてみましたが、もうそれこそ人の日常生活の些細な動作一つ一つから登場する国家の法律の一つ一つまでもが気になってしまいます。
これら全て別に設定しなくてもいいことなんです。考えている本編には一切合切関係がありません。
読者にしてみたら全くつまらない、しかも話の本筋には一切関わらない、至極どうでもいいことばかりです。
しかし一つ一つならば瑣末なこととはいえ、その全てが私の考える世界を構成する要素なのだと考えたら、どんなに無視したくても一つとして無視できないのです。そんなものは無視して大事な本筋だけ書き進めようと思っても、書いてる内にむず痒いというか、何かがつっかえているような非常に気持ち悪い感じがして、キーを打つ手が止まってしまうのです。アレも考えなきゃ、コレも考えなきゃ、というのが無限の湯水のように湧いてきて、いっそ吐き気まで覚えます。
コレ一作に掛かりっきりというわけじゃないですが、ずっと考えてもう何ヶ月も経ちます。1ヶ月でサクッと良質なファンタジーを書き上げちゃう人が信じられません……。
正直な所、ファンタジーを書くのはこれが初めてです。
やはり、これら全て一つ一つの要素を片っ端から埋めていくことがファンタジーを書くということなのでしょうか? 逃げ腰なのは甘えているな、と若干自分でも思ってはいますが……。
それとも、やはり物語に関わらない余計な情報は無視するべきなんでしょうか。べきとして、どういう意識の持ち方であれば、無視して大事な所だけ見据えて書くことができるでしょうか。
ご意見をお聞かせください。
●答え●
描写しないならその設定は不要。不要な設定は邪魔なだけだから考えなくてヨシ。
……ってことで、あくまでも文章中に書き起こすときに必要となる情報だけを設定として纏めておけばいいだけの話なので、井戸に関するエピソードがないのであれば井戸の設定はいらないし、あるのなら井戸の設定も必要になって来ます。
短いながらそういうことで。
一人称なら『主人公の持っている知識の範囲』。
三人称なら『読者に最低限知っていて欲しい範囲』。
これらが十分練られていれば問題無いと思いますよ。
もしどうしても不安で筆が止まるなら、その世界全ての設定を決めてから書けば良いと思います。自らの手で世界を作りましょう、さながら神の如く。
ふと思ったんですが、現代モノ書く時ってどうしてるんですか?
>>描写しないならその設定は不要。不要な設定は邪魔なだけだから考えなくてヨシ。
まったくもって仰るとおりです。そのことは質問文に書いたように百も千も万も承知で、その上で『考えない』『無視する』ことがどうしてもできない、という悩みを相談させて頂いていたのですが、どうにも伝わらなかったようですね。
この質問を読んだ上でこのような解答を下さったのですから、私がいくら無視できないと言っても、ねこさんとしましては「そんなの知らんよ」ということなのだと思いますが……。
もう理屈ではなく完全に精神面の問題なのかもしれません。
答えにくい質問で申し訳ありませんでした。
考えてしまうなら、考えればいいです。
それは、たとえ作中に出す必要がなくとも、大きな武器になりますから。
中世風ファンタジーで、ネコを拾って家に連れてきて牛乳を暖めて飲ませたという話を読んだことがありますが、冷蔵庫がありガスがとおっているの?と疑問がわきました。
そういうことがないように、その世界を頭の中に構築する必要があります。
それを苦痛だと感じるのなら、他の時代の物語を書いた方が良いですよ。
書いていて楽しくないと苦痛なだけだと思います。
ちなみに、わたしは、そういう世界を想像するのが楽しいので、たのしく書けます。
食事を作るだけでも火をおこすところからはじまります。
当然、冷蔵庫はありませんから、腐るような食材は使えません。
市場に買い物に行けば、生きた食材か干物がメインです。
法律はその町の治安に影響しますから、どのレベルの罪でどのような刑罰かくらいは頭に入れておきましょう。
ひったくりで死刑になるようなら、よほどのことがないかぎりひったくりはしないでしょう。
その程度は考えておかないと……考えると言うより、自分の頭の中に仮想空間を作って入り込めないと、中世風ファンタジーを快適に書くのは難しいと思います。
しないことには書けないだろう、ということで改めて言わせていただいた……という感じですかね。
悩み自体は分からなくもないんです。ただ、そこで悩んでたって始まらないし、もっと悩む所があるはずなんですよね。
どうしても譲れないものがそこにあるのであれば自身で考え貫くのが一番。そうでないのなら、頭を切り替えて行かないと……いつまでたっても進み出せないということになりかねないので^^;
僕も、飛車丸様に賛成です。
ミステリーや歴史小説を扱っている作家は、作品に出ている知識がすべてではないでしょう?
労力や時間を度外視して言いますが、膨大な世界観の一部を出す、というやり方が、創作には最も適しているかと。
途中で知識や設定を出しきってしまったら、創作そのものを止めてしまいそうですし……。
ということで、切羽詰まった感じではなく、楽しく創作してほしいですね。
多少の妥協や諦めは必要でしょうが……。
たぶん、質問者様が言いたいのは現実モノは日々日常的に感じていることだから想像がしやすい。
しかし、ファンタジーとなると自分の頭で設定を構築していかなければならないから難しい。
ということでしょうかね。
自分は現代モノをほとんど書きません。
だいたい途中であきらめてしまいます。
というのもファンタジー作品を書くのが好きだから。そっちばかり書いてます。
前の回答者様が方がいうように、別に必要ない設定も勝手に作っちゃっていいと思います。
自分はそれを考えるのが好きでファンタジーを書いています。
自分が思うに、描写しないならその設定は不要。
これがどんな意味なのかはわかりませんが、例をあげるなら
「アーサーは新年を祝う水祭りに参加した。水祭りとはお互いの頭に水を掛け合い、悪運を消し去り、健康な一年を送ろうとする伝統的な祭りである」
ちょっと例が思い浮かべず、下手なものになってしまいましたが。
これを読んだだけでは、そんなに違和感は感じないと思います。
しかし、これならどうでしょう。
アーサーが住むのは砂漠にある小さな町である。
それだけでことがかわってきます。
砂漠でどうやって祭りをするほどの水を調達するのか。
多くの読者はそう感じると思います。
その場合は設定が必要ですよね。
近くに水が調達できる場所があり、砂漠の町でありながら水が豊富にあるとか。
用は、必要か否か。自分で書きながら、もしくは推敲の際に自分で判断し、もし設定が必要ならば付け足さなければなりません。
まあでも、設定に不必要なことはないと思います。
作家さんの中には設定だけでノート何十冊と書く人もいますから。
設定は、どんなに些細なことでも世界観、設定が深いのは小説を書く際に大きな力となり、矛盾も少なるであろう。
と、自分は思っています。
ただ、読者が全員設定を大事にするとは限りません。
上に述べた例を他の人が読んでも違和感を感じない人もいると思います。
別に砂漠の町だからって水がないわけではないでしょ?
とか。
人それぞれということでしょうね。
設定が深いと、上に述べたようにどんなにそれが些細なことであまり物語に関係ないものでも小説をより深いものにしてくれるはずです。少なくとも自分はそう思っています。
もちろん設定が薄いものでもヒットしている小説はあります。
上に述べたことと少し矛盾しますが最後に持論を述べてしまうと。
設定が無駄になることはないと思います。
何らかの形となり、力となり、小説を支えてくれるはずです。
設定は、小説の土台なんです。
それがなければ物語は始まりません。
世界観はできません。
小説は、質問者様自身、作者自身が世界を知ってなければいけないんです。
まあ、それでも設定が多すぎると大変だと思います。
自分で必要か否かくらい判断し、削っていくべきだと思いますが。
「こじつけ」「はったり」「でっちあげ」がモットーです、雷です。
これらに、たまに「シカト」も加わります。
僕もファンタジーが好きでよく書きますが、細かい設定を考えなかったり無視することも多いです。
物語の中で水の調達方法が話題にならないのであれば、井戸や水道の設定を考えたりはしません。
いえ、じつは頭の中で考えてあるんですけど、それをわざわざ掘り下げるようなことはしません。
掘り下げる必要が出てきたときに、はじめて掘り下げます。
それでも間に合うからです。
「街の規模と人口がこれだけあるから、この街にはこれだけの数の井戸があるだろう」とか、「時代背景や技術水準から考えて、水道設備が十分に整理されていそうだな」とか、後付けの設定で違和感なくまとめることができれば、僕はそれで良しとします。
しかし茶の間さんには、僕のように割り切ることができないようです。
だったら、いちど気がすむまで設定を考えつくしてください。
考えに考え抜いて、悩みに悩み抜いてください。
僕はいちどそうやってみて、そして「考える必要も悩む必要も無い」という結論に達しました。
冒頭に示したモットーは、その経験にもとづいています。
もしかしたら茶の間さんは、僕とは違う結論に至るかもしれませんが、そのときはそのときです。
■ 茶の間様の悩み。
設定を作ることにとらわれて、肝心のストーリーを書けない。
困っているので、なにか案はないか。
■ ファンタジーの悩ましさ。
ファンタジー世界は作り込むほどに魅力が増します。
こだわる人なら、ファンタジー世界の辞書から作るでしょう。
しかし、辞書など作っていてはいくら時間があっても足りませんよね。
■ 解決策は締め切りを定めること。
私の回答は一つです。
それは、仮の「締め切り」を定めること。
1. 2ヶ月後までに完成させる。
2. その時点でストーリーが未完成なら、もうその作品には手を加えない。
このように、自分で期限を定めます。
そして『期限の中で』できる限り良質な作品を作ってください。
すると、設定は後回しにせざるを得なくなります。
■ なぜ締め切りを定めることをすすめるのか。
乱暴にいってしまえば、自分の作品には、好きなだけ時間をかけてもよいのです。
設定を練り込むほど、作品はリアルになっていきます。
しかし、「それでは困る」と茶の間様はおっしゃいます。
茶の間様が悩んでいるのは「脱稿までの時間」ですね。
それならば、「脱稿までの時間を先に決めてしまおう」ということです。
いくらでも時間を掛けられるという素人の優位性は、時として足かせになります。
なによりもストーリーを完結させることが重要。
それを知るために締め切りを定めましょう。
物語が完成してから細部に手を加えることは、案外容易いのです。
> それとも、やはり物語に関わらない余計な情報は無視するべきなんでしょうか。べきとして、どういう意識の持ち方であれば、無視して大事な所だけ見据えて書くことができるでしょうか。
雰囲気を醸し出す程度には、作品内世界を煮詰めておく必要があると思います。
お好きなファンタジーを読み込むとか、文献を探すとか。
中世ヨーロッパの都市の生活 (講談社学術文庫)
中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)
中世ヨーロッパの歴史 (学術文庫)
中世ヨーロッパの武術
> 一人称なら『主人公の持っている知識の範囲』
> 三人称なら『読者に最低限知っていて欲しい範囲』
しっかり範囲を定めて、そこを重点的に練ることが大事なのでしょうね。範囲の際限が無ければ、調べることにも際限がありませんから……。
ただ、『読者に最低限知っていて欲しい範囲』と同時に『作者である自分が知っておかないともやもやして仕方ない範囲』があるので、なかなか後者の処理が出来ず歯痒い思いをしております。
> もしどうしても不安で筆が止まるなら、その世界全ての設定を決めてから書けば良いと思います。自らの手で世界を作りましょう、さながら神の如く。
やはりそれも手なのでしょうか。時間がいくらあっても足りなさそうですが、そんな甘ったれたことを言ってたらファンタジーなんていくら経っても書けないのでしょう。
> ふと思ったんですが、現代モノ書く時ってどうしてるんですか?
現代モノは自分の生きているこの世界をそのまま書くだけなので、特にこういう悩みは浮かばないんですよね。書かなくていいことも自然と感覚で分かっていて、そこに違和感などは浮かびません。
ただ、ちょっと込み入った業界(?)の話になるとまた別ですね。神社の巫女さんをヒロインに据えようとした時などは、同じような悩みでなかなか話が進まず困ったものです。
>現代モノは自分の生きているこの世界をそのまま書くだけなので、特にこういう悩みは浮かばないんですよね。書かなくていいことも自然と感覚で分かっていて、そこに違和感などは浮かびません。
そこです。
それをファンタジー世界に当てはめれば良いだけですよ。
貴方は日常的に水道から出た水を飲んでいます。
何処から来た水か、何処の誰が浄水したのか、どこの業者が敷設した水道なのか、その資金は何処から出たか、何世帯が使っているのか、年間使用量はどの程度か。
そんな事は気にしないし気にならないでしょう?
ファンタジー世界の人々も同じです。
井戸から水を汲んで使っているけど、それがどれだけあるのか、誰が管理してるのか、どう掘られたのか、あと何年使えるのか。
そんなのはほとんど気にしないでしょう。ただ有るから使う、使って良いから使う、必要だから使う。それだけです。
そこを時間かけて色んな設定を考えても、物語的にも、作者的にも、読者的にも『完全に死んだ設定』です。
もちろんそれらの設定が作品で活かされれば話は変わりますが、何も関係しないならば不要な設定でしょう。
かく言う私も病気モノを書いた際、色々と調べた結果細かく調べるのは投げました。一つの病気でも関連した病や治療法が枝葉の如く広がり、膨大な専門知識が必要で収集がつかなくなったのです。
最終的に『病気の詳細より、その病気の所為でキャラの人生がどう変わるのか』が重要であると結論付け、病の詳細より物語性とキャラの心情・心理を優先する形で納まりました。
『全てに詳細な設定を付ける』それは終わり無き行為だと思います。何処まで練るか、何処で妥協するか、それは作者の自由ですが。
自分は『物語』を創りたいのか、それとも『設定資料集』を作りたいのか、それをハッキリさせた方が良いのかも知れませんね。
では、駄文乱文失礼しました。
執筆頑張って下さい。