|
朝霧さんからの質問
陳腐な話は書いても意味がない? こんにちは。朝霧というものです。 よろしくお願いします。 最近私はある疑問……というか不安を持っています。 それは今はもう「剣と魔法」というRPG的な小説は正直言って、 書いていても意味がないのでは、ということです。 私がライトノベルというジャンルにはまったきっかけとなった小説は、 「剣と魔法」ものでしたし、今もその世界の小説は大好きです。 けれど最近様々な新人賞で求められている作品は何か新しい、オリジナリティあふれたものです。 もうベタな「剣と魔法」なんて小説いらないよって感じです。 確かに私も、今まで見たことのないような世界とか能力とか、 そういったものを題材にしている作品には惹かれます。 でもやっぱり私は「剣と魔法」の世界が好きで、それに一番わくわくさせられます。 書いていてもこれが一番楽しいです。 けれど一方で書いた以上は誰かに読んでもらいたいし、楽しんでほしいと思うのも事実です。 それらを考えたらいまどきベタな「剣と魔法」のものを書き続けるより、 自分だけのオリジナルのものを模索するほうが良いのでしょうか? ●答え● 朝霧さんが、すでに相当な実力をお持ちで、プロ作家になるべく新人賞に挑戦しようと考えているのなら、陳腐な話より、インパクトのある話を作るべきでしょう。 各新人賞には求められる作品の傾向というのがありますし、 共通して斬新なアイディアを持った新人作家が待望されています。 『たくさんの人にウケる小説』でないと受賞できないのです。 しかし、未だ修行中か、趣味で小説を執筆しているのなら、 世の中の流行に振り回されない方が良いです。 まずは、自分の持ち味をとことん磨いてください。 人にはそれぞれ持ち味・個性というものがあります。 「剣と魔法」のファンタジーが得意な人が、いまは学園物の方が流行しているからといって、 無理に学園物を書いても、まずおもしろい作品にはなりません。 自分の好きな話・得意なジャンルを書かないと楽しくないし、途中で挫折しやすいです。 あなたの持ち味・個性を知り、それを伸ばしていくためにも 『自分の好きな話・得意なジャンル』を書くようにしてください。 自分の好きな話をたくさん書いていると、 そのうち他人には無い自分の持ち味というものがわかってきます。 それを伸ばし、さらに+αの工夫が加えられるようになると、 新人賞受賞への道が開けてくるでしょう。 また、『タデ食う虫も好き好き』と言います。 朝霧さんと同じように、「剣と魔法」のファンタジーが好きな人は世の中に大勢います。 その人たちに、ハイクオリティな作品を提供できれば、当然、喜ばれますよね。 そのためにも、自分の持ち味を磨くことが重要なのです。 すでに新人賞を視野に入れているのなら、陳腐な話は御法度ですが、 そうでないなら好きな話を自由に書いた方が良いですね。 ▲目次に戻る |
虎助さんからの質問
▲目次に戻る常識破りの設定はどこまで許される? 私が今悩んでいるのは、小説内での常識破りの設定はどこまでが許されるかです。 たとえば「人が羽も無いのに空を自由に飛べる」とかです。 確かに一般常識で考えれば、人が羽も無しに空を自由に飛ぶなんて絶対にありえないことです。 でも、その小説がもしもファンタジーで、その小説の世界では、 それが可能だと言う設定にしておけば、それは不自然じゃなくなるのかって事です。 小説内でその様な設定を作っておけば読者様にはそれで納得していただけるのでしょうか。 私が書くファンタジーでは、そんな無茶苦茶な設定を詰め込んで行こうと思うのですが、 実の所、それをする事はどうなんでしょう。 間違ってるのでしょうか。 どうか教えてください。 ●答え● 常識破りの設定がどこまで許されるか? 答えはどこまでもです。 仮にもライトノベル書きが、常識くらい破れなくてどうするんですか? 既存の概念を打ち破る斬新なアイディアを出せば、それは強力な武器になります。 陳腐な作品が世の中に氾濫している現在、新人賞では常識破りの作家を常に求めてますよ。 陳腐な小説と、常識破りな小説が並んでいれば、多くのは人は常識破りな作品を手に取るでしょう。 人は常に新しい刺激に飢えているのです。 良い例を上げれば『撲殺天使ドクロちゃん』 なんて小説があります。 ドクロちゃんは、ロリなのにスタイル抜群の天使です。 彼女は机の引き出しから突如現われ、好物はどら焼きだと公言し、背中には昇り龍と「死ぬまで天使」の刺青を入れています。 頭上のわっかは日本刀並みに切れ味バツグン。 棘つき鋼鉄バット「エスカリボルグ」で主人公を撲殺し、「ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜」という謎の擬音と共に復活させます。 ……ちょっと頭が痛くなってくるほど、超常識破りなキャラクターです(笑)。 賛否両論あるようですが、このドクロちゃんが商業作品として人気を博したのは紛れもなく事実です。 これを鑑みれば、虎助さんの心配がただの取り越し苦労であることがわかるでしょう。 常識なんて、ドンドン破ってください。 こんなキャラクターや設定を作ったら笑われるなんて尻込みしていたら、いつまで経っても斬新なアイディアなんて浮かびませんよ。 >確かに一般常識で考えれば、人が羽も無しに空を自由に飛ぶなんて絶対にありえないことです。 >でも、その小説がもしもファンタジーで、その小説の世界では >それが可能だと言う設定にしておけば、それは不自然じゃなくなるのかって事です。 その通りです。 空を飛ぶためのそれらしい設定を用意すれば、大概の読者は納得します。 例を上げれば、『風の精霊との契約』『マナを噴出することによって推進力を得る』『反重力物質』などがあるでしょう。 ただし、『空を自由に飛べる世界』をリアルに描き出せねばダメですけどね。 誰でも空が自由に飛べるのに、城の作りが中世ヨーロッパ時代の物とまったく同じだったり、何台もの馬車が街を走ってたりすると失笑を買うでしょう。 このことは第1研究室の 『リアリティのある世界観を作ろう』で詳しく説明していますので、参照してください。 |
クッパさんからの質問
▲目次に戻る小説本文がプロットから大きく逸脱してしまいます こんばんは、クッパと言います。 今、起承転結型のプロットを作成して、実際に物語を書き始めたのですが…… 物語を作っている時、いわゆる「転(山場)」の部分にさしかかる前段階として「承」の部分で、そのための伏線や裏設定を描きますよね? その後実際に「転」の部分へとさしかかる訳ですが。 時々、実際に「転」の部分を書いていると、プロットで想像していた以上に脱線した「転」になってしまい、「承」の部分との整合性が崩れてしまう事があります。 この状態になると、例え脱線して書いた「転」の部分がどんなに輝くような場面であっても、その下地となる「承」の部分が崩れてしまい、物語として成立しない気がするのです。 かといって、「承」の部分を書き直すとしても、既に書き終えてしまったという理由もあり、修正するのも難しく…… これを防ぐにはどうすれば良いでしょうか? やはり対処法としては、変貌してしまった「転」に対応するように「承」の部分を地道に書き直し、またそれに 合わせて全体を書き換えていく、という風に、書いては消し、書いては消し、を繰り返すしかないのでしょうか。 今のところ、私自身としてはそうするしかないと思っているのですが…… もし、プロットの段階でこういったトラブル? 防止の策とか。 早い段階で、その先の展開が見通せるような方法があれば、教えて頂けると嬉しいです。 ――あとこういう事態に陥った場合、「承」が崩れている事を承知でまず最後まで書いた方がいいのでしょうか? それとも、崩れが判明した時点で微修正を加えつつ書いた方がいいのでしょうか。 長文かつ的を得ない質問で申し訳ありません。 もし分かる方がおられたら、何かアドバイスを頂きたいと思います。 ●答え● 元村良一さんが、この質問について非常に良い答えを用意してださったので、これを掲載します。 元村良一さんからの答え 質問内容を熟読させていただきました。 その整理と確認という意味を含めて下記に要点を洗い出しましたので、まずは御覧下さい。 1.プロットを作成して書き始めたら「承」から「転」の部分で、話の筋道がおかしくなった。 2.無理矢理書いたら、話の整合性――つまり「辻褄」が合わなくなってしまった。 3.修正したいが既に書いてしまったこともあって、直すのが容易ではない。 4.書いては消し、書いては消しを繰り返すしかないのか? 5.こういった問題を、未然に防ぐ術はないのか? これがクッパさんの質問の要点だと元村は理解しています。 早い話プロットを作成し、その通りに書き進めていったんだけど途中で話が脱線し、既存のプロットの「承」の部分と話が合わなくなり、ストーリーそのものがこんがらがってしまった。 なんとかしてストーリーを元の軌道に乗せたいけれど、どうしたらいいのか解らない。 そして、できるならその問題を解決すると同時に、同じ過ちを繰り返さないようにしたい。その方法を知りたい、と言うように受け取れます。 本来このような事態に陥った場合は、思い切って「破棄」してしまうのがいいのですが、実際問題「せっかくある程度まで書いたのに、捨てるのはもったいない!」という気持ちも十分理解できます。 なので今回は、 1.なぜ今回のような事態に陥ってしまったのか? その原因を捜す。 2.原因を突き止めた後、どのように修正すればいいのか? 3.同じ過ちを繰り返さないためには、どうしたらいいのか? 以上の3点を“柱”として、アドバイスを差し上げたいと思います。 まず最初に、なぜこの様な失敗を犯してしまったのでしょうか? 元村は、クッパさんの創作方法をまったく知らないので、あくまで“推測の上”でしかお話しすることができません。 質問の内容から察するに「プロット」はきちんと作成している様子。 にもかかわらず、ストーリー構成で「肝」となる部分の「承」「転」で話が合わなくなってしまった。 ここから考えると、 やはり最大の問題は「プロットにある」ように思えます。 プロットとは、本文を書く上で迷ったり、話がこんがらがったり、脱線したりしないように作っておく設定書のことです。にもかかわらず実際に書いている段階で話がおかしくなってしまったのは、やはりプロットに原因があるとしか考えられません。 また「起承転結」のうち「承転」がおかしいというのであれば、それは「話の接合部分に問題がある」と、ストーリー自身が作者に教えてくれているのです。 問題を解消するための具体的な方法としては「帰納法」を用いた方がいいでしょう。 帰納法とは、 簡単に言えば「終わりの方からストーリーを決めていく」という方法です。 例えば「桃太郎」の場合だったら、 1.宝を持ち帰る。 2.鬼を退治する。 3.仲間と共に鬼ヶ島へ乗り込む。 4.犬、猿、キジを、吉備団子を用いて仲間にする。 ……かなり大雑把ですけど、この様な具合に決めていけば、自然に「スタート地点」に辿り着きます。 また元の設定は、とりあえず横にでもおいといてください。 普通に考えると「終わりから決めようが始めから決めようが、大差ないじゃん」と思われるかも知れませんが、帰納法に関しては「まず解決ありき」なので、よほど突飛なストーリーでない限りどこかで話が食い違うと言うことがありません。 更に、あらかじめ「スタートから終わりまで」のプロットがあるのであれば、それとこれを付き合わせればおかしくなってきた部分がはっきりと理解することができます。 設定に問題があった場合でも、この方法なら「違和感」の正体が間違いなく把握できるはずです。 その部分を洗い出し、修復すればいいのです。 この方法は、例えるなら「トンネル掘り」に似ているかも知れませんね。 お互いに掘り進めていったのに、うまく繋がらない。どこかで何かがずれてしまった。 それは、掘り進める角度が微妙にずれていたのかも知れない。 あるいはまったく別の要素があったのかも知れない。 なにはともあれ、自分が作ったストーリーは、自分以外に知る者は存在しません。 落ち着いてよく考えてみれば、大抵の問題は解決するはずです。 こういった事例は、クッパさんのみならず多くの人が大抵経験する問題です。 もしこの様な事例に直面した場合、その修正部分だけを直したり、あるいは「書いては消し、消してはまた書く」という方法を採っても、まず間違いなく「無駄な努力」で終わってしまいます。 ストーリーにおいて気を付けなければならないことの一つに「バランスの問題」が挙げられます。 失敗したり、ミスした部分だけを直しても、それは「上っ面を取り繕った」に過ぎず、例えその部分だけが大丈夫に見えても、他の部分で新たな問題が発生する場合があります。 また、何度書き直そうとも、根本的な原因がわからなければ、同じところで同じ失敗を繰り返してしまいます。 問題を解決するには、その基となる部分から直すしかありません。 また、中には「プロットなど要らない」という人がいるかも知れませんが、プロットがないとミスを犯した時、修正する手がかりさえも放棄してしまうことになります。 なので元村としては「正しい方法で、きちんとした設定を作って欲しい」と思います。 そして、 『プロットを作成し、その上で本文を書き直したのに問題が発生してしまった』 このことについては、危惧したり不安に陥ったりする必要はまったくありません。 所詮人間のやることですから。プロだってしょっちゅう間違えます。 間違いをそのまま放置したり、誤った方法で処理しようとするのが悪いのです。 プロット制作と本文の執筆は、例えるならスポーツ選手が行う「準備運動や練習(プロットの作成)」と「実際にゲームを行う(本文を執筆する)」という関係に酷似しています。 どんなプロ選手でも、準備運動や練習を欠かす人は存在しません。プロだって、時にはミスを犯します。 肝心なのは「ミスを犯さないこと」ではなく 「ミスを繰り返さないこと」なのです。 なぜ、ミスしてしまったのか? その原因を突き止め、修正する。 それができなければ、いつまで経っても「上」にいくことはできません。 そして「こういった問題を未然に防ぐ方法」ですが、元村としては ストーリープロットの作り方を改める としか言うことができません。 人それぞれ「設定方法」があって然るべきですし、必ずしも「元村の言うとおりにしろ」と言うつもりはありませんが、それでもこれから話す方法については出来る限り参考にして欲しいと思います。 さて、具体的にその方法をお教えする前に、一つだけハッキリさせておかなければならないことがあります。それは、 ストーリーとは、例えるなら「数珠や鎖と同じ」だ ということです。 そもそも「ストーリー」とは、言い換えれば「場面と場面の連続」ということができるのです。 これは小説に限りません。ゲーム、ドラマ、シナリオ、演劇――そう言ったものすべてに共通して言うことができるのです。 つまるところ、場面を「珠」。紐は「繋ぎ」ということができるわけです。 ここまで来れば、話は簡単です。 ストーリーを作成する段階において「(一つの)場面を作る」ようにすればいいのです。 例えば元村のサイトに「エレメンタルジェレイド(原作 東まゆみ・マッグガーデン)」という作品を載せています。 その作品のストーリープロットを引っ張り出してきましょう。 ――――― 「1」 ・ クー、レンのリボンに興味を持ち「見せて」と頼むが、あっさり断られる。 ・ シスカが乱入。ハプニングが発生し、ケンカ。その間にリボンが風に飛ばされてしまう。 ・ クー、謝るが、何気ない一言でレン激怒。 「2」 ・ 雨の中、リボンを探し続けるクー。しかしどうしても見つからない。 ・ 一緒に捜していたシスカと口喧嘩。口論の末、分かれる。 「3」 ・ シスカ、ローやキーアと会話。シスカ「そのうち戻ってくるでしょう」と楽観視する。 ・ 深夜。クー、未だ戻らず。心配するロー。 ・ その後レンと会話。シスカ、レンの態度に激怒。再びリボンを探しに行き、ローもそれを追う。 ・ キーアもまた、レンを優しく諭すが、結局部屋から出て行く。 ・ レン、ひとりぼっちになった後、小声で「でも、みんなに迷惑をかける自分はもっと嫌い」と苦悩を吐露する。 「4」 ・ クー、疲労困憊。レンにひたすら謝るが、その後気を失ってしまう。 ・ シスカ、極限状態に。そのうち、煉瓦姿を消したことを知り、パニックに。それをローが宥める。 「5」 ・ クー、奇妙な夢(レンの昔の光景)を見る。 ・ 目覚めると、側にレンが。互いに謝った後村へ戻ろうとした時、近くの木にレンのリボンが引っかかっていた。 ・ クー再び謝ると、レンがはじめて笑顔で頷く。その後二人で村へ戻る。 ――――― だいたいこの様な感じで「場面」「アイディア」を作り、それをそれぞれの「節(1〜5までの番号ポジション)」に当てはめていくような感じでストーリーを作成しています。 繰り返すようですが、ストーリーとは「場面の連続」です。 一つの場面を作成し、それを繋げれば自然に「話」が出来上がります。そう言う意味で今回の方法は非常に効果的と言うことができると思います。 元々この方法はシナリオライターが、制作現場において実際に用いている「箱書き」と呼ばれる手法を、元村なりに応用したものです。 故にこの方法は、元村の奥義の一つでもあったりします。まあ、大したものではないですけどね。 本来の方法だと、文字通り「一つの場面」を作り上げます。 いつ、どこで、誰が、何をして、どうなった――それを詳細に関してまですべて書き込みます。 天候、小道具、その場面に登場する人物、セリフ――そうしてものを全部書きます。 でないと、照明係や小道具係と打ち合わせができないばかりか、セットを組むことも、必要な道具を揃えることができません。当然俳優も打ち合わせができません。 けれども「小説」において、そこまで決める必要はないのではないか、と元村は考えています。 無論決めておくに越したことはありませんが「面倒くさい」と感じる場合があるかも知れません。 元村は生来「ぐーたら人間」ですし。(^_^;) また、他のことについてはそれぞれの設定で大半は決めているはずです。 ストーリープロットだけでは「小説」はできませんからね。 そもそも「起承転結」とは、ストーリー構成における「型枠」に過ぎません。 そしてストーリーが場面の連続であるならば、場面を「起承転結」という型に当てはめてやれば、嫌でも「ストーリー」かできてしまうのは当たり前のことです。 そしてこの方法の最も優れている点は 場面を自由自在に入れ替えることができる ことです。 「どうしたら、より面白いストーリーにすることができるのか?」 その工夫を盛り込むのに、もっとも単純で効果的な方法だからです。 なにしろ「場面だけ」ですからね。 工夫次第で、単純な「勧善懲悪作品」が、先の展開が読めないスリリングなストーリーに大変化させることだって可能です。 例えば「5」の「クー、奇妙な夢(レンの昔の光景)を見る」というのを、一番はじめに持ってきたって良い。 「この夢は、いったい何だったんだろう?」という疑問から入って――という展開に変えることだってできます。 もちろん「箱書き」でも入れ替えはできますけど、箱書きは逆に「決めすぎてしまう」が故に、大胆な入れ替えができないという欠点もあります。 けれども元村のこの方法では、ほとんどそう言った問題は発生しません。要らなかったり合わないなと思ったら、捨てたり他の小説の時に使えば良いだけのことですから。 あまりに単純すぎる方法故に、いくらでも応用することができるのがこの方法の最大の長所です。 とりあえず、元村の提示した方法を試してみてください。こと「ストーリー」において、この方法を試していただければだいたいの疑問や悩みは解決されるはずだからです。 |
水城さんからの質問
『部屋に飛び散る血血血血血血』の意味は? はじめまして水城と言います。よろしくお願いします。 私は本を読むのが大好きです。特に好きな本は何回でも読みます。 そして、その著者特有の比喩などを探してはその意味を考えます。 その中で疑問に思ったことがあります。 西尾維新さんの本などに多いのですが、 例えば血が飛び散ったとして普通に「血が飛び散った」とは書かずに、 『部屋に飛び散る血血血血血血血血血血血血血血血』と『血』を繰り返します。 これはなんのためにするのでしょうか? 繰り返すことによって何を伝えようとしているのでしょうか? 何度読んでも分かりません そしてとても気になります。 よければ教えていただけないでしょうか? ●答え● これは、登場人物の動揺を伝えるための技法ですね。 実際にこのような場面に遭遇したら、飛び散った血のみに意識が集中して、 それ以外の物が見えなくなるでしょう。 そんな視野狭窄状態を表現するために、 『血血血血血血血血血血血血血血血』という繰り返しを行っているのです。 こうすることで、読者はより臨場感を持ってストーリーを追うことができます。 また、同じ文字を繰り返すことにより、それを強調する目的も兼ねています。 単に『部屋に飛び散る血』と書くよりも、『血血血血血血血血血血血血血血血』とした方が、 おびただしい血が散っている感じがしますでしょう? でも、もしあなたがこのテクニックを使うと思っているのなら、 これが大変なデメリットを併せ持っていることを知っておいてください。 そうこの技法は くどい!! とにかく、くどい! 素人の書くオンライン小説には、これを安易に使っている作品が結構あります。 同じ字の繰り返しは、一行でなら許せるのですが、 ひどいものになると二行、三行、一ページなんてのがあります。 しかも、『死』や『殺す』という凶悪な文字の場合が多く、 読者を非常にいや〜〜〜な気分にさせます。 これは呪いか? という感じです(汗)。 この技法を使うのなら、なるべく多用せず一行以内に収めた方が無難ですね。 |
|
|||||||||||||||||||||