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斬魔大聖デモンベイン
しがない三流探偵・大十字九郎。 ある日彼は魔導書を探して欲しいという奇妙な依頼を受けた。 魔導書とは何か? 手がかりを追う九郎を謎の集団が襲う。 彼を救ったのは自らを魂と実体を兼ね備えた魔導書であると名乗る少女アル・アジフ。 2人が逃げ込んだ先に待っていたものは、 人の叡智と魔導の粋を結集した“鬼械神”DEMONBANEだった…… 隠された設定、オリジナルエピソードを盛り込んで、大ヒットPCゲーム完全小説化。
ゲームのメインは、鬼械神(ロボット)の戦闘ですが、 この小説版では鬼械神の描写は最低限という物になっています。 ですが、その分人物にスポットが当てられ、 特にこの小説版のみのオリジナルストーリーはかなり良いです。 私の場合、これが発端でクトゥルフ神話に触れ、生粋のクトゥルフ神話好きになったので、 「クトゥルフ神話に興味がある」という人には、これを読むのはいい始め方かと。 勿論知っている人も知ってる人で、数倍楽しめます。 「燃え」ますがけっして「萌え」がスポイルされているわけではないので、 そういった物が好きな方(私もそうです)にも、嬉しいのではないのでしょうか。 Niθ氏のカラーページイラストも中々良いですしね。 また、私はPS2版をプレイしているので、元々のシナリオを知りませんです。 んが、これはPC版を基礎にしているため、良く分かります。 (しかし、その為にアダルトなテイストとなっている事は確か) お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 難しいところですが、ここはウィンフィールドを挙げましょう。 まだ小さい為に怯えもする瑠璃を勇気付け、魔術師であるティトゥスと対等に渡り合い、 話が困惑しそうなときにはナイスフォローをかます。 この話の中の、「カッコイイ人」の一人です。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 三巻出ており、基本的に一巻だけ買うのはお勧めできません。 なぜなら、この話は最後の最後のまで謎を引きずり、 最後でやっと分かる方式を取っているからです。 なお、一巻「無垢なる刃」は原作第10話までを収録しています。 また、カットされたシーンが多い事も残念ですね。
『無垢なる刃』『魔を断つ剣』『明日への翼』 『デモンベイン』と言う名前を聞いた事がある!と言う人は少なくないんじゃないでしょうか? ゲーム版にはない新しい話もあるので、 ゲームを未プレイの人はもちろんプレイ済みの人にもお勧めです。 なんというか、『荒唐無稽』と言う言葉がぴったり来る作品だと思います。 メインはもちろんロボットVSロボットなのですが、人VS人の戦いが描かれていたり、 戦いだけではなく平和な日常や、修行風景なども描かれていていい作品だと思います。 クトゥルー神話が至る所に使われているので、少々難解なところもあるとおもいますが、 ほとんどの事柄について説明してくれるので、ほぼ大丈夫だと思います。 最近は『萌え』と言う使い方が流行っていますが、この作品は間違いなく『燃え』です。 ロボット好きの人も、そうでない人にもお勧めの一冊です。 お気に入りのキャラはいますか? どんなところが好きですか? 誰が好きかと聞かれると、たくさんいるんですが一人を上げるなら瑠璃(姫さん)。 しっかりしてて、何事にも厳しそうに見えるけど、 かわいいところもちゃんとあるって言うのがポイント高いです。 この作品の欠点、残念なところはどこですか? 終わり方がハッピーエンドなのかなんなのかよく分からずに、唐突に終わってしまうこと。 打ち切り漫画の最終回みたいで、なんかスッキリしない。 あと、文章が難しいところ。 これは、ある程度本を読んでいる人なら問題ないんでしょうけど、 あんまり読まない人が読む時には辛いと思う。
読んだことはないのですが、原作パソコンゲームにははまりにはまり、 一時期、頭の中がデモンベイン一色で染まっていたことがありました(笑)。 一応美少女ゲームという枠の中に入っているのですが、中身はロボと野郎の熱血物語です。 萌え要素はほとんどありません。 主人公が戦いを経るたびに成長して強くなったり、 ピンチになると異常な力を発揮して逆転したり、 かつての強敵が味方になったりという、 まさに努力、友情、勝利の少年漫画の王道的ストーリー。 スーパーロボットに乗って、必殺技を熱く叫びながら、敵を倒すというノリも燃えます(笑)。 ただ、クトゥルー神話を下地にしているため、クトゥルー神話をまったく知らない状態でやったら、 わけのわからない部分が結構ありました。 クトゥルー復活と言われても、クトゥルーって何? ナイヤさんの正体がわかっても、なにそれ? でした(汗)。 そのおかげでクトゥルー神話にも興味が湧いて、こちらのほうにもはまることになりましたけどね。 私が好きなキャラは、敵のボスであるマスターテリオンとナコト写本(エセルドレーダー)。 なぜそんなに主人公である九郎くんのことを憎んでいるのかイマイチ分からなかったのですが、 デモンベインと必殺技を撃ち合うところなんて、まさに燃えます(笑)。
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斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲
覇道財閥の御曹司・覇道兼定は、消息を絶った父・鋼造の行方を追っていた。 だが突如として火星人による地球侵略が開始され、アーカムシティにも多脚歩行戦車の軍勢が迫る。 最強の魔導書アル・アジフは新たな主エドガーとともに鬼械神アイオーンを駆って反撃に転じるが……。 はたして人類に未来はあるのか?そして我らが希望デモンベインの命運は如何に!? 鬼才・古橋秀之による公式外伝第2弾、ここに登場。
著者は原作者とも原作ノベライズ版の著者とも違います。 これの前巻に当たる「機神胎動」や短編集「ド・マリニーの時計」の執筆者です。 いわゆる「デモンベイン」関連作品の内の一作で、 外伝というやや地味な印象を受ける扱いにある作品ですが、 個人的にはシリーズで最も「荒唐無稽」という言葉を体現した作品であると思っています。 ストーリーは本編の過去、「機神胎動」の少し後の話となります。 主人公は最強の魔導書アル・アジフのマスターで、歴代の主の中でも最も破壊的だといわれている青年。 そんな彼の敵は、突如出現し地球侵略を開始した火星人。 圧倒的な戦力の前に抗う術を持たない人類側の切り札こそが、 主人公だけが召喚できるスーパーロボット「アイオーン」です。 基本的な話の道筋は、破壊的な主人公が如何にして人類の為に戦うことになるのか、 というものになります。 ……火星人による地球侵略。 一見するとその時点で既に荒唐無稽。 また、80年代映画を思わせる単語に、ともすれば奇想天外とも思ってしまいますが、 他のシリーズ作品がそうであるようにそこにもちゃんとした理屈と仕掛けが用意されています。 しかし、そうした表面的な要素がこの作品を荒唐無稽にしているわけではありません。 若干ネタバレ気味になってしまいますが……。 ラストにて、今回語られた主人公の物語が全てなかったことにされてしまいます。 詳細は実際読んで知ってほしいので語りませんが、いわゆる夢オチとは違います。 火星人の襲来や異端の主人公などといった、 目を引きながらもどこか珍妙に思える要素の全てはその結果に繋がっており、 また、作品の立ち位置を決定すると共に、 単発作品としても通じるようにまとめ上げる要因にもなっているように見えます。 今回最も「荒唐無稽」なのは著者の筆捌きかもしれません。 ギミックを活かすシナリオ造りは勿論のこと、 そんなシナリオを読ませる文章は一見簡素に見えて、非常に巧みなものです。 荒唐無稽な話を見事に書き上げている、と言えるのではないでしょうか。 特徴的な専門用語を撒きつつも、シナリオをテンポよく進めていく巧みな文章は、 シリーズ知識の是非に関わらず、一読の価値があると思います。
本作でもやはり、「シリーズの主役」として存在感を発揮しています。 著者の力量の成せる業、とも言えますが、それも合わせて見事です。 また、エイダをメインに添えた主人公勢のバランス感覚は、 ライトノベル的にも非常によくできた構成だなと思います。 便利すぎるきらいもありますが、あまり厭味に見えないのがエイダの魅力でしょう。
シリーズ読者から見れば十分説明できていると思えるのでしょうが、 シリーズ未読の初見読者には消化不良に思える要素が無いと言い切れません。
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12月のベロニカ
幼なじみの少女と交わした小さな約束。 それを果たすために私は生きてきた。 『ベロニカ』―女神ファウゼルに仕える巫女の事だ―になるため、 彼女は14歳の時に都会に連れて行かれてしまった。 私は“ベロニカの騎士”となるべく、彼女を追いかけて村を飛び出した。 だが、次代の神の代理人として重要人物となってしまった彼女に、 ただの田舎者でしかない私は会うことすら許されなかった。 その時から私の旅は始まった。 10年の間に、兵士からたたき上げ騎士になり、 ついに“ベロニカの騎士”となる13人の候補に選ばれたのだ。 だが約束が果たされそうになったその時、事件は起きた。 まるで何者かが私の運命を弄んでいるかのように…。 過酷な宿命に立ち向かう、純粋な男たちの友情と夢、愛そして闘いを描く! 第14回ファンタジア大賞受賞のエターナル・ラブ・ファンタジー。
世界観にも粗がないとは言い切れません。 それでも、それを補ってあまりある魅力がこの作品にはあります。 主人公が幼馴染の少女との約束を果たすために栄光の騎士を目指す。 こういうと陳腐かと思われますが、構成のトリックがすごい。よい意味で騙されます。 全編に漂う純粋さに、 たまらなく心を揺さぶられます。 秀逸な心理描写。美しい空気。本当にひさしぶりに目頭が熱くなった作品です。
そのかっこよさ。不器用さ。一途さ。
交錯する過去と現在を利用した見事なトリックと、皮肉な運命が魅せてくれます。 最初は、たんなるイヤやつかと思ったハキュリーが、最後は大英雄に見えてしまいますね。 ベロニカを救うために、単身、突撃するところなど、かなりのも見物。 彼が片腕を失った理由や、性格がねじ曲がってしまった過程など、心にズシンと来ます。 それにしても、悲恋だ。 愛を貫くために、ここまでやるというのはスゴイ。ベロニカの騎士、あっぱれ。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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