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お留守バンシー
むかしむかしといってもそれほど昔ではない、科学が迷信を駆逐しつつあった19世紀中頃。 かつては人々に恐れられた闇の眷属も、今ではわずかとなった聖域にこもり、 ひっそりと暮らしていました。東欧の片田舎にあるお城もそんな聖域のひとつ。 そこの住人たちは、実は人間ではありません。 見た目は可愛らしい女の子アリアも実はバンシーという妖精。 彼女は気のいい同僚たちと慎ましくも平穏な生活を送っていたのです。 そんな時、アリアはご主人様から大事な役目を与えられました、それは……。 とっても長く大騒ぎのお留守番、はじまりはじまり。第12回電撃小説大賞受賞作。
ていうか2006年電撃小説大賞の大賞受賞作品です。 とりあえず笑えます。といっても大口開けて「ぎゃはっははは」と笑うようなコメディではなく、 「おいおいちょっとまてやっ」という感じの笑いです。 勢いだけで突っ走っている印象もありますが、 勢いが良すぎるのと作者のユーモアのセンスで飽きさせません。 あらすじとしては――ご主人様にお留守番を命じられたバンシーのアリアが、 デュラハンやサキュバス、ガーゴイルやリビングデッドと共に屋敷の留守を守るというものです。 いやそれだけなのに面白いっ。 早く続編が読みたいなあ……ここまで平和なお話もそうはないですよ。 というわけでほのぼの好きとしてはぜひオススメしたい一冊です。
一押しキャラはマゾヒストなデュラハン、フォン・シュバルツェンさん。 おもしろすぎますよ。変態だし。とにかく変態だし。 でも格好いいところもあったりで。もうおもしろすぎる。
ドラマ性がほとんどないのが残念といえば残念。 ストーリー重視のかたはおすすめできないかも。 「小説が読みたい!」という方には向きません。 けどおもしろいのは確かです。金払う価値はありますよー。
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カオスレギオン
銀髪の男の腕に抱かれ、女はまるで眠っているように見えた。 その胸から流れ出る血は、すでに勢いを失っている。 男は凄まじい形相でこちら――赤髪の男が手にした聖咎の剣を見つめた。 血に濡れた剣は、二人を戻れない未来へと誘ってゆくのだった……。 天界と堕界を分かつ混沌の大地、アルカーナ大陸。 その地で、赤髪の黒印騎士ジークはある男を追っていた。名をドラクロワ。 かつて理想を掲げ合い、共に戦った友。だが、今は倒すべき相手。 二人の間に一体何が? その決着とは? 一途ゆえに切ない者たちの戦いが今始まる! 消せない絆を賭けた、大軍勢バトル・ファンタジー。
設定された世界観は、一人の反逆者が世の中を騒がす剣を扱う騎士の世界。 主人公である“ジーク”は墓を掘る騎士……【葬士】と言う呼び名を持って世界を駆けています。 そしてその側に寄り添う栗毛の少女ノヴィア。 この二人の組み合わせがとてつもなく大好きです! 『何で主人公が墓堀なんだ?』と首を傾げていたのも初めのうち、 手に持っていたシャベルは戦場でジークが斬ったかつての仲間の剣を溶かした物で、 それをまわすとかちりと言う音と共に、 聖法庁(日本で言う政府)の一流の騎士だけに与えられる聖なる剣が。 その剣と、左手の力で死者の怨念が怪物となったレギオンを呼び出してジークが戦います。 何と言っても魅力なのはやはり戦闘シーン。 数千を超える兵士にジークが一人で立ちふさがり、 圧倒的な戦力で押しつぶす所は読んでいて身震いがします。 とにかく、スピード感あふれる展開が大好きです!
死者を大事にする性格と、一流の軍師でもあるという彼の性格には惚れまくりです。
敵も味方も各自がそれぞれの使命感と決意を持ち、魅力あふれるキャラクターが数多く登場する。 ストーリーも圧巻で、様々な伏線が鮮やかに収束し、敵の思惑を打ち破るラストの展開には興奮させられた。 間違いなく後世まで残るライトノベルだと確信する。 ・キャラクターの設定全般。 主人公の考えている事が分かりにくいのも、他の小説に無い長所だと思います。
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影執事マルクの手違い
ヴァレンシュタイ家の新米執事・マルクは優秀だった。 柔和な笑顔にスマートな身のこなし。よく気がついて知識が豊富。 「マルクさんって、何でもできるんですね! 体は弱いけど」 素朴に感心する使用人たち。うら若き美貌の主・エルミナも無表情ながら満足のご様子。 だが本人だけは不本意だった。 私はなぜ「おいしい紅茶」なんて淹れてるんです!? 山犬の精霊“クフ・リーン”を使役する「影使い」の暗殺者が、なぜ!?―なぜ? それは、強大な精霊に守られたエルミナに返り討ちにされたから。 絶対服従を強いる「空白の契約書」にサインしたから……。 風変わりな主と執事のコミカル・バトラー・ファンタジー。
何らかの「対価」と引き換えに特殊な能力を得た人たちを中心としたバトルアクションです。 たとえば、主人公のマルクは影の精霊クフ・リーンと契約しており、 その影を自由に操り、自分の影を相手の影に重ねることにより、 その物体や人などを「拘束」もしくは「破壊」できるという能力があります。 しかし、契約者はその能力が強力であればある程、 その「対価」が大きくなるというリスクを背負っており、 たとえばマルクの場合契約の際に自分の本当の影をクフ リーンに食われているため、 日の光を浴びると体が大火傷するというリスクがあったりします。 契約といっても、マルクの場合いきなり何の説明もなしに影をくわれたので、 契約というには余りにも強引ですが。 こういった「対価」に代表されるような契約者の悲哀は1巻の中で、 メイドのアイシャ(彼女も契約者)が言う次のセリフに濃縮されていると思います。 「契約者って不便ですよね。一番力が必要だった時には能力はもらえないんです。 全部終わってから能力を押し付けられて、対価を取られちゃうんですから」 「…契約者っていうのは何か大事なものをなくして闇を抱え込んじゃったひとがなるんです。 あたしも、マルクさんもそうでしょう?」 ]
この人もマルクと同じく契約者になりたくないのになっちゃって、対価まで取られちゃった人です。 仲間になった後、マルクになぜこの家に来たのかと聞かれて 「(マルクと)一緒にいたいから」と言おうとして恥ずかしがって言えず、 「い…一度斬ってみたいから(マルクを)」と言っちゃった人です。 (ちなみにカナメは仲間になるまでは契約者狩りといわれ、数々の契約者を殺してきたことで有名だった) このあと、マルクがあわてて窓からにげたのは言うまでもない。
対価によるわかりやすい外見の特徴などのキャラの個性が薄れてしまったことかな?
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その小説、105円で売られているかも…… |
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