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クリスマス上等。
「おめでとうございます!! 五十嵐さんはサンタクロース役に大抜擢されました!!」 雪の降り始めたイブの夜。異世界から来た槍ヶ岳と名乗る全身真っ赤なスーツの女は、 あちらの中継番組の企画で、俺に一人の薄幸な少女を救ってほしいのだという。 確かに今夜は一人きり。予定なんてない。 そして巻き込まれるままに邂逅した少女はクラスメイトの美少女・古都ゆかり!? ……彼女は最近両親を亡くしたばかりのはず。 番組の都合があるから4時間で救えって!? 俺に何ができる? 俺は何をすればいい!? 疾走感溢れるニューカマーのローリング・エンタテインメント颯爽登場。
素直に面白い作品でした。 特に描写が上手いわけでもない、ノリの軽い文章ですし、 特別上手い伏線の張り方をしてるわけでもない、主人公が特徴的な人物であることもない、 ありきたりな普通の作品だ、と私は思っています。さらに言うなら感動的なわけでもありません。 しかし。この作品の魅力はそんなところにあらず。 凡人でしかも彼女がいなくて、 クリスマスに寂しくひとりでケーキをつつくような悲しい主人公に課された重い試練。 ありきたりな設定の中でも、面白い作品に見えるのは何故か。 多分、主人公が試練を背負うことになった理由ですね。 異世界のTV局の冬休み特番の撮影。 そのために主人公は重たい試練を背負わされたのです。何という軽いノリ。 しかしその理由の軽さと試練の重みを上手いこと混ぜ合わせて、 この作品は一風変わったものとなっているのだと思っています。 そして最後の落ちと伏線の回収。うまいまとめです。 特別秀でた作品ではありませんが、私はこの作品を尊敬します。 好み次第だと思いますが、楽しめるという意味ではオススメできる作品ですね。
ふざけた感じの割にはたまにいいことを言う、この作品の要です。 もしこれがこの人でなくもっとありきたりなキャラなら、この作品の精度は落ちていたでしょう。
それと……本筋事態がありきたりなところでしょうか。 この作品全体の方向性で言えばたいした欠点ではないと思いますが。 しかし向かない方にはとことん向かないと思います。
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黒猫の愛読書
“本の声”を聞く能力を持つ、内気な少女・紙村綴。 彼女はその力で、借りた者が必ず死を遂げる呪いの本『嵐が丘』の行方を追うことになる。 とき同じくし て、綴の前には“本の探偵”を自称する青年・猫目コウが出現。 彼は、謎の書物『N断章』の調査に、綴の特異能力を貸せと告げるが……。 『嵐が丘』と『N断 章』、2つの点が線となったとき、 ある魔導書を巡って16世紀から続く魔術大戦が幕を開ける――最強魔導書伝奇、ここに登場!!
主人公・綴が自分の学校の図書館で起こった奇妙な事件を引き金に、 謎の美青年と出会ったりして、気がついたら魔法に関わっちゃってる感じです。 というのも、綴が自分の特殊能力である「本の声を聞くことができる」ことを特別視していないんです。 だから、もう既に自分の存在自体が魔法っぽいことに気付けません。笑 内容的に、魔法バトル物なのかって言いきれるかと訊かれると微妙ですが、 後半は結構バトルしています。 でも基本は「魔導書をめぐる怪事件を解く」っていう、 ファンタジーとミステリーのまさかの融合技となってます。 ここに出てくる魔法は、読んでいると本当にこの世界のどこかで暗躍している魔法がある―― 気がしてきます。 何と言っても設定がリアルなんです。 藤本先生は相当頭が良いと見ました(世界史的な意味で)。笑 軽いネタバレになりますが、 ヨーロッパの秘密結社の創設の話とか、 その秘密結社が世界の裏でいかに暗躍してきたかとか、 もう説得力がありすぎで、今もこうしている間にもどっかにあるんじゃないかと思えます。 そんな秘密結社から派遣されてきたエージェントである猫目コウは、 ものすごく格好良い青年です。 謎の美青年ですよ。 もうウハウハですよ。← でも、何が格好良いのか、実は正直言ってよくわかってません!笑 藤本先生が巧みに彼を形容する言葉に完全に惑わされました。 常に「流麗」とか美しい言葉が惜しみなく彼に使われているんですよ。 まさに魔法にかけられたように、彼を何が何でも格好良いんだと思わざるを得ません。 でも、主人公の綴は地味で消極的で目立たない! むしろ根暗で人間嫌い! クラスメイトに顔も覚えられていないような、とにかく酷い扱いを受けてます。 しかし上記の通り、そんな彼女には他の人は絶対に持っていない特殊能力があります。 それは「本の声を聞くこと」。 我々本好きにしてみたら羨ましい限りです。 人間の友達が一人もいた事がなく、家族ともなんとなく疎遠。 それでも綴には、祖母が遺してくれたたくさんの古書が友達であり家族です。 消極的な彼女はこの怪事件に巻き込まれるのを恐れつつも、 最終的にはその愛する本たちのために頑張ります。 そして何より、こんな自分に唯一好意を持って接してくれる高辻こまち―― 初めてできた人間の友達のために。 根暗少女が頑張ってます。 謎解きに魔法に魔導書に翻弄されながらも超頑張ります。 何て言うかもう綴ちゃん、嫁に欲しいです。← 興奮しすぎて何を書いてるのかだんだんわからなくなってきましたが、 要は、 ・設定がリアル! ・綴萌え! ・コウは美しい! ・文章がすごく上手い! ・藤本先生の語彙力と教養の高さに脱帽! ・魔導書をめぐる怪事件にドキドキ! ってところです。 文章下手でごめんなさい。 いやもうこれ、私の拙い日本語を理解するより、 買って読んだ方が早いです。
消極的な自分に鞭打ってなんだかんだ頑張るところです。 あと、眼鏡を外せば美人なのに謙遜しまくってるところですね。笑。
その辺、男性がどう思うのか聴いてみたいなァ。
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その小説、105円で売られているかも…… |
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