ライトノベル作法研究所
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  5. ……ボケじゃないよ?公開日:2012年12月21日

……ボケじゃないよ?

五十嵐十五さん著作

 身長百四十七センチ。スリーサイズは上から七十、五十三、七十二。さらさらの髪はいつも頭の後ろでポニーテール。つぶらな瞳。
 彼女のスリーサイズまでどうして俺――不知火葉一(しらぬいよういち)が知っているのかというと、なんてことはない。身体測定の日。落ちこんだ様子で部室にやってきた彼女に冗談のつもりで『いくつですか?』と訊いてみたら普通に教えてくれた。直後に彼女は真っ赤になって手をあたふた振っていた。
 芦川毬(あしかわまり)。
 私立藍ヶ丘(あいがおか)高校・漫才部の誇るミニマムサイズのかわいい部長は、今日も元気よく練習に励んでいる。
「現代人はなにかとストレスのたまることが多いから、癒しが必要だと思うのよ。そこでペットを飼うことにしたの!」
「ペット。へえ。いいですね。最近はいろんなペットがいるって聞きますよね」
「そうそう。トカゲとか、ヘビとか」
「カメなんかも意外といえば意外ですよね。あとはそう……豚とか」
「あ。ミニブタね。欧米ではイヌやネコに次いで三位なのだとか」
「そうなんですか? どうりで。いやあこの前テレビで見たんですよ。黒のエナメルボンテージを纏った飼い主と思われる女性が足元でブヒブヒ鳴いている生物をハイヒールで踏みつけつつ『このブタが!』って叫んでいました」
「ちがうよ! それはミニブタじゃないよ!」
「そうですか? でもまあ確かにミニではなかったですね。飼い主に『立て!』って言われて立ったら背が人間くらいありましたから」
「人間だよ! ホモサピエンスだよ!」
「なんだって! それじゃあ……あの人間とは思えない鼻や耳は何だったんだ!?」
「作りものだよ!」
「そして人間をまるで奴隷のように蹂躙するあの女性は何だったんだ!?」
「女王様だよ!」
 ――とまあ。こんな感じのボケとツッコミの応酬を繰り広げること早三時間。部室の窓からのぞく田舎の風景はとっくの昔に茜色に染まり、遠くにのぞむ水平線はだんだんと暗くなり始めている。
 夏の高校生漫才大会には予選であっさり敗退し、残すところは一週間後。近隣の老人ホームで開くボランティア講演だけとなった。高校三年生(の、はず……)の部長が舞台に立つのはこれが事実上の最後となる。
 今日はその練習をしていた。老人ホームでSMネタやって受けるのかについては、先輩のチョイスなのでわからない。
「よし。今日はこの辺でお開きだね」
 部長がぽんと柏手を打つ。彼女が小柄な身体を目一杯動かして俺にツッコミを入れてくる仕草のかわいらしさたるや、きっと世界中のチワワが束になっても敵わないだろう。だからこそ俺は日が暮れるまでといわず、いっそのこと夜が明けるまでずっと彼女にドつかれていたい所存ではあったのだが。そうはいかない。
「そうですね」と答え、鞄の元へ向かう。過ぎた時間を巻き戻せたらいいのに――そんなことをここ最近はずっと思っている。
「今日も誰も来ませんでしたね……」
 帰り支度をしている最中。ふとそんなことをつぶやいてしまった。あはは、と部長がどこか力の抜けた笑いをこぼす。
「仕方ないよ。みんな忙しいんだよ。きっと」
 十数名もの部員が揃いも揃って一年以上も多忙を理由に休むなんて、そんなわけない。ただのサボリだ。部長目当てに入ったのはいいものの、結局漫才には興味なんかなく、面倒臭くなって退部届すら出さずにいる野郎共。
 馬鹿なやつらだと本気で思う。ま、そのおかげで俺は部長と二人きりの時間をこれまで一人占めできたのだけれど。
「それに、誰も、じゃないよ」
 部長が相好を崩した。
「不知火くんが、いるよ。ね、だからそんな顔しないで」
「……部長……!」
 ふんわりとまるで聖母みたいに気遣いに満ちた微笑みを浮かべる部長を前に、俺はじんわりと涙していた。ああ、なんて素敵な子だろう。部長、好きです! すごく好き!
「来週の舞台、ぜったい成功させましょうね!」
「おうよ! 不知火部員!」
 敬礼のポーズで背筋をぴんと伸ばす部長。かわいい……!
「にしても進路どうしよう……」
 すると今度は部長が独り言をつぶやく番だった。伸ばしたばかりの背を丸め、見ているこっちまで哀しくなるような溜息をつく。
「進学って前に言ってませんでしたっけ?」
「うん、まあそうなんだけど。それでもね。考えることは色々あるんだよ。なによりそれらを自分と相談しながら決めなきゃならない。その過程でだんだんと、その、ね。自分の限界がわかってくるの。器っていうのかな」
「器、ですか……」
 部長は窓の外に目を向けた。サブバックを肩にかけたまま、オレンジ色に燃えさかる空を言葉なくじっと見つめている。物憂げなその横顔を、夕日が――日々の終わりゆく証が、煌々と照らし出している。
「もう一回だけ練習しません?」
 気づけば口がそう動いていた。部長は「え」と。ポニーテールを揺らして振り返った。その瞳は意外そうに見開いている。
「もうすぐ下校時刻になっちゃうよ?」
「時間的にはまだ大丈夫です」
 おそらくギリギリになってしまうだろうが、一回くらいなら通してやれるはず。部長もそれを理解してくれたようで、
「……そうだね。本番近いし、もう一回だけ練習しておこっか」
 嬉しそうに応えてくれた。帰ろうと肩にかけていたサブバックを下ろし、舞台かわりに設えていた台の上に乗る。俺もなんだか嬉しくなって、鞄を机の上に放り投げるなり、勢いよく台の上に飛び乗った。そして切り出す。
「どうもー。藍ヶ丘高校漫才部でーす!」

    ◇◇◇

 そうしてあっという間に一週間が過ぎた。
 そして本番も、あっさり終わった。
 反応は上々だった。それはきっと漫才のレベルが高かったのではなく、老人ホームの方々が優しかったからだ。うちの孫も豚飼っとるのよぉ……と話しかけてくれたおばあさん。それ一体どういう意味ですか?
 何がともあれ。部長の最後の舞台が盛り上がってくれてよかった。そんなことを回想しながら二人ならんで夜道を歩く。
 時刻は夜の九時。
「んー、楽しかった!」
 伸びをしながら部長が言う。打ち上げと称して買い物したり、ゲーセンで遊んだり、ファミレスで夕飯を食べたりしていたら、いつの間にかこんな時間だった。彼女の言うとおり時間も忘れるほどに……楽しかった。
 けれど今は「そうですね」と返事をすることもできない。笑っているだろう彼女の横顔を見ることもできない。
 もし次に口を開いたら、きっと情けない言葉が飛び出すから。見てしまったら、きっとその目から涙が止まらなくなるから。彼女が「楽しい」といってくれた時間を、そんな湿っぽい終わり方にしたくないから。
 だから俺は、下を見ている。うつむいて、唇をきつく噛みしめて、真っ黒なアスファルトとにらめっこしている。
 俺がそうして黙っている間にも、部長はずっと一人で喋りつづけていた。元来喋るのが好きな人なのだ。だから自分の好きなお喋りでたくさんの人を楽しませたい。いつだったか彼女はそう語っていた。そんなことも思い出す。
「……さて」
 部長がふいに立ち止まった。少しだけ顔を上げると、道路に白字でTと書いてあるのが目に入ってきた。……ああ、T字路か。俺は左で、住んでいる地区の違う部長はここを右に行くことになる。つまり――。
「お別れだね」
 不自然に明るいその声に、心臓が貫かれた。それでもなにも答えられない。部長はいつぞやのように柏手を打つ。
「後は任せたぞ。不知火部長」
 足音が聞こえた。一歩ずつ名残惜しそうに離れていくようなステップが、やがて駆け足のステップに変わってゆく。部長が去ってゆく。
 この時間が、部長と二人きりでいられる時間がもう終わってしまう。
 なにか、言わなくちゃ。なにか、なにか――
「現代人は!」
 焦るあまりに口から出たのは「わかりました」でも「さようなら」でもなく、部長と何度も練習した漫才の冒頭だった。ただしこの場合、ツッコミは俺の方で、ボケは部長だ。
「なにかとストレスのたまることが多いから、癒しが必要だと思うんです。だから俺、か……かか、かかか……」
 部長は足を止めていた。その小さな背中に向けて、俺はまるで壊れたテープレコーダーのような声をぶつけていた。自分でも最早なにを言おうとしているのかわからない。頭の中が風邪引いたときみたいに熱い。
「彼女を、つくろうと、思うんです」
 ――そんな理由じゃない。
「彼女。へえ。いいですね。ちなみにどんな彼女ですか?」
「そ、そうですね……」
 ストレス発散のための癒しとか、そんなわけがない。
「スリーサイズを聞かれてつい言っちゃったり……小さな身体を一生懸命動かして部活を頑張っていたり……たまに年上らしい気遣いを見せてくれたり……いつだって俺にとって魅力的だった……一人の女の子です」
 そんな貴女をずっと隣《ボケ》で見てきた。
 そして貴女を好きになった。
 たとえ貴女に部員をまとめる力が――器がなくとも、俺だけは、ずっとずっと。貴女の味方でいたいから。傍にいたいから。
「俺と……付き合って下さい!」
 頭を下げた。自分でも理由のわからない涙が気づけばぼろぼろと零れ落ちていた。
 こんな告白は間違いだろうか。
 まるで寂しいのを紛らわすために、別れの感情から目を背けるために、土壇場になってから今さら引きとめるような告白なんて。
「そんな顔しないで。ね。……葉一」
 え――。と顔を上げたのは、いきなり名前を呼ばれて驚いたからだけじゃない。先輩の小さな両手に頬を優しく包まれたからだ。
 そして最大の驚きは顔を上げた直後に訪れた。

 目を閉じた部長がすぐ近くにいた。やわらかな感触が唇をかすめた。
 まるで鳥のついばみのような、それは――。

「……ボケじゃないよ?」
 そう言って微笑む『彼女』の顔は、見れば真っ赤に染まっている。

作者コメント

 人生で三作目の掌編となります。変態の五十嵐十五です。前作『ホライズン斎藤の変態美少女専門お説教コーナー』で皆様から「突き抜けている」「変態」「異常」など大変心温かいコメントを頂きました。前作に感想を下さった皆様ありがとうございます。
 しかし今作はぶっちゃけかなり真面目です。こんなの五十嵐十五じゃないよ……書き終えて自身でそう突っ込んでしまいました。えっと、なので、もしかしたら前作に比べて面白くはないかもしれません。面白くなかったらごめんなさい。一応漫才が出てくるのでそこで笑って頂ければ嬉しいのですが……。
 最後になりますが、忌憚なきご意見ご感想をお待ちしております。

2012年12月21日(金)16時45分 公開

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感想

KOTOHAさんの意見 +40点2012年12月21日

五十嵐様
KOTOHAです。はじめまして?かな

では、感想を……。

40点……普段私はこんな点数をつけません。
誰もつけていないような気もしますが…

まず、最初に

っていうか、部長可愛すぎますよ! こころの底から萌えました。

エロと萌えはやはり違うものなのですね。自分はキャラを可愛く書くためにエロ描写を入れるから、こんなに可愛いキャラを書ける五十嵐十五様に尊敬します。

笑いもあり、恋愛もあり、そしてなにより文章が読みやすい。

他の方がどう言うか分かりませんが、自分はあなたの作品かなり良いと思います。やっぱり、重要なのはキャラクターですね。どんなに重厚なストーリーでもキャラクターが生きていなければつまんない。そう思います。

オチも良かったです!

自分が言えることは賞賛しかありません。
ご指摘なくてすみません。

愉しい作品を見せていただきありがとうございました。
次作も楽しみにしています!

本気と書いてマジさんの意見 +30点2012年12月21日

はじめまして、本気と書いてマジです。

シンプルな話の筋で、読みやすく、すっきりとした文章で、良い後読感がありました。
冒頭の身体測定の伏線も良いと思いました。

これからも頑張って下さい。

些見氏我離屋さんの意見 +20点2012年12月21日

五十嵐十五さん、こんばんは。さみしがりやです。
本日も「変態作者取締法」の件で事情を……あれ?
――犯人がいない、だと?

では、感想を。

このお話は毬ちゃんが全てですね(笑)すごく可愛い人でした。作者さまのキャラへの愛情がひしひしと伝わってきました。
最初のスリーサイズを見て「今回もくるのか?」思ったのですが(笑)

文章も読みやすく、とても十枚もあるとは思えませんでした。

素人の私からは文句はございませんでした!
拙い感想で申し訳ない!
心温まるお話をありがとうございました。
次回作も楽しみにしております。

にぼしさんの意見 +30点2012年12月22日

 ペットってそっちの方かよ!?

 こんばんは、五十嵐十五さん。にぼしです。

 最初読んでいて「お、今回はきれいな・・・」と思ったのですが、漫才練習の描写で変態的になるあたりが「ブレない軸をお持ちでw」と感じました。

 心理描写も自然でラストの告白のシーンがとてもきれいにまとまっていて、ついニヤけてしまいました。

 ……こんなところですかね。
 
 また次回作も楽しみにしています。執筆お疲れ様でした。

タカテンさんの意見 +20点2012年12月22日

はじめまして、タカテンと申します。
拝読させていただきましたので、感想を送らせていただきます。

部長、えれぇカワイイ。
ええ、もうその一言に尽きるかと思います。
こんな部長がいたら自分もきっと入部しますね、そして毎日部長との練習に明け暮れます。
サボリ? しないよ、するわけないじゃん。
こんなカワイイ部長をほったらかしにする輩の気がしれません……

というわけで、自分としては幽霊部員たちの存在がどうにも腑に落ちませんでした。
だって、こんなに健気なんだよ? 男ならきゅんとくるやん。ほっとかないやん。
それでも彼女を諦めなければいけなかった理由、これがほしかったです。
たとえば実は部長はとんでもない怪力の持ち主で、ツッコミによる肋骨骨折、頭蓋骨陥没などの被害が出ているとか。
彼女のボケがあまりに寒くて風邪をひく者が続出するとか。
そんな理由があると納得もできるし、ついでに部長のキャラもさらに立つしで一石二鳥な気がします、はい。

あと、主人公が告白するシーン。漫才の冒頭を持ってくるところは意表を突かれたのですが、その漫才の印象が弱くて最初は「何を言い出すんだ?」と驚きました。
漫才の入りに満足できないとかの理由で何度も「現代人は~」と練習するシーンがあったりすると、読者にその印象が残って「おおっ」と感心できたかもしれないだけに惜しく感じました。
まぁ、自分の記憶力が弱いだけかもしれませんがw

それでは拙いですが以上となります。
ひそかに前作も読ませていただいてます。またラ研に強者が現れたなと注目しておりますよ。
次回作も楽しみにしております。

斉藤 真さんの意見 +30点2012年12月23日

どうも斉藤 真です。
前作の変態絡みの作品のイメージから一転して良い作品だなと思いました。
萌えキャラ要素も含んでおり終わりもハッピーな感じが好きです。
特に読みにくい部分もなく自分も参考にと思っているくらいです。

キャラに関して言えば部長がツンデレキャラだったらまた違ったイメージになるのかなあと思ったりしました。

また次回作も楽しみにしています。ではでは

汁茶さんの意見 +30点2012年12月23日

こんにちは。汁茶と申します。
拝読いたしました。


ううーむ、うまいですね。話の構成が自作に近かったような気がして三回読み返しました。

>「ミニマムサイズ」「チワワが束になっても敵わないだろう」「聖母みたいに気遣いに満ちた微笑み」「見れば真っ赤に染まっている」

先輩の可愛さをこれらの表現によって繰り返し強調しているところが見事だと思いました。

前半部分では部長の可愛さと二人の関係を徹底的に掘り下げ、後半部分ではそれら全てを伏線にしての告白シーン。ツッコミどころがなくて困ってしまいます。

でも個人的には漫才よりも
>うちの孫も豚飼っとるのよぉ……と話しかけてくれたおばあさん。
こっちに笑ってしまいました。まあ漫才の伏線があってこそなんですけど。小ワザが効いてます。

気の利いた表現と関係の掘り下げというジャブとワンツーの連打によって読者に溜めというダメージを与え続けて、弱ったこところで止めの右ストレート、もしくはアッパーカット。攻め方が上手かったです。意外性のあるオチというカウンター狙いではなく正攻法だったところが特に。
……ボクシングネタわかるでしょうか。

特にツッコミどころがなくて困ってしまうのですが、イチャモンでも。
先輩のキスシーンですが、これは直角ぐらいに腰を曲げた状態で首から上だけを上げたということですよね?
初読では身長差が、気になってアレ?と思ってしまったんです。顔を上げた、で背を伸ばしたみたいな意味にとってしまいました。あ、でも不知火の身長書いてませんでした。ミニマムと言ってたから身長が高いと誤解していたのかもしれません。
それと前述したようにド直球の王道展開。表現に工夫を凝らしていて楽しめたのですが、欲を言えばもう一つ意外性が欲しかったかなと。(カウンター狙いじゃなくていいとか言ったくせに)表現力で押し切った感がありました。

ええ、お話でした。自分が自作でやらかしたことを思うと涙無しでは読めないほどに……。て言うか、そのことが頭にあるためか純粋に楽しめなかったという……。

私からは以上です。


執筆お疲れ様でした。
それでは失礼いたします。

朝倉空碁さんの意見 +30点2012年12月24日

朝倉空碁と申します。
拝読させていただきました。

部長が可愛いですね。
うむ。良い作品だ。

気になった点は、導入部分。
主人公に自ら名乗らせるのはあまり美しくないかと思いました。

テンポが良くて読みやすかったです。

最後の部長が
「葉一」と呼んだシーン。
なんていうか……個人的な感覚ですが、腑に落ちなかったです。
距離感的とか部長の性格などが、呼び捨てだと狂うかな……?

とても楽しかったです。
執筆頑張ってください。

それでは。
メリークリスマス!

空ノさんの意見 +30点2012年12月25日

初めまして、空ノです。
拝読しましたので、感想を残してみます。

ライトな掛け合いがお上手でした。
このようなコントは私は絶対に思いつきませんね(笑

ただ告白するだけの物語、といえばそれまでですが、そこに持っていくまでの流れがなかなかに上手く、読者の心を掴む雰囲気作りが成功していると思います。

気になったのは、彼女の主人公への想いくらいです。
どこかで好きになった描写もないですし、これだと壁も何もないなぁと思いました。なにか、主人公から見て彼女への想いを伝えにくくなるようなエピソードがあれば、主人公の想いを伝えるまでの葛藤もより強く意味のあるものになったと感じます。

彼女のキャラが意外と掴めませんね。
まっすぐでがんばり屋で明るくて、というのはわかります。しかし、自分の器の話は結局広がりを見せなかったので、その言葉自体に重みを感じませんでした。あの言葉の役目としては、主人公にもう一回練習したいと思わせるためでしょうかね。

ちょっと思ったのですが、せっかく最後、主人公は漫才から始めたのですから、その漫才になぞらえながら、最後には告白に持っていく、という流れにしても面白かったかなぁと。

ラスト、ボケでキスしたことはないので、そりゃあボケではないだろう、と冷静につっこんでしまったのは私だけでしょうか(笑
それと、告白した瞬間にマウストゥマウスは、早すぎませんか?(笑

以上です。
良き時間をありがとうございました!

ラスタさんの意見 +20点2012年12月25日

どうも
ラスタです
感想を頂いたので感想返しに参りました

面白かったです
作者様らしくないですが、だからこその良さがあります

指摘するとしたら、やっぱり幽霊部員の存在ですね
タカテンさんもおっしゃっていましたが、幽霊部員になる動機が弱いです
もっと納得出来る理由が欲しかったですね
それこそ部長に絡んだ何かを
障害を乗り越えてこその愛ですよ

うん、面白かったです
私の愛読書である生〇会の一存を彷彿とさせました
真面目にも書けるなんて……あなたは無敵ですか?


感想に不備等ありましたら申し訳ありません
私は素人ですので間違ったことを言っているかもしれません
ご容赦ください

ではでは、次回作も期待しております

とよきちさんの意見 +30点2012年12月25日

イガラッパッパァー!

……ごめんなさい、なんか叫びたくなりました。
こんばんわイガラムさ……いや五十嵐十五さん。感想返しに馳せ参じましたとよきちです。
……ネタがわからなかったらすいません(笑)ワンピネタです。

それではさっそく~

ああくそ先輩可愛い可愛い! 小さいって可愛い! 小さいって正義! スモールイズジャスティス! 
てな具合で悶え苦しみました。脳内映像が勝手に『ワーキング!』のポプラちゃんに切り替わりました(知らなかったらごめんさい)。あんな可愛い生物にツッコミ入れられたいものです。ひたすらボケまくる自信があります(キリ)
しかし、キャラ作るのお上手ですね。なんというか、愛があります。自分の理想の作り方とも言えますね。作者がキャラを愛さなきゃあ読者もその子を愛してくれんですもん。他のコメントでイガラムさん(あ、間違えた)がおっしゃった『作者の中で実在する』という感覚がまだいまいち掴めない自分にとって、羨ましい限りです。想像力――もとい妄想力が足りないのか……? 
……いや、愛が足りないのか。 
まぁ、キャラはもちろん良かったとして、構成、伏線、話の流れ、会話のテンポ、どれをとっても良いですね。ストレートな感じも割と好きでした。
それでもやっぱり毬ちゃんが(ry

それでは短くて申し訳ないですが、拙い感想はこの辺で。というかほぼほぼキャラのことですけどw

イガラ……五十嵐十五さん、ごちそう様でした!

次回作も期待しております!

雪だるまさんの意見 +20点2012年12月26日

五十嵐十五 さま

読ませて頂きました。
コミカルでほんわかするお話で、楽しく読ませて頂きました。
部長もかわいらしかったし、お話もまとまっていて素敵でした。

指摘するとしたら、読んでいて取っ散らかった印象を持ちました。
伝えることをもっと絞った方が、読者にも伝わると思いました。
これからもがんばってください。

bambookさんの意見 +30点2012年12月29日

 どうもbambookと申します。
 拝読させて頂いたので感想をば。

 ちょ……何このいかにもラノベ風展開は! 甘々で万歳三唱じゃないか!
 とか思いました。萌え。この要素が非常によくでていると思います。前作「ほらいずんサイトォ」にて変態路線全力疾走を読んでいたので、尚更ですね(笑)
 主人公の心理描写も絶妙ですねー……。このオドオドでドキドキな感じに青春の味がよくでていると思います。

 では今後の参考までに気づいた点を幾つか。

 掌編、ということで非常によくまとまっていたかと思います。それでも抑えきれなかった駆け足、という印象があります。特に、告白に漫才ネタを持ち出したのはよかったんですが、肝心の「現代人は――彼女を作ろうと思います」の展開が早いように感じました。漫才なのでもう少しシドロモドロでも「癒し」以外何か理由つけて、あるいは「癒し」の説得味を増す例えを出して、それで「彼女を作ろうと思います」に持って行ってもよかったかと。
 好意的に解釈すれば主人公の切羽詰まった様子がよくでているんですが、個人的には前フリ長くてもよかったよ、という。そんな感じです。

 あとは……最後、「る」じゃなく「た」で終わっては駄目だったんでしょうか。「る」だと読者は続きを気にするので短編書かなきゃならんくなりますよ?w

 以上、僭越ながら感想とさせて頂きます。ではではノシ

インド洋さんの意見 +20点2012年12月30日

 あら、ステキ……

 こんばんわ、インド洋です。
 本作、拝読させていただきましたので以下に感想を残させていただきますね。

 ラストのタイトルコールの余韻もあって読後感がかなりよい作品でした。文章もとても読みやすく、掛け合い(漫才ではありましたが)のセンスも好みでございます。
 ただ、掌編として指摘できる部分はないのですけど、個人的には掌編よりも短編のサイズで読みたかったなというのがちょっとありました。掌編のサイズですと主人公と部長の関係性が書ききれていない部分(イベント不足)もあったと思うので、そのへんを文字数をつかって深く描写した上でラストにつなげればより感動的な作品になったのではないかなと考えます(これだけ面白いものを書ける筆者様ということもあり、その点で余計にもったいなく感じられた部分もありました)。

 拙く短い感想で申しわけありませんが、以上です。
 ではでは~

表参道さんの意見 +40点2013年01月07日

 こんばんは、五十嵐十五さん。表参道です。
 素早く感想をいただいたので、素早く感想返しに伺おうと思ったのですが……。とにかく、読ませていただきました、感想を残しますね。

 素晴らしかったです。もっと早く読んでいればよかったな、と思わずにはいられませんでした。
 まず、導入から上手かったです。魅力である特徴をまず最初に持ってきていましたが、全然違和感がないんですよね……。それ以降も、繋ぎがすごい自然でした。
 ネタ一つ一つも質が高いです! 漫才で笑わせるかと思ったら、しっかりそれを伏線にして後で回収してますし! 文章に瑕疵見つかりませんし! ラストも完璧じゃないですか! ああ、深夜のテンションになってしまいました。

 僕はこの作品から悪い点は見つからなかったです。
 これを読んだら褒めるしかないと思いました。少なくとも僕の実力じゃ、これだけの材料を掌編に上手く詰め込む技術すらないです。
 
 いや、大変勉強になりました。ありがとうございます。
 それでは、失礼しますね。読者としても次回作を楽しみにさせてもらいます。
 お孫さんの豚だけ気になりましたが。

鏡餅さんの意見 +10点2013年01月07日

 こんにちは。
 一読した感想を書きます。

 部長は可愛かったです。ステレオタイプですが、よく書けています。でも、それだけですね。

 漫才部の部員と部長の間の告白なら、漫才っぽい掛け合いがされるのかと期待していましたが、普通の告白でした。

 というか、あの告白のどこがボケやギャグなのか分かりませんでした。あれでは漫才部という設定が活きていません。

 そもそも、主人公の学年はいくつなんでしょうか。いくつ年上なのか分からないので、主人公と部長の関係がイメージしづらかったです。

 高齢者施設の慰問も特に大きな意味付けはないようですし、幽霊部員達のことも、ずっと来ない部員のことを今更言ってどうなるものでもないだろうと思いました。

 それから、部長の進路はどうなったのでしょうか。言及しながらはっきり書かないというのはよくありません。読者に疑問・関心を持たせたら、それに応えなくてはいけません。書く気がないのなら触れないことです。

 また、気になったのは、部長が主人公に好意を持っているらしいそぶりが全くなかったことです。主人公の方もはっきり恋をしているとは書かれていなかったので、気持ちが募ってしまう辺りを読んで、ちょっと驚きましたが。

 あの書き方では、部長を可愛いと思っているだけなのか、本気で恋しているのか分かりません。もし本気で恋しているのならば、打ち上げで遊んでいる間も、もうお別れだということで心が落ち着かないはずです。もし本気で惚れてはいないのならば、この話は「そこそこ気に入っている可愛い女の子に声をかけたらOKしてくれた、ラッキー!」という軽薄なものになり、読者の支持は得られないでしょう。

 気持ちというのははっきり書かないと読者に伝わりません。文章では、基本、書かれていないことは読み取ってはいけないからです。
 書かれているとは、セリフや地の文でずばり説明しているか、主人公の行動が他に解釈できないくらいはっきりとしているということです。

 それとなく文中でほのめかすというのは、どこまで書けば誤解されずに伝わるかを理解している書き手にのみ許される高等テクニックなので、初心者がやらない方がいいです。誤解されないようにはっきり書く練習をして下さい。それが上達の近道です。

 部長が本気で好きなのなら、胸が痛むとか、胸が震えるような感情をもっと書き込んで下さい。そうでないと分かりません。

 ということで、「部長も好きらしいから、告白しちゃえばいいのに」と読者をやきもきさせながら主人公は諦めかけるが、感情が高ぶって思わず告白してしまう、の方が盛り上がります。

 でも、上手く言えなて、ギャグっぽくなってしまい、「しまった、これでは言いたいことが伝わっていない」と焦ったら、部長がやはりギャグっぽく、でもギャグでないと分かる言い方で答えてくれて、主人公は泣き笑いになる、というような展開が読みたかったです。

 まとめて言うと、心の動きの流れを前もって計画した上で書いた方がよいと思います。
 また、漫才部にするのならば、もっと面白いやり取りを書いて下さい。女王様とか、あんなのに笑うのは物を知らないお馬鹿な男子中学生くらいです。

 読者の予想をよい意味で裏切るような話を目差して、もっとドキドキ・ワクワクするようなストーリーを書いて欲しいと思います。

ヴィルさんの意見 +50点2013年03月13日

 先輩が…凄く懐かしく感じた。
 とびきり目立つ天才児でなく、なおかつ地味でなく、病んでもいない。
 小さいながらも努力し、
(時にはすこし背伸びもして)
 知らずしらずのうちに周りに笑顔を振りまいてくれる。
 そんな彼女は今はもう居ない初恋の人に似ていた…。

 …何だか元気を貰いました。
 この作品はキャラ作りが上手に出来ている気がします。
 これみたいな「日常的」な作品は、 読む人を引き込みやすいのでオススメです。

 ちなみに私はまだ●校生ですが。…なんか文句ある?