・日本最古の歴史書『古事記』が成立する。
この頃は、神話と史実が分離されていなかったため、歴史書とは言うものの、中身はライトノベルである。
上巻では、兄妹神であるイザナギとイザナミが日本列島を作り、結婚して様々な神々を生む。
しかし、火の神を産んだイザナミが火傷を負って死んでしまったため、イザナギは彼女を生き返らせるために黄泉の国に行く、という妹萌えの元祖にして究極のエピソードが語れる。
日本で妹萌えが根強い人気を誇っているのは、始祖であるイザナギがシスコンであったための業、文化的、遺伝的宿命であると考えられる。妹萌えを「病気」だとして嫌う意識があるのは、復活したイザナミが死を振りまく怪物と化してしまったことから、妹萌えを続けていると最終的には破滅するという教訓を、今に伝えているのだと言える。
・日本で『羽衣伝説』が誕生する。滋賀県の『近江国風土記』、京都の『丹後国風土記』になどにその記述が見られる。
天から下りてきた天女に一目惚れした男が、彼女の持つ空を飛ぶアイテムである羽衣を隠してしまったために、天女は天に帰れなくなる。男は天女に親切にして、結婚する。しかし、後に羽衣を隠したことが発覚して、天女は天に帰ってしまった。という物語。
冴えない男の元に不思議な美少女が突然現れて同居するというのは、「落ちもの」系と呼ばれるライトノベルや漫画で人気のストーリー手法。『とある魔術の禁書目』『撲殺天使ドクロちゃん』、漫画『ああっ女神さまっ』などがこれにあたる。
このような物語が日本各地に伝わっている事実を考えると、大和民族と萌えとが不可分の関係にあったのではないか、という仮説が立てられる。
・紫式部が『源氏物語』を発表する。
平安時代の宮廷を舞台にした恋愛物語。「世界最古の長篇小説」と言われる。
主人公の光源氏は、現代の少女小説、少女漫画に登場するイケメンの原型になっていると言われる。
・父親が天皇という『高貴な血筋』。
・暗い過去を背負っている。
・美形。
・女性には基本的に冷たい。
光源氏の特徴である以上の4要素を満たせば、高確率で女性受けする男性キャラを作れる。
また、機動戦士ガンダムに登場するシャア・アズナブルは、マザコンでロリコンなところ、女性に手を出しておいて惚れられると邪険にする部分などが、光源氏の影響を受けているのではないかと考えられる。
単なる理想のイケメン王子様ではなく、男性の弱い部分や負の側面もしっかり描いた紫式部は、希有な作家性を持っていた。
・日本最古の漫画と呼ばれる『鳥獣人物戯画』が成立する。
複数の作者によって全4巻が個別に制作され、京都の高山寺に収められた。
ウサギ・カエル・サルが踊ったり、笑い転げるなど、動物を擬人化して戯画的に描いている。
・スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが『ドン・キホーテ』を出版する。
世界で最初の近代小説にして、聖書に次ぐ発行部数を誇る超世界的ロングセラー。2002年に、世界54か国の文学者100人の人気投票によって、2位に1.5倍以上の差を付けて文学史上最高傑作に選ばれた。
騎士道物語の読み過ぎによって自分のことを伝説の騎士、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」だと思い込んだ主人公が、冒険の旅に出て酷い目に会うという痛快ギャグコメディ小説。器量の悪い百姓娘をドゥルシネーア姫と呼んで崇拝したり、風車を邪悪な巨人だと思って突撃したりする。
大文豪ドストエフスキーが、「最も偉大で最ももの悲しいこの書物」と評価し、滑稽さの裏に人間の悲哀を描いているとされる。
王道の物語を元に、滑稽なパロディ作品を作ったり、メタ的表現を取り入れて笑いを取るというのは、ライトノベルではポピュラーな手法。『スレイヤーズ』『撲殺天使ドクロちゃん』『凉宮ハルヒの憂鬱』『生徒会の一存』などがこれに当たる。
パロディやメタ的表現も極めれば最高峰の文学になるという実例。
ライトノベル作家を目指す人には、ぜひ一度、読んでもらいたい。
・竹原春潮斎が大衆向け木版刷劇画本(鳥羽絵)『てんぐのたまご』を出版する。
鳥羽絵とは、江戸時代中期から大正時代頃まで使われていた「漫画」を意味する言葉。浮世絵の様式の一つ。名前の由来は、『鳥獣人物戯画』とされる。
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