とりあえず先に書いておくと、『スランプを未然に防ぐ』『スランプを抜け出す』『スランプでも良い文章を書く』方法は存在しません。それがスランプです。
でも、実のところある程度の対応はできます。
一個は統計。自分がスランプになった時のことを細かく記録しておけば、『こういう時スランプになりやすい』『こういうことをしてはだめだ』ってのがわかります。それをベースにして、特定の行動をしない・スランプを前提に計画を立てることは可能です。
二個目は書き溜めと連想ゲーム。スランプってのは人によって症状が違いますが、とにかく『まとまった文章が書けなくなる』ことです。プロットでも、決め台詞でも、設定資料でも構いません。思いついたことをメモしましょう。で、2・3日に一回くらいメモを見て、連想ゲームをします。運が良いと、文章が降ってきます。運が悪ければ何も起こりませんが、何もしないよりはマシです。
三つ目は、『キリの良い所まで書いてからスランプにはいる事』。微妙に矛盾しているようですが、体育会系の人が良く言うように『「無理だ」と思っても、実はもう少し走れる!』と言うのは事実です。スランプ明けた後に作業がしやすいように、(たとえどんなクソな内容になったとしても)キリの良い所まで書いてしまうのは大事なことです。
四つ目。ラストです。『自分はスランプだ!』と決めつけてしまわないこと。ここまでの三つにも共通する観念ですが、スランプっていうのは非常に曖昧なものです。『運よく』とか『特に理由もなく』簡単に明けてしまうことがあります。毎日一回、ワード(もしかしてメモ帳?)を開いてください。罫線見て閉じるだけでもいいです。絶対に原稿の存在を忘れず、でも無理だと思ったらすぐ中止してください。
総まとめ的に、或いは追記として書きますが。基本的に創作ってのは根性論だと俺は思っています。と言っても、『どんなに無理でも前に進む意思があればなんとかなる』と言う意味ではなく、『粘り強くやっていればいつかは辿り着く』程度の事です。
ロッククライミングをイメージしてください。手を放してしまえば今までやった事は無駄になりますが、手を離さなければいつでも続きから登ることができます。たとえ手を放してしまっても安全ロープがあるので、一番下まで落ちることはまずありません。
そして何より、ロープが垂れ下がっている以上は、――たとえどんなに遠くてもーーどこかに辿り着く先が存在しているということです。
別に途中で休むのは悪いことではありません。ちゃんとロープを掴んでいれば、いつかは続きが書けますよ。