谷崎潤一郎と芥川龍之介が、谷崎はストーリー、芥川はそれ以外の、精神的なものを重視すると言って論戦を繰り広げたことがあります。
読めば分かるんですが、芥川龍之介の話って今のライトノベルに近いんですよ。かなりストーリー重視です。だから芥川は、おそらく自己批判的に高尚な文学をよしとしたのでしょう。物語にストーリーは付きものです。ですので、まずストーリーを考えましょう。
逆に考えたら分かるんですが、つまらない話を面白く書くというのは、まあマジックみたいなもんですね。そんなことは非常に高度なレベルでの問題なので、はじめから曲芸ありきで物語を書くというのは、ちょっと難易度が高すぎます。
たとえばサザエさんとドラえもんを比較したらよく分かるんですが、サザエさんって、話が全然印象に残らないですし、面白くないですよね。そういう作り方をしているからそうなるんですよ。
ドラえもんは、たとえばどこでもドアを使って、突然外国に行くとか、そういう話を作るために必要なタネを、どこからでも持ってこれるんですよ。ひみつ道具はたくさん種類があるので。そうすると、ストーリーは初めから自由に作れます。ストーリーが作れれば、後はオチを考えればいいだけです。
たとえば、のび太がフランスに行っている間に、ドラえもんは未来へ用事があって出かける。そうしたらのび太もドラミと一緒にドラえもんを探しに行って、すれ違いになっていつまでもうろうろする。結局夜になって、ドラえもんがのび太の家に帰ってくると、疲れ果てて眠っているのび太がいる。そしてまた、一日が始まった……とかね。どこでもドアだけでこんだけ作れるので、ストーリーが最も大事なことは分かると思います。
「ちょびっツ」(つまらない)などのように、主人公の所に美少女ロボットがやってくる、というだけでは不十分です。その後、なにか展開が必要です。ううん、たとえば……主人公は、将来の日本のスパイの血筋で、ロボットは主人公の情報を集めるために未来から来た、とかね。
キャラクターを描写したいなら、ストーリー上このキャラはこういう性格じゃなくてはならない、という必然性に沿った設定をまず、かっちりと定めましょう。
重要なのは、その一つずつの設定には、ストーリー上の必然性があるということです。ただなんとなくこういう性格にした、というのなら不十分です。もちろん、少し嘘で、キャラの設定は、ある程度は自由にできます。しかし、キャラがブレないようにしてください。